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光が届かない水の底のような世界

「四月は君の嘘」の主人公有馬公生という少年は、ピアノ奏者だが演奏に集中すると自分の奏でる音が聞こえなくなる。

それはあたかも水の底に沈められて周りの音を聞き取ることができないような状態だという表現が作品中でされている。


友人たちと夜の学校のプールに忍び込んで花火をしているうちに誤ってプールに落下し溺れそうになる公生はプールの底に沈みながら水面に差す月の光に気づく。

演奏中に音が聞こえなくなる時と同じような状況にさらされる中で出会った光景。暗くて何も見えない、何も聞こえない中でも実は光は差すのかも、と考え始める。

沈みゆく中で無意識に手を伸ばし、目に見えない鍵盤を叩くとそこに奏でられる音の存在に気づく。


追われるように仕事に没頭し、気がつくと日付の変わる時刻が近い。
そんな日々を繰り返していると時々暗い水の底にいるかのような感覚に襲われることがある。
周りの声が僕に届いていないし、僕の声も周りに届いていない。

追い詰められると人はそんな感覚に陥りやすい。

ただ、そんな中にあっても光の存在を認識すると実はそうではなく、そう思い込んでしまっている僕がいるだけだという事に気づく。


目線を自分の内側に向けることも必要だが、時にはそれを外側に向けるだけで変わっていくことが山ほどある。



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