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3/29 負傷猫の保護と外猫について。

早速の記事がこれというのもどうなんだという気がしますが、負傷猫の保護依頼があり、保護しましたのでその時のことを。

3/29のお昼頃、団体のメールフォームから問い合わせがありました。負傷猫を発見したので助けてほしいとのこと。自宅の前で倒れていて、後肢が両方ともグチャグチャになっているということで現場に向かいました。

段ボールの中に毛布を敷いて入れてあるということで見てみると、運良く傷は足だけで、太ももから頭にかけては無傷、眼の光もしっかりしていました。助かる見込みがあるかもしれないと思い病院へ。低体温状態になっていたのでまずは抗生剤と点滴で回復を優先して、麻酔に耐えられるくらいに持ち直してくれれば断脚手術ということになりました。

耳カットが入っている老猫だったので、おそらく地域の誰かが捕獲して避妊手術を済ませた地域猫さんだったのだろうと思います。少し話は脱線しますが、耳の先が少し切れていて桜の花びらのように見える野良猫さん、あれは地域の方や依頼されたボラさん等が捕獲して、避妊・去勢手術をした子たちです。

日本において人が暮らす地域では、誰もが野良猫に暖かい目線を向けている訳ではありません。従って頭数が増えすぎないように管理をする必要があります。また、全国的に猫の殺処分は子猫の数が圧倒的に多く、体の弱った子猫や負傷した子猫などは回復が難しかったり1頭あたりのお世話が非常に大変なので、生まれてきてすぐに殺処分されてしまう確率が非常に高いのです。
運よく生き延びたとしても、猫が増えすぎることによって地域に住まう方々の野良猫への感情が悪化してしまうと、駆除と称した虐待に発展する可能性もあります。そういった事態を防ぐために捕獲・手術をして緩やかに外猫を減らしていこうというのが地域猫活動なのです。

ただ、これもどこまで有効性があるかは議論が分かれているところでもあります。猫の行動範囲は広く、あらかたの猫に対して対策を終えたとしても、他地域から流入することはしばしばあります。また、猫は知能の優れている生き物なのでどうしても捕獲機に入ってくれない子もいます。野良猫をゼロにすることが難しい現状では、猫たちへの対策と同じかそれ以上に、地域に住んでいる方々とのコミュニケーションが重要だと思います。更には、飼い猫に手術を施さないままに外と家を自由に行き来させてしまう飼い主などもいますし、そもそも猫を遺棄する飼い主だっているわけで、まだまだ問題は山積みです…。

僕は個人的に猫の外飼いには明確に否定的です。僕が活動しているような都心部では特に。野良猫さんに関しても、どうしても馴れなそうな生粋の野良さんは仕方ないにしろ、捕獲・手術を終えた子に関しては可能な限りそのまま家猫として馴らしていきながら里親探しをするのがベストだと思っています。

人間中心主義だと言われるかもしれませんが、猫が嫌いな人やアレルギーを持つ人、糞尿被害で困っている人に対して「猫は可愛いのだから我慢しろ」とは思えませんし、そもそも外は猫に対してとても過酷な環境です。車や電車は多く行き来するし、前述したように猫への悪感情から虐待に走る人間も多くいます。室内で飼うことが猫に対して過度なストレスをもたらすという研究結果でもあれば別ですが、むしろ室内で飼われた猫の方が寿命も長くストレスなく過ごすことができると言われていたりもします。

個人が好むにしろ好まざるにしろ、生まれてきたときから今に至るまで文明の利便性を享受しているのが人間です。猫のために車を走らせるなと言って聞き入れてくれる人はいないでしょうし、いたとしてもそんなに多くはありません。それがいいかどうかは別として、環境の大部分は今や人間を中心として回っているのだということを受け容れなければ、実効性のある活動はできないのでは、と思っています。

団体でお世話になっている病院の先生が「動物を飼うということ自体がすでに人間のエゴなのだから、それを認めたうえで最大限動物たちが快適に暮らせるように手を尽くしましょう」というような趣旨のことをよく著書などに書かれています。僕はこの考えに賛成しています。これを拡大して考えてみると、人間と動物の関係性は常に人間のエゴによって成り立っていると言えるのかもしれません。有史以来、ずっと人間は色んな形で動物を利用してきている………その膨大な歴史を、ひっくり返せるともひっくり返すべきだとも、今の僕には思えません。だからといって、現状のままでいいとも思いませんが。

利用しているといっても、モノではなくいのち。いのちに対する敬意を持ち、最大限の配慮を行いながら人と動物がともに共存していく、といったようなことが今の僕の目指すところです。

今回運よく保護できた猫さんも、地域猫として長く愛されてきたのかもしれないけれども、いのちが繋がったとしても足は失います。これが最初から家猫になっていたら………どうしても、そう考えてしまいます。(地域猫活動に尽力されている方を否定するわけではありません。家猫にするには相当の労苦が伴うことも分かっているので)

足がなくても美しい、人魚のように余生を過ごしてくれたらという意味を込めてアリエルと名付けました。もしいのちが繋がり、退院することが出来たなら団体で保護して里親探しをする予定です。里親様が現れなかったとしても、助けた以上最後まで責任を持って世話をしていこうと思っています。

まだまだ予断を許さない状況ではありますが、無事に手術を終えて戻ってくることを願っています。頑張ろう、アリエル。





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