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ビジュアルアナリティクスのしくみとその価値を説明します by Yukari Nagata

ビジュアルアナリティクスとはなんでしょう?
そして、なぜするのでしょう?

ビジュアルアナリティクスはこれまで予期していなかった(できなかった)ことを発見して、洞察を得る強力なプロセスです。

データを使って何か知りたいことがある時、まず何から始めるべきでしょうか?
データを探索して何かを示唆を得たい時、ビジュアリゼーションを使った分析には大きく下記二つのアプローチがあります。

1)データビジュアリゼーション
2)ビジュアルアナリティクス

上記はどちらも重要な役割を果たすものであり、どちらか一方を選択しなければならないというものでもありません。両方を使うことで、更なる深い洞察を得ることもできます。

データを使って何かを探索する時、問いの設定から始めるのが普通です。しかし、一番最初に設定した問いへの答えが、データを探究するプロセス終了である必要は全くないのです。データへの探索は、終わりなき旅とも言えます。

何がどうなっている?そして、それはなぜ?をデータに問う

データビジュアリゼーションは図や表などを使ったデータの描写です。これらは、ダッシュボードやレポートと呼ばれたりもします。
そして、今年度の売上は?異なる地域ではどうか?前月ではどうか?などの”何がどうなっているのか(WHAT)"を理解させてくれるビューをつくり、自分が「すでに持っている問い」に対して答えをくれます。

データから、“何がどうなっているか“に答えられるのはとても価値のあることです。まず初めに”何がどうなっているのか”に答えてくれることで、データからストーリーを語り始めることができ、問題や課題を見つけることの一助となるのです。

多くの人は、ダッシュボードやレポートの作成そのものが最終ゴールだと思っています。しかし、データが新たな課題や問題を示していたらどうでしょう?ビジュアリゼーションを見て、ある一地域における利益率が極端に悪かったり、あるプロダクトで利益率が極端に悪いということなどもあるでしょう。

その課題や問題の真因を探索するためには、そのダッシュボードに既にあるフィルターやパラメーターを超えて、そのダッシュボードを作っているデータを更に見に行く必要があるのです。新たな問いに答えるためには、既にダッシュボード上にあるチャートを超えていかなければならないのです。

なぜ?を問う力

今年度の売上は?などの”WHAT”の問いは、データを探索する最初のステップです。次のステップとして、“それはなぜなのか?“がくるでしょう。そしてこの”それはなぜか?”というのは、繰り返し何度も何度も問い続けなくてはなりません。

つまり、データが語っていることを更に深く知る必要がある時に、ビジュアルアナリティクスが必要になるのです。

ビジュアルアナリティクスのサイクルは、とても動的でそして反復することが前提のプロセスであり、そのプロセスの中で”何が?”や”なぜ?”を無限に問い続けるもの(そして問い続けられるもの)です。このプロセスの中で、一番初めに設定した問いや洞察を越えていくことができるのです。何らかのビジュアリゼーションを見る全ての方が、問いを投げかけることができ、最初に予期していなかった発見ができるのです。

ー例ー
いわゆるBIのデモでよくあるような、ダッシュボードを作成しました。ビジュアルアナリティクスを説明するときによくあるあれです。地域別の売上と利益に関するダッシュボードです。

           図1 売上と利益のダッシュボード

このダッシュボードを見ると、家具が利益のターゲットまで行っていませんね。しかし現在のビューにある地域別売上を見たところで、「それがなぜなのか?」に答えられません。なぜ?に答るために、のさらに下の階層に答える新しいビューが必要です。

            図2 家具のプロダクト毎の利益を見る図

これを見て始めて、テーブルのみ異常に赤字であることがわかります。どうしてでしょうか。なぜテーブルはこんなに利益率がわるいのでしょうか。新たなビューで割引率の状況を見てみたいと思います。

図3テーブルの取引すべてを、割引率の観点で見る図

テーブル群だけで、割引率を見てみました。これで、テーブルは割引率が高いものがかなり多く利益を圧迫しているのがわかります。

-なぜビジュアルアナリティクスなのか?効果を発揮するその理由-

ビジュアルアナリティクスは視覚的効果を使ってその場でリアルタイムにデータを探索する一つの方法です。良いビジュアルアナリティクスは、どれもある一定の性質があります。

