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FIBA U19 World Cup 2023 男子日本代表

6/24(明日)からFIBA U19男子ワールドカップ(U19WC)@ハンガリーが始まります。
ここでは選ばれし日本代表12名のメンバーを背番号順に紹介していきます。
予選となったU18男子アジア選手権(U18アジア)のメンバー紹介はこちら。

U18アジアのメンバーはその後の活躍を、U17男子ワールドカップ(U17WC)出場組と初選出組のメンバーはバックグラウンドも含めてお伝えしていきます。
メンバーリストはこちらをご覧ください。

U18アジアのメンバーから、ジェイコブス晶、湧川颯斗、小澤飛悠、坂本康成、川島悠翔、八重樫ショーン龍の6人が継続。U17WCのメンバーから武藤俊太朗、小川瑛次郎、内藤耀悠、渡辺伶音が選出されました(川島悠翔は両方の大会に出場)。
初選出組が岡田大河、ロロ・ルドルフです。
スペインで行われた練習試合での背番号順で紹介していきます。

No4. ジェイコブス晶

2021.11.13、横浜ビー・コルセアーズ(ビーコル)の特別指定選手として当時のB1最年少デビューを果たしたジェイコブス晶(ジェイコブス)。身長はU18アジアのときは201cmでしたが、約10ヶ月で203cmに。身長だけではなく、キャリア、スキルとも順調に伸ばしてきています。

U18アジアのグループ・フェイズのイラン戦で左手首を負傷。実力を十分に発揮できなかったジェイコブスですが、同大会の約1ヵ月後には日本人初となるNBAグローバル・アカデミー オーストラリア(グローバル・アカデミー)への参加が発表されます。 

グローバル・アカデミーでバスケ漬けの日々を送ったジェイコブス。

そして2023.05.18、NCAAディビジョン1(D1)ビッグ・ウエスト・カンファレンス(BWC)に所属するハワイ大学へのコミットが発表されます。

BWCは32あるD1のカンファレンス中、ミッドメジャー/ローメジャーと呼ばれる中堅より下位のカンファレンスですが、以前より格段に転校がしやすくなった現在ではどの大学に行くかよりも、どの大学で活躍できるかが大事になってくると思います。
22-23シーズンのBWC内での成績は5位だったハワイ大ですが、カンファレンス・トーナメントで優勝したUCサンタ・バーバラとはカンファレンス・ゲームの成績では2勝差と、いい位置にいるチームです。

JOURNEYMANさんが、ジェイコブスとハワイ大学を記事にしてくれています。

スキルの観点では、U19WC前の練習試合を見ると、グローバル・アカデミーでの修行で弱点だったフィジカル部分がだいぶ向上し、攻守のインサイドでのぶつかり合いでもバランスを保てるようになりました。
得意のアウトサイド・ショットと速攻のリムランにも磨きがかかっているようです。また、かつてのビーコルのキャプテン、生原秀将の薫陶を受けたリーダーシップの面でも大きな成長を見せ、U19のチームを引っ張る存在と言えるでしょう。

そして2023.06.19、FIBA World Cup 2023の日本代表候補に初選出されます。

FIBAからも川島悠翔と並んで注目を集めるジェイコブス。日本の1-2パンチの活躍に期待しましょう。

No5. 岡田大河

今大会でアンダー日本代表初選出となった174cmのPG岡田大河(大河)。
静岡県出身。お父さんの元さいたまブロンコスの岡田卓也は、静岡ジムラッツを率いてアメリカ独立リーグに参戦するなど海外での知見が豊富な方。そのコネクションで、中学生の頃からスペインの大会に参加していた大河は、自らのプレイスタイルと国としてのバスケのスタイルから、中学を卒業してスペインでプレイする道を選びます。

「大会に参加したり練習に参加させてもらって、スペインのバスケってチームプレーやバスケットIQを鍛えるような練習をしていたのです。今は1対1のスキルとかを学ぶより、バスケットIQを学びたいと思ったので、スペインを選びました」

スペインに渡って3年目の昨シーズンはプロ4部のチームでプロデビューを果たし、2022.08.07から開催されたNBAとFIBAが主催する「第12回 バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・アジア・キャンプ」(BWBアジア)では日本人プレイヤーとしてジェイコブス、湧川颯斗、川島悠翔と共に参加し、「男子オールスター」に大河が選出されます。

そして2023.02.18から開催された、USA以外の世界各国の高校生年代男子トップ40名が集う「第7回バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・グローバルキャンプ」(BWBグローバルキャンプ)に日本からは大河が選出され、数年後のNBAドラフト上位指名が期待されるMatas Buzelis(リトアニア)や既にD1ハイメジャー校にコミットしているMiro Little(フィンランド)やAday Mara(スペイン)、Elliot Cadeau(スウェーデン)などとプレイしました。

