横浜ビー・コルセアーズ 20-21シーズン振り返り(個人スタッツ編)
前回はチームスタッツを基にビーコルの昨シーズンを振り返ってみました。今回は個人スタッツを基に個々の選手にフォーカスして振り返りをしていきます。
マイナス要素を取り上げるのがこの振り返りの趣旨ではないですが、よかった点とココがよければの点のどちらも紹介することで選手の特徴がつかみやすくなると思いますので、両方を記載します。ココがよければの点は深掘りせずサラっと行きます。
ビーコル20-21個人スタッツ一覧
今回もBasketballnaviさんが提供しているスタッツを使用させてもらいました。
上記のスタッツ表の順番(シーズントータルの出場時間順)で各選手の昨シーズンを振り返ります。
森川正明
ブースターからは"モリリン"、面倒見のよさから"ハマのお母さん"とも呼ばれる森川。Bリーグ開幕以来4年を過ごした三河では平均PT(Play Time)が2桁に届いたことはありませんでしたが、ビーコルに移籍しPTは約3倍、平均得点は2倍強に上昇。リーグのNext Star賞でも3位の票を獲得し、一躍ビーコルの日本人エースとなる飛躍の一年になりました。
よかったとこ
シュートがうまい
3ポイントの確率はリーグ6位の40.8%。一昨シーズンの三河では驚異の60.8%でしたが、試投数では3倍以上増加(1.2→3.9)する中でこの確率は見事。
ハーフコートでのハンドラーとしての安心感
フィジカルやスピードがあるタイプではないので1番の適正はありませんが、ハーフコートに入ってからのオフェンスの組み立ては森川が長けていたと思います。アシスト平均は2.1と2-3番のスウィングマンとしては目を引く数値ではないものの、アウダとのコンビは絶妙でした。ハイピックからアウダのダイブへの合わせ、その逆にアウダを使うと見せて自分で行く駆け引きが生原と森井以上にうまかったです。
チームを元気づけてくれる″お母さん″
コールにいらついてベンチに戻ってきたレジーの腕をスリスリして落ち着かせたり、タイムアウトで戻ってくるプレイヤーをベンチを飛び出して出迎えてくれるのが森川。勝ってるときでも負けてるときでも。あふれる慈母の愛。
ココがよければ
FD(被ファウル)
しいて挙げるならば。フィジカルが強くなく体が柔らかい森川にとってはコンタクトに行くよりもタイミングをずらしてペリメーターショットを選ぶのは理解できますが、秋田や渋谷など当たりの強いチームに対しては敢えて強いドライブを仕掛けて欲しいです。昨シーズンの森川のFD(被ファウル平均)は1.4ですが、日本人スウィングマンの比較として大阪エヴェッサの橋本は2.5でした。
パトリック・アウダ
今年の夏は現役チェコ代表の6thマンとしてOQTでもオリンピック本戦でも大活躍だったアウダ。世界的プレイヤーなのにどの試合も全力で立ち向かう姿はビーコルブースターのハートをとらえて放さない。
よかったとこ
ハイポストアタック
アウダの代名詞ハイポストアタック。ハイピックからの強烈なダイブ。ダイブからのシュートの際に「エイッ」って叫ぶのがかわいい。2ポイントのFG%は57.9%で、3ポイントも合わせたFG%のランキングではリーグ16位。3ポイントを40本以上放ったプレイヤーのFG%に限定すればリーグ5位。高確率のプレイを選択できる賢さを備えています。
アシスト
インサイドからのディッシュ(得点に直結するパス)がうまい。ポスト近辺でレジーに合わせることも、ハイポストからダイブと見せかけてディフェンスの収縮を見てアウトサイドへ送ることも。アシスト平均は森川とほぼ同じ2.0。
ココがよければ
ムービングピック
ウィングでピックに行く際によくムービングピックを取られてる気がします。腕をシリンダー外に出してしまったり。代表戦でもしばしばやっていたのでクセなんでしょうね。。平均ファウル数はリーグワースト5位の2.8。ディフェンスよりもオフェンスファウルで吹かれてるイメージがあります。
リバウンド
平均5.6は4番プレイヤーとしては物足りない。オリンピックで強烈フィジカルのアメリカ/フランスと戦った経験が来シーズンに活かせるか。
フリースロー
FT%62.5。100本以上フリースロー放ったプレイヤーの中ではワースト9位。。今からあのフォームは変えられないでしょうから、入るのを祈るのみです。