・どのデータを見るかを瞬間的に変えることができる(異なる問いには異なるデータが必要になるため)

・見方、切り口を瞬間的に変えることができる(新たな異なる問いに対し、違ったビューがその解を持つため)

瞬間的に切り替えることにより、直感的に一瞬で異なるビジュアリゼーションを見ることが出来、持っている問いに対して正しい解を見つけることができます。瞬間的にできるからこそ、違ったビューのチャートをどうやって作ろうか、このデータのテンプレートをどのように置こうか等、かったるいことをやらずにすみ、データの中で新たな発見することに集中できるのです。
新たな問いの解を新たな違った切り口で探していく(そしてそれを認識できていく)この作業そのものが、扱っているデータの姿が見えてくることとも言えます。データを探索し続けること(そしてそれが出来ること)自体が良い分析そのものであり、何かを発見して終わりではないのです。

問いを変えていく、そして新たな見方や切り口で見ていくことは、データ自体を変えていることではないのです。変わっているのはただ視覚的に表れているビジュアリゼーションだけです。常に戻ることができますし、戻っても再び今の状態に戻ることもできます。どこかが、そしてなにかが「固定的なもの」を設定しなくて良いのです。

ビジュアルアナリティクスのプロセスにおいては、新たな発見や気づきで思考プロセスが刺激され、インスピレーションが湧き、さらに深い洞察に繋がっていくのです。

※ご参考:下記は、Tableauのホワイトペーパーより抜粋した、データビジュアリゼーションとビジュアルアナリティクスの比較です。

ビジュアルアナリティクスができること

ビジュアルアナリティクスは、どのようなビジネス領域であれ、新たなビジネスチャンスの発見に寄与しますし、組織においてインパクト(意思決定に影響力があるという意味で)のあるダッシュボードを作ることもできます。そのためには、データを扱い探索できること、ビジュアリゼーションすること、そしてアドホック分析が簡単にできるプラットフォームが重要になってきます。
必要あらばすぐにデータを探索しデータを見に行ける状態、そして思考と同じスピードで分析が進む状態。他の人と得た洞察をコミュニケーションできるビジュアライズができれば、簡単にインサイトを共有できる状態になっています。


考えるのと同じ速さでデータに問い、そしてデータから解をもらう

ビジュアルアナリティクスはそもそも自分自身で行うべきであり、自分がデータに問う必要のある問いは、自分でデータに聞くべきで、他人任せではダメなのです。自分が必要なデータに自分自身でアクセスし、自分自身の問いを問いかけることが出来るというのは、とても価値があることです。自分自身が持つ知的好奇心を解放し、課題をさらに発見し解決方法を提案することが出来るからです。

自分が興味や関心のあるデータを扱うことで、意味のある洞察を得られるスピードことでしょう。ビジュアルアナリティクスは自分自身が行うまさに自発的な行為であり、終わりのないデータへの探求です。そしてそれは、人によって異なる道を通って良いのです。

データで理解できたことやデータからわかった結果は、一般的なチャートタイプで表現をすることもできます。しかし、何らか一つのチャートタイプやテンプレートその他ウィザードなど、なんらかの一つの分析のやり方や表現に制限をしようとするとき、自分がやっている分析自体に限界がすぐ来てしまうのです。そしてそれは、自分で自分にリミットをつけていることになるのです。

データに対してした自分の問いは、ビジュアリゼーション表現のドライバーとなるべきものであり、決まったチャートタイプの中にデータを入れることではありません。決して、フォーマットの中にデータを入れないでください。

問いからスタートしてはじめて、データにストーリーを語らせることができるのです。

データとビジュアリゼーションは、相互に依存しあうものです。クエリをなげ、データを探索し、ビジュアライズするのは一プロセスの中で行われ、自分自身で行うからこそ自分の問いにシャープに答えてくれる、そのようなものなのです。


※TableauホワイトペーパーよりYukari Nagata再構成・心を込めて解説・ダッシュボード謹製(笑)


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