その経験と実績を携え、U19WCに向けた日本代表に初選出されます。
U19WC前の練習試合で初めてフルゲームでの大河のプレイを見ましたが、ショット、パス、ハンドリングのスキルは抜群で何より判断力に優れ、ボール運びとフロアの指揮官役に最適なプレイヤーです。体格とフィジカルでは他国のPGには劣るためディフェンスでは苦労する面もありますが、あふれるバスケIQでカバーします。大河がタクトを振るU19日本代表に期待しています。

No6. 八重樫ショーン龍

U18アジアで準優勝したメンバーの一人で185cmのSG八重樫ショーン龍(ショーン龍)。U18アジアでは川島悠翔に次ぐ平均得点12.4点を記録し3P確率は脅威の.500でした。

岩手県出身。仙台大学附属明成高校を卒業後は、比較的東北地方の高校生が集まる傾向にある白鷗大学に進学。スプリング・トーナメントでも早速出場し白鷗1年生トリオの一角として注目を集めていました。

U19WC前の練習試合でもタッチ良くコーナー3を決めていて、ディフェンス面でもコンタクトでは体格に勝る他国のガードに負けていませんでした。シューターぞろいのチーム内でどういう起用法になるかはわかりませんが、マルチネスHCからの信頼はかなりのものがあると思います。あとはディフェンスでさらにアグレッシブに上から攻めていければ、U18アジアで見せたような活躍をU19WCの舞台でも披露できると思っています。

No7. 湧川颯斗

U18アジア組で194cmのPGの湧川颯斗(湧川)。U18アジアではショットの確率は上がらなかったものの、アシスト、リバウンド、ディフェンス面で準優勝に大きく貢献しました。

広島県出身。福岡大学附属大濠高校2年時にはウインターカップを制覇。3年時にはPGにコンバートし、ウインターカップはベスト8で敗退します。
卒業後の進路は驚きと共に発表された滋賀レイクスへの特別指定選手および23-24シーズンのプロ契約。

22-23シーズンは23試合に出場。9試合で出場時間2桁を記録します。将来の海外挑戦を公言し、大学をスキップしてプロの道を選んだ勇気を称えたいです。

高校3年からPGを始めましたが、それも将来を見越したもの。まだまだハンドリングスキルは代表PGのそれには達していませんが、修行の一環としては理解できます。
U19WC前の練習試合でも、他国PGのプレッシャーとコンタクトをかわしきれずターンオーバーを喫する場面がありました。一方ディフェンスとスペースを突くドライブでは通用するところも見受けられました。U19WCではロロ・ルドルフの足首が万全ではないため、湧川のPGでの出場もあると思いますが、ハーフコートではターンオーバーに十分注意してパスをさばいて、オフボールで動いてからスペースに飛び込んで彼の良さを出してもらいたいです。

No8. 武藤俊太朗

U17WC組で190cmのSF武藤俊太朗(武藤:ぶとう)。その予選のU16アジア選手権ではソリッドなプレイと高いFG.643で準優勝に貢献しました。U17WCではエース川島悠翔を含め多くのプレイヤーが他国の高さと強さに苦しむ中、チーム3位の9.7点、FG.574の高確率でチームを助けてくれました。

新潟県出身。開志国際3年時はインターハイ準優勝、ウインターカップで優勝を果たします。優勝を決めた試合では40分フル出場の上で3Pは2/2のFG.800、20点11リバウンドの強烈なパフォーマンスでした。
高校卒業を前にしてB1の新潟アルビレックスBBに特別指定選手として加入し4試合に出場。

卒業後は明治大学へ進学し、こちらも早速スプリングトーナメントから活躍を見せていました。

武藤の良さは安定したプレイと高いFG%。派手な動きはないですが、戦術理解度が高く良いポジショニングでボールをもらって高確率ショットを放ちます。U19WC前の練習試合ではコーナー3のタッチが良かったです。彼のプレイはチームに安定感をもたらすでしょう。

No9. 小川瑛次郎

U17WC組で187cmのSG小川瑛次郎(瑛次郎)。U16アジア、U17WCどちらもエース川島悠翔に次ぐ得点を取っていたのが瑛次郎。特にU17WCではFG.600、3P.581とそのシュート力でチームを支えました。