ロバート・カーター
賢いプレイができてシュートも華麗。みんなを盛り上げてくれるナイスガイ。ハマのエースにしてハマの1on1野郎。
よかったとこ
ディフェンスの賢さ
出場数が足りずBリーグ公式ではランキングされていませんが(全試合数の85%以上出場者が対象)、Basketballnaviさんの方では試合数に関わらないランキングが可能で平均ブロック0.9はリーグ16位(レジーより上)。しかも上位16人の中でファウル数の少なさでは5番目。平均スティール1.1はリーグ21位(1つ上が藤井祐眞)。身体能力が高かったりクイックネスに優れているプレイヤーではありませんが、ディフェンスの読みと追い込み方が上手く、無理なファールをしないというとても優秀なお方です。
個人能力
美しいフォームでどこからでもシュートを決め、ドリブルテクニックにも優れているので1on1で局面を打開してくれました。
ココがよければ
オンボールプレイヤーであること
クイックネスに欠けるがスキルフルなプレイヤーであることからどうしてもボールを持ってからプレイをスタートしがち。平均3.2アシストとパスセンスも兼ね備えているものの、エースとしてFGのアテンプトも多い中で(チーム1の平均14.5)、ディフェンスの目が集中し、3ポイントの確率は31.9%。イージーバスケットをうまく作れませんでした。
クラッチタイムでファウルもらえず
クロスゲームで何度かカーターがラストショットを打つ場面がありましたが(エースなので)、ゴール深く侵入できずディフェンスにあおられた状態でのペリメーターショットで終わることが多かった。これではファウルも吹かれないので、もっとゴールに向かっていく強いプレイが欲しかったです。
レジナルド・ベクトン
通称レジー。コンディションの波が激しく、良いときは無双、ダメだとファウルがあっという間に増加というなんとも諸刃の剣なプレイヤー。でも、そんなレジーを愛さずにいられない。
ココがよければ
レジーだけはココがよければから。
ムーディー
いいときはブースターから″金のレジー″、″プラチナレジー″と呼ばれるもダメなときはさっさとファウルしてベンチに帰ってくる。
フリースロー
100本以上放ったプレイヤーの中ではワースト1位の46.9%。。2年連続での1位となりました。でも昨シーズンの後半には改善の兆しも。。
ファウル
ワースト1位の平均3.7。。昨シーズンも1位なので2年連続2冠達成。。アウダ同様ムービングピックを取られやすく、興奮すると不用意なファウルをしてしまう。。
よかったとこ
上記の改善点を凌駕するくらい、良いときのレジーは本当にスペシャル。ゴール下でハリケーンのようなスピンから次々とゴールを奪う。ブースターからは″ベクトンどーん″と呼ばれる一連のプレイですね。ディフェンスでは相手を吹き飛ばすスクリューリバウンド。強さと脆さが同居するレジールーレットにブースターの心も乱高下。楽しいプレイヤーであることは間違いない!チキン大好き。
アキ・チェンバース
通称アキ。ビーコルを2年に渡り背中で引っ張ってくれた漢。寡黙にハードボイルドに仕事をこなす姿にブースターは酔いしれた。
よかったとこ
ディフェンス
アイザック・バッツとマックス・マツモトのYoutube"IKEMAX"に出演したアレックス・カークが、現/元チームメイト以外でチームを組むとしたらのテーマで真っ先に名前を挙げたのがアキ。カーク曰く″ロックダウン・ガイ″。ボールマンに何もさせず封鎖してしまうディフェンダーという意味でしょうか。とにかくしつこく激しく体を当てて守ります。
絶対ゴール行くマン
速攻でアキにボールが渡ると、感情を殺した表情で相手からファールされようが絶対シュートまで行く姿からついた名前。ファストブレイクに乏しかったビーコルの数少ない必殺の武器がこれ。
ココがよければ
これといってなし。もうちょっと3ポイントの確率(33.5%)が上がれば日本屈指の3&Dプレイヤーの仲間入り。群馬でのビーコル戦以外の活躍を期待してます。
森井健太
通称″森井ちゃん″、″モリケン″。ボールハンドリングの天才にしてアシストの魔術師。コートの外では天然素材の楽しい人。
よかったとこ
アシスト/TO(ターンオーバー)比率
