見出し画像

2023.9.16-18 day2 槍ヶ岳山荘〜西鎌尾根〜双六小屋

7:30 槍ヶ岳山荘発
8:10 千丈乗越
9:42 硫黄乗越
10:09 樅沢岳山頂
10:20 双六小屋
+双六岳ピストン

5時に目が覚める。明るくなってきていることを体が感じたようだ。

すでに周りは片付け、食事と賑やかな様子。

ようやく、自分のテントから、どんな景色が見えていたのかがわかった。
眼前に大喰岳だ。

テントから見た大喰岳と遠方の富士山

昨日の疲れはあまりなく、空腹を感じるほど。確実に回復している。

カメラを片手にまずは槍ヶ岳方面に向かう。すでに登頂ラッシュは始まってて、当分登頂はかなわないよう。
ただ自分自身、槍ヶ岳の登頂にこだわりがほとんどない。今回も槍ヶ岳山荘を通過、滞在するのは4回目だが、一度も登頂したことがない。
理由はわからないが、ただただ登頂することを想像してもあまりワクワクしないからかもしれない。機会があればしてみたい気もあるが。

山荘の前も人が多く、これは、自分のテント近くで朝日を見るのがいいのではと考えた。

早速来た道を引き返し、テント近くに戻った。

案の定、テント場から朝日を見ている人も少なく、テントも端にあったことから特等席からの眺めとなった。

今月登った大天井岳と、そこからのびる常念岳への山並の眺めが素晴らしい

次第に、夜は朝へと変わりつつある。
開けていく方面も素晴らしいが、その光があたる面もそれに変え難い。

そして、昨日は見ることができなかった太陽との対面。

槍ヶ岳、大天井岳、常念岳を見ながらの夜明け
自分のテントにも日が当たる
完全に夜が明けた槍ヶ岳

前日の雨と湿度で結露か何かわからないほど濡れたテントも、太陽のおかげで少し乾く。
乾かす時間を増やすためにもなるので、ここから朝食タイム。
とはいえ、朝食は味噌汁とコーヒーと白湯。これだけでかなりはほとんど目覚めてくれる。前日の脱水気味の体にはよく沁みてくれた。。

ここからパッキング。

前日、自身の山行史上初のアルコールを取らない日となった。胃腸の調子が悪かったからだが、おかげで食事とおつまみがほとんど減っていない。荷物があまり減っていないことに少し残念さを感じる。ただお酒を飲んでいないからか、体はスッキリしている。
パッキングをパターン化した今では、準備の時間はさほどかからず、問題はなかった。

自分にしてはそこそこ早い時間に出発。
とはいえ7:30はテント場では遅い方。

今日は、今回の山行の目的だった、西鎌尾根を歩く日。西鎌尾根は本当に好きなルートで、ここから双六小屋までの全てが最高。

西鎌尾根へのルート開始場所から見える景色

槍ヶ岳から西鎌尾根へのルートの開始は、下から始まる。集中はしないといけないが、見える景色がヤバい。
西鎌尾根はもちろん、その先の双六岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳と彼方に薬師岳。
三俣山荘からは鷲羽岳、水晶岳、赤牛岳が一望。一座一座を目で追いながら、行った山はその思い出を。行ったことのない山は想像を膨らまし、ここだけで胸がいっぱいになった。
ただ進まないと進めない、なんて当たり前のことを考えながら歩を進める。

ふと後ろを振り返ると結構降りてきたことを気がつく。

槍ヶ岳から結構降りてきた

どんどん槍ヶ岳の様相が変わっているような気になる。下から見ると槍も小槍も同じ高さのように見える。

改めて西鎌尾根方面に目を向けると、槍と小槍が影になって見える。

影槍ヶ岳と影自分の一枚

西鎌尾根全体が自分の目の高さに近くなってきた。かなり降りてきたよう。
ただまだまだお楽しみはあるようだ。

ここからはアップダウンを繰り返しながら双六小屋に向かっていく。
この日は前日とうってかわって最高の天気。何回も止まり、景色を堪能する。

樅沢岳方面
槍ヶ岳方面の西鎌尾根もまた素晴らしい
上から伊藤新道が見える

最近気になっている伊藤新道の一部が上から見下ろせた。上からはっきり見えるくらいなので、ルート上はさぞかし開けた明るい沢なんだろうと想像が止まらない。
とにかく西鎌尾根は楽しい。

どんどん進むととうとう最後のピークである樅沢岳の登りが始まった。
ちなみに槍ヶ岳では入ったり入らなかったりしたdocomoの電波が、西鎌尾根では大体バッチリ入った。ただ、樅沢岳を最後にまた入らなくなるのだが。。。まぁ山に来てるんだしデジタルデトックスをしていると考えよう。

樅沢岳山頂が過ぎるといよいよ双六小屋が見え始める。すでにテントも数張りあり、やはり三連休の人が多いことを改めて認識した。

前の日、結構頑張ったので、この日はここで終わり。最後、ゴールが見えてからの下りはやはり安心するのか一瞬足首をグネりかける。集中するよう、自分に言い聞かせる。すぐ気を抜くのは悪い癖だ。いや、特徴か?