秋田県出身。中学時代の第1回Jr.ウインターカップではエースとして秋田市立城南中学校を決勝へ導き、瑛次郎の31点11リバウンドのパフォーマンスで川島悠翔率いるNLG INFINITYを倒し(川島の負傷もありましたが)初代チャンピオンに輝いています。
卒業後は山形の羽黒高校へ進学し、1年時から主力として活躍しています。

瑛次郎の良さは何といってもシュート力。コーナー3Pを大胆不敵に放ちます。U19WC前の練習試合ではタッチはまずまずでしたが、あまりインパクトが出せず序列が下がっているように感じました。世界に挑戦したいという気持ちを前面に出して、国際舞台の場で輝いて欲しいです。

No10. 小澤飛悠

U18アジア組で188cmのSF小澤飛悠(小澤)。U18アジアではキャプテンとして、川島、ショーン龍に次ぐ平均12点の活躍で準優勝に大きく貢献しました。

山梨県出身。中部大学第一高校でも3年時にはでもキャプテンを務め、ウインターカップではチームをベスト4に導きます。福岡第一との準決勝に敗れはしたものの24点6リバウンド3アシストと活躍。
卒業後は日体大に進学。スプリングトーナメントではスターターとして上級生に交じって活躍し、関東大学バスケ新人戦のルーキーズ・トーナメントでは総得点で全体4位を記録しました。

U19WCでもキャプテンを務める小澤。いつもニコニコ笑顔が多く、率直なコメントからは器の広さも感じます。
プレイ面では体格を活かした当たり負けしないディフェンスと、レンジの広いショットが武器。1つの勝利に向けてチームを導いて欲しいです。

No11. 坂本康成

U18アジア組で194cmのSG坂本康成(坂本)。U18アジアでは初戦のレバノン戦で12点と活躍するもなかなかプレイタイムを勝ち取ることができませんでした。

千葉県出身。中部大学第一高校では小澤と共にエースの一角を成し、ウインターカップ準決勝の福岡第一戦でも18点11リバウンド3スティールの活躍を見せました。
卒業後は筑波大学へ。ルーキーズ・トーナメントではチームを準優勝へ導き新人王を獲得。いい状態でU19メンバーに入ってきました。

坂本の売りはシュート力。マルチネスHCの下ではコーナー3を狙うポジショニングが多くなると思います。U19WC前の練習試合では3Pに加えて、ドライブでもなんとか対抗しようと奮闘する姿が見て取れました。シューター陣に駒が多いチームなので調子によって起用方法が変わってくると思いますが、U18での悔しさを今大会で晴らして欲しいです。

No12. ロロ・ルドルフ

大河と共にU19初選出となったのが188cmのPGロロ・ルドルフ(ロロ)。USAサンディエゴ出身。現在はSt. Augustine High Schoolとクラブチームの大会のAAUではDream Visionと、どちらも強豪と言われているチームで活躍中という噂のロロ。
2023.02くらいから急にツイッター上で存在が取り上げられるようになった中、2023.06.02から開催された「第13回 バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・アジア・キャンプ」(BWBアジア)のメンバーにレバンガ北海道U18の内藤耀悠、名古屋ダイヤモンドドルフィンズU18の今西優斗と共に選出されました。

このキャンプ初日で足首を負傷したため活躍を見せることができなかったロロですが、2023.06.05、合宿参加のリリースも出ていなかったU19WCの最終メンバーに名を連ねます。まさにサプライズ。

記事中にもあるように目標としているのはウェストブルック。0→100に一瞬でギアを上げる加速力は近いものを感じます。

College-Hoops-Japanさんでも推してくれています。

2023.06.18時点での2024年大学入学年(Class of 2024)のPGランキングで全米35位ということからもそのレベルの高さが推し量れると思います。

ジャンプ力もすごい。

U19WC前の練習試合では足首の負傷の影響からか、最後のカナダ戦で数分のみ出場しただけですが、コートビジョンと加速力には目を見張るものがありました。なんとかU19WCで実力を披露し、その後のキャリアにつなげていってほしいです。

No13. 内藤耀悠

U17WC組で190cmのSF内藤耀悠(内藤)。U16アジアではチーム3位の平均出場時間でFG.531。3試合で2桁得点を奪い、ディフェンス面でも活躍してくれました。一方、U17WCでは世界の高さ強さ速さに苦しみ、なかなか思ったような活躍ができず、悔しい思いを味わったはず。

北海道出身。レバンガ北海道U18所属。U17WC後は、「B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2022」でチームを2年連続の優勝に導き、同じく2年連続のMVPを受賞。