吸い付くようなボールハンドリング。オールコートで当たられても森井ちゃんがボール持ってさえいれば取られることはほぼない。平均TOは1.0。絶妙なアシスト力も兼ね備え、平均アシスト4.0。よってアシスト/TO比率は4.0。Basketballnaviさんでの平均アシストランキングでは森井ちゃんは22位ですが、アシスト/TO比率でいえば、アシスト上位22位以内では田中大貴と並んでなんと1位!少ないミスでたくさんのシュートチャンスを作り出すお方。
気持ちのこもったディフェンス
平面のディフェンスでも並み居るB1の1番と比較しても遜色ないですが、オールコートのディフェンスでさらに輝きを放ちます。須藤昂矢(コーヤ)と仕掛けるオールコートプレス″森井ちゃんでいコーヤ″(流行らないかなぁ)が昨シーズンの後半に完成を迎えました。
ココがよければ
シュート
昨シーズンの後半にシュート確率がガクッと落ちてしまいました。FG%は28.4%。FT以外は新潟の最終年とあまり変わらない結果だったので、昨シーズン前半の調子が戻ってきて欲しかったです。
ディフェンスの手の出し方
PT20分以下のプレイヤーでの平均ファウルのランキングでは12位(2.3)。出てる時間の割りにファウルが多い。腕を使ったファウルで吹かれるのがもったいない。規律(ディシプリン)を守ったディフェンスを心がけよう。
秋山皓太
″AK″と呼ばれることも。特異なマイペースキャラで会場を盛り上げる。コートではシュート力が持ち味。我が道を行くシューター。
よかったとこ
シュート
ミリングHCの下では序盤から中盤にかけて森川とアキどちらかが交代する際のファーストオプションとして登場。シュートに関してはミリングの信頼も得ていたかと。ただシューターで3ポイント32.5%は及第点にはちと足りず。。
やるときはやるユニークなマイペースキャラ
昨シーズンの勝利後に会場全体で喜びを分かち合ったYセレブレーション(略してYセレ)。主将生原からの指名で初Yセレの音頭を取ったのが秋山。不思議なダンスを披露しました。それ以来秋山のインパクトを越えようとみんな頑張りましたが、あれに優るものはなかったと思います。京都のみなさん、彼のパフォーマンスを如何にして引き出すか。よろしくお願いします。
ココがよければ
プレイの幅
オフェンス/デイフェンスとも裏をかく動きが足りなかった。例えば東海大学の先輩古川とマッチアップした際は、ディフェンスの逆を突かれてファウルを献上してました。京都では色々と柔軟にチャレンジしてみてください。若いので型にハマることなく。
生原秀将
通称シュウ。魂揺さぶるキャプテン。1プレイ1プレイで相手の裏をかこうとするくせ者。昨シーズンは彼の数度の怪我さえなければ。。
よかったとこ
挑んでいくディフェンス
ハードなディフェンスを仕掛けチームの雰囲気を盛り上げる。どんな相手でも引くことなく立ち向かう姿がチームメイトを奮い立たせてくれました。
リーダーシップ
外国籍にもずけずけと物を言う。大事な場面ではハドルの中心となる強心臓も持っています。
ココがよければ
ファウル
ディフェンスがハードなのは重々承知ですがもう少しファールケアを。。リーグワースト3位の平均3.2。ディフェンスでの頑張り過ぎが怪我につながってしまったのも結果論ではあるが悔しいところ。
シュート
打つべきときには打っているし、クラッチタイムでは決めているせいか3ポイントが25.7%だったのは意外。怪我で出遅れたのが影響したかも。
須藤昂矢
通称コーヤ。昨シーズンのルーキー。序盤はPTもらえず苦戦したが、終盤に急成長を見せました。
よかったとこ
強靭なフィジカルのディフェンス
ラジオ番組「それいけビーコルいざ出航」で小原翼がコーヤは自転車で想像を絶する遠くまで行っちゃうと暴露していました。体力は無尽蔵だし、筋力も相当なもの。このフィジカルを昨シーズン後半は存分に活用し、森井ちゃんとコンビを組んだ"森井ちゃんでいコーヤ"(しつこく言います)のオールコートプレスで駆け回りました。
シュート
3ポイントの確率は35%と及第点。コーヤが出場したラスト19試合に限れば40%超え。攻守で活躍できることを証明しました。
ココがよければ
プレイの幅
ハンドリングスキルも悪くないので、アウトサイドのみならず、ドライブやカットなどプレイの幅を増やして欲しいです。伸びしろしか感じてませんがっ。
エドワード・モリス
通称エド。昨シーズンでビーコル3年目のベテラン帰化選手。チームを盛り上げてくれる存在。