そして双六小屋に到着。
この日は体調良く、腹も空き、テントの受付を済まし、早速昼食。
この双六小屋もお気に入りの小屋で、食事は美味しいし、生ビールもある。テント場も平で広く、最近は予約制になっていることもあり隣との干渉もなかった。とにかく過ごしやすい。
小屋泊でも過去利用したことがあり、綺麗で快適。談話室も居心地よく、ここは山か?と思うくらい。
そもそも一番が、小屋の方々のホスピタリティが高いことだ。過去、一番利用した小屋。これからも小屋として存続してほしい。

山で五目あんかけ皿うどんが食べられるとは。。。

11時にはテントを建て始め、今日はダラダラゆっくりしようと考えた。テント早く乾いてほしいなぁとか、今日は夕日撮れるかなぁとか。今日こそはビールたくさん飲めるかなぁとか。。。昨日のことをすでに忘れている。

そんな時、笠ヶ岳から双六小屋に向かってくる登山者で、じーっとこっちを見ている人がいる。なにかな?と思ったら、自分の名前を呼ぶ声がした。この日、同じく笠ヶ岳に泊まっていた友人がいたのは知っていたが、その彼だった!
思わず駆け寄り、久しぶりの再会に嬉しさを隠せない。
彼はとても歩くのが早く、もうだいぶ前に通過したと思っていたが、笠ヶ岳で出会った方と話をしながらじっくり歩いてきた結果、この時間になったということ。偶然だが、そういう縁だったんだろう。
久しぶりの再会に、短い時間だったが話に花が咲いた。印象に残ったのは、深田久弥の日本百名山の話。彼曰く、百名山目指してる人は多いものの、あの本を読まずやってる人はモグリだと。あの本に書かれている内容は、とても登山の教本にもなり、素晴らしいないだということだった。自分は百名山を目指してないが、彼の熱意に興味が湧いた。

そうこうして、彼も今日は雲の平まで進むということで、名残惜しく別れる。疲れたら三俣で泊まるということだったが、後で聞くとやはり雲の平まで行ったようだ。素晴らしい山力。

ここから時間ができた。
今回の目的の一つだった、双六岳の通称『滑走路』から望む槍ヶ岳の撮影をしたいのため、双六岳に登ることにする。

登り出しはまだ空が見えていたが、三俣山荘への分岐のあたりでガスが出始めた。
振り返ると槍ヶ岳は見えない状態だった。
それでも晴れてくれることを願って登り続ける。

登りの途中、鷲羽岳は見えていた

双六岳の滑走路に着いた頃には樅沢岳すら見えなくなっていた。
それでも山頂向け歩を進める。

双六岳から先は何も見えない

山頂で一休みがてらガスが晴れるのを待つ。
同じように待つ人が数人。あとはかわるがわる双六小屋からと三俣蓮華岳から来る人たち。皆それぞれに晴れない景色に残念な声もするも、声はなんだか楽しそう。

1時間半くらい待つがどんどんガスが出てきて、テントに戻ることにする。

下山途中に見えた額に入ったような鷲羽岳

山の上でお話ししてた方が隣のテントの方だった。その周りにもテントが増えていた。増えたテントの方は年配のお母さんと娘さん2人で、娘さんたちがお母さんを連れてきたらしい。なんて素晴らしいことか。
一瞬晴れたこともあり、娘さんたちは景色を見るために飛び出して行った。素晴らしい瞬発力。

ビール片手に夕食の時間にするとこにした。
この日は雑炊を先に食べたが、全く足りず、サラスパに無印のカルボナーラを作ることにした。お湯は捨てるつもりがなかったが、ゼロにすることもできずどうしようか考えていだが、少なくなったお湯がある状態でパスタソースを足し食べることにした。これが成功で、ちょうどいい感じになった。サラスパのいい食べ方を会得した気がした。やはりサラスパは山では効率いい食べ物だ。

テントのお隣さんはというと、東京から山梨に移住をされた方で、山梨で一軒家を購入され、今住まわれているとのこと。大好きな山の近くで、犬もいて、大変楽しそうに見えた。
やはり移住する方は確実に増えていると感じる。ただ共通して言えるのが、移住先の近くに山や水や、自然に関する要素があることだ。田舎だからどこでもいいというわけではない。田舎なりのキラキラした何かがないといけない。自分が仕事で関係した自治体でも同様の話があったが、個人的に見てそこ自治体には本当に魅力がなかった。いくら家を準備しても人は来ないだろう。そういう意味では、山梨、長野あたりに人気が集中するのはよくわかる。

そんなことを考えていたら夜も更けてきた。
天気は悪いが、昨晩は新月。今宵も19時には月は地平線に沈んでいくので星空には最高の環境。
夜半に晴れることを願いながら、少し眠ることにした。

ただ、隣のテントの女性の声が大きく張るタイプの人なので、正直五月蝿い。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?