その後2022.09.15、新設された「ユース育成特別枠」で登録するBリーグ初のプレイヤーとしてトップチームへの帯同が発表されます。

そして2022.11.30、ジェイコブスが保持していたB1リーグ最年少出場記録を更新する16歳10カ月19日でBリーグデビューを果たします。

22-23シーズンはB1で3試合に出場。歴史を変える新たな1歩を踏み出しました。
シーズン終了後は前述のBWBアジアにロロと共に参加し、U19WCメンバー入り。

内藤の良さはバスケIQと攻守のフィジカルの強さなのですが、U19WC前の練習試合では、国内の同年代と比べると圧倒的なフィジカルも、世界を相手にすると互角程度まで持ち込まれ、逆にハンドリング時にかけられるプレッシャーをはねのけられない姿が見えました。世界の強豪を前に色んなことが頭を廻っていると思いますが、下記のコメントで自身も自覚しているとおり、周囲と息の合わせたプレイを見せて欲しいです。

「素直にプレーしていては攻められないことが分かりました。ボールをもらう位置やもらい方を考え、ディフェンスの位置を見ながら、ショットクロック24秒の中で一番良いシュートまで持っていけるように、まわりをどんどん誘導していきたいです」

No14. 川島悠翔

U18アジア、U17WC、U16アジア、さらには2021年のU19WCメンバーでもある唯一無二の存在が200cmのPF川島悠翔(川島)です。
U16アジアでは26.6点(得点王)11.2リバウンド(全体3位)の大活躍でチームを準優勝に導き大会MVPを獲得。U17WCでも日本のエースとして19.1点6.7リバウンドと活躍しますが、ディフェンスが川島に集中する中で連戦の疲労もあり、厳しい戦いになりました。

群馬県出身。福岡大学附属大濠高校1年時にウインターカップで優勝し、大会ベスト5に選出。2年時のウインターカップではベスト8で敗れるも、その存在感は別格でした。

2023.02.14には、FIBA World Cup 2023予選Windows6の合宿参加選手としても招集されます。惜しくもロスター選出はなりませんでしたが、ホーバスHCからはシュートフォームやポジショニングなど様々な指導をもらいました。

2023.04.02、高校を中退し、ジェイコブスに続く2人目の日本人プレイヤーとしてNBAグローバル・アカデミー オーストラリアへの入学が発表されます。

そしてU19WCにはジェイコブスと並ぶ日本のエースとして世界に挑みます。川島のすごさは鍛え上げられた体幹と足腰の強さ。ディフェンスにコンタクトされてもバランスを崩さず柔らかくフィニッシュまで持っていけるドライブは世界レベルです。U16アジアでは3P.424を記録したアウトサイドショットも大きな武器。またNBAグローバルアカデミーにおいても垂直跳びは1番だったと語るジャンプ力も兼ね備えています。
夢のD1とその先に向かって、人生を変える大会にしてもらいたいです。

No15. 渡辺伶音

U17WC組で204cmのPF渡辺伶音(伶音)。チーム最年少にして最長身。U17WCでは川島に次ぐ平均出場時間で自分より体格の勝る相手に奮闘してくれました。

千葉県出身。福岡大学附属大濠高校では湧川の2つ下で川島の1つ下。

U19WCでは貴重なインサイドの戦力として活躍が期待されます。大会に向けた伶音の意気込みも頼もしいです。

「最初から生半可な気持ちで行くのではなく、強い意思を持って取りに行けば、全部取ることはできないかもしれないが、自分が取り組んできたことを出し切れば、間違いなくチームのためになるリバウンドを取ることはできると思っています」

柔らかなシュートタッチから"ファジーカス2世"と密かに個人的に呼んでいます。リバウンドからのアウトレットパスの判断や精度ではニックははるか遠い存在なので、少しでも近づけるようがんばって欲しいです。
U19WCでのインサイドでの奮闘、期待しています。

練習試合

U19日本代表は大会前にスペインで、地元スペイン、ブラジル、カナダと練習試合を行いました。結果は3連敗でしたが、強豪相手に何が通用して/通用しないかがわかったと思います。

VS スペイン

VS ブラジル

VS カナダ

1つの勝利を

U19WCの過去の最高成績は2017年、八村塁を擁してグループリーグでマリ、順位決定戦で韓国、エジプトに勝利した10位が最高。前回の2021年は全敗。
今回はグループCでブラジル、エジプト、セルビアと戦います。
ランキングだけを見れば日本が最下位ではありますが、あまりあれこれ考えず、1戦1戦目先の試合だけに集中して、すべてを賭けて今の全力を出して、チームのために奮闘してくれればと願っています。

初戦は日本時間6/24 22:00のブラジル戦。FIBAの公式Youtubeなどで見れます。みんなで応援しましょう!!

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