よかったとこ
メンターとしてのコミュニケーション力
新規外国籍選手がチームになじむよう積極的に話しかけたり、素敵な場所に連れて行ってくれたり(Instagramからの推測)。
粘り強いOR(オフェンスリバウンド)
ORの奪取率で言えばチーム内ではレジ―に次ぐ存在(36.5%)。外国籍選手が揃うまではインサイドの要として30分近く出場し平均リバウンドは7.9。平均ORは2.7とチームを支えてくれました。
ココがよければ
膝の具合
年々怪我が増加。出番は必ずあるので、しっかり治療してもらいたいです。
ケドリック・ストックマンJR
Tokyo Samuraiから練習生として電撃加入し本契約に。昨シーズンの開幕前に逗子アリーナにて田中力(アメリカでD1目指して奮闘中)、キング開(専修大学、ビーコル特指)、米山ジャバ偉生(専修大学、U19日本代表)が集合し、シーズンオフのバスケを披露したが、その中で異彩を放つ緑色のシャツの男が。キング開も「メチャクチャ上手いよ!緑の服の人」と舌を巻いたその人こそストックマン。田中力曰く「横須賀の伝説」。
よかったとこ
身体能力と可能性
ホーム開幕節のvsアルバルク戦で、須田を吹っ飛ばして取ったリバウンドが忘れられない。クイックネスもアシストもシュートにも可能性をビリビリと感じた。
ココがよければ
ドリブルのファンダメンタル
ドリブルの強さとディフェンスに当られた際のボールの守り方はこれから上手くなって欲しいです。方向転換にはビハインドはリスクが大きいので、ディフェンス ― 自分の肩 ― ボール、の位置をキープできるレッグスルーの方がよき。
竹田謙
通称竹さん。42歳にしてダンクから相手チームのエースへのマッチアップまでこなす必殺仕事人。今期からGMに就任。
よかったとこ
洞察力
1/3のvs滋賀戦、摩訶不思議な動きでビーコルを翻弄するジョナサン・オクテウスを竹さんがわずか5分のPTながらきっちりと抑えて流れを変えました。IQと経験でバスケを豊かなものに変えることができる稀有なお方。
竹さんが見せてくれたすべてが素晴らしい思い出です。現役生活お疲れ様でした。竹さんの経験をビーコルに注入し続けてください。
河村勇輝(特指)
新時代の日本を代表するスピードスターがビーコルに!想像もしない展開にビーコルブースターの目には歓喜の涙が溢れた。
よかったとこ
アウダとのコンビ
"0/1ライン(背番号から)"や"カワムラウダ"などとブースターから呼ばれる河村とアウダのP&Rの切れ味よし。河村がアウダに出すタイミングをズラしながら出してくるところは19歳とは思えない巧みの技。
ココがよければ
シュート
PTを初めほとんどのスタッツは三遠時代と変わらない中(TOは減少)、下がったのが3の成功率(20.5%)。コロナ禍で大学の対外試合が限られる中、フィジカル強化に努めたことで一時的にタッチに変化がでたのかも。
小原翼
マッスル翼も昨シーズンをもって現役引退。3シーズンに渡ってビーコルを盛り上げてくれました。
よかったとこ
翼砲
ついに見つけた武器「翼砲」の確率は50%!翼の3ポイントはよい回転してました。
バスケとは別の世界で新しい翼を発見してください。現役生活お疲れ様でした。
キング開(特指)
ビーコルユース初のトップチーム選手!専修大学ではキャプテンに就任し目の前の扉をどんどん開けていく若き海賊。
よかったとこ
攻守の清々しいプレイぶり
10分以上PTがあったのは3試合のみと活動は限定的でしたが、OTで勝利した渋谷戦、続く琉球戦でもキングが1プレイに集中しチームを鼓舞。胸がすく活躍でした。
LOVEビーコル
ビーコルユースから成長を重ねてきたキングのビーコル愛。ビーコルを"憧れていたチーム"と言ってくれる選手が来てくれるだけで嬉しいですね。
ココがよければ
元々2~3番をやっていたキングのこれからの課題はゲームメイク。専修大でも1番に取り組み研鑽を積んでいる途中。
まとめと予告
これにてビーコル20-21シーズン振り返り個人スタッツ編は終了です。
次回は21-22シーズンの新入団選手の紹介とシーズン展望(というか心に浮かぶざわめき)をお届けします。
それではみなさんまたお会いしましょう。Go B-Cor!
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