【読了】サーバント・リーダーシップ入門

読んだ本

この本は元・資生堂相談役である池田 守男さんが資生堂の社長の時に自らが行なった組織改革の経験を元に、著者である金井 壽宏さんと共にサーバント・リーダーシップについて対談する内容となっています。

チーム内でのリーダーのあり方についてではなく、どちらかといえば経営者や会社内である程度の立場にいる方の視線から見たサーバント・リーダーシップについて、クリスチャンや日本人的な考え方をミックスさせつつ解説しています。

サーバント・リーダーシップってなに?

よく想像されるようなグイグイ引っ張るようなリーダーシップとは異なり、サーバント(奉仕する人、尽くす人)となりミッションの名の下にチームやクライアントに対して奉仕者となることによって、チームを下から支える形のリーダーシップです。

ただし、ここでいくつか注意しなくてはならない点があります。

まず一つ目がここで使われる「サーバント」は従者や召使いという意味ではない、ということです。

時にはそれに近い雑用などの役割を担うこともありますが、あくまでそれはミッションに対して向かっている相手を支えたいと思う奉仕する心によって行うのであり、ただ無意味に支えるのではただの便利な人になってしまいます。

二つ目が目指すべきミッション・目標・信念・理念をリーダーがしっかりと持ち、またそれをチームメンバーに明確に示す必要があります。

そのリーダーがどこに向かっているのかがわかって、初めて人はそれに共感し、付いて行こうと思います。
それによって自然とリーダーシップが発生するのが、サーバント・リーダーシップの特徴です。

感想・考察

ポジティブな感想

・リーダーが掲げた信念・理念に対して共感したフォロワーがいて、初めてリーダーシップが発生するという仕組みに目から鱗だった。

サーバント・リーダーシップを学ぶにあたり、なぜそのような形態で組織やチームを維持することができるのかが疑問でしたが、このことが理解できただけでもこの本を買ってよかったと思えます。

このことを踏まえて考えてみると、ゆめみで働いている方の多くが無意識のうちに多かれ少なかれサーバント・リーダーシップを発揮していることに気づかされました。

信念を示す方法も人によって異なり、積極的に発信する人もいれば、言葉の端々や身振り、行動で示す人もいて、観察していてとても面白いです。


ネガティブな感想

・素晴らしい良書ではあるが、チームでの運用などもう少し小さなスコープでのサーバント・リーダーシップについての解説を期待していたので、自分の求めていた内容とは少しずれていた。

この本は池田さんが長年勤めた秘書と資生堂の社長だった時の経験を元にサーバント・リーダーシップについて語られているので、どうしても考え方や手段の規模が大きくなってしまいます。

もちろん、そこから学べることもたくさんあるのですが、マネジメントする側からの視線ばかりで、自分には書いてある例などをどうしても上手く実感することができませんでした。

・これは既にある程度の権力やカリスマ、尊敬されるものなどを持っているからこそ有効的なのであって、それがなければ成り立たないものではないのだろうかという疑問。

本書ではサーバント・リーダーシップはフォロワーからの信頼を得られ、リーダーの持つ理想に対して自主的に動き出した時に発揮されるものであり、それに権力やカリスマなどの要素は重要ではないと解説されています。

そこで感じたのは、確かに最終的にはリーダーが示した理念に対し、それに共感したフォロワーが自主的に行動し、それをリーダーが支えるといった正のループが生まれるのでしょう。

しかしながら会社などの考え方が異なるたくさんの人が集まる組織で、いきなり新しい概念を実行するのはとても難しいことだと思います。

今回は「社長」という肩書きがあったからこそ、途中で崩壊せずにサーバント・リーダーシップを示せるようになるまで続けられたのではないのでしょうか。

事実本書では当初は現場と管理側とで実際に理念に共感しているとは言い難く、理解と信用が得られるまで多大な時間を消費していることが書かれています。(組織として当然の反応であるのでしょうがないとは思いますが…)


自分のリーダーシップについて考察

今まで自分が取ってきたリーダーシップについて考えると、やはり芯となる信念…とまではいきませんが、目標や考えていることが周囲にきちんと周知できていなかったなと思います。

そのためフォロワーができず、周りは何をやっているのかわからず、また自分は結局一人でやって周りとの意識の差に空回りするというのがよくあるパターンでした。

そしてチームにおける心理的安全性や癒しを確保されていないのも、悪影響を与えています。

これらの「信念に対してついて行こうと思わせる力」や「心理的安全性の確保の方法」はこれからの課題となりそうです。

それがクリアできた時、改めてサーバント・リーダーシップとは何かを考え直すと、またこの書籍を違った形で読むことができそうです。

最後に

まだまだ自分の中で「サーバント・リーダーシップ」というものが上手く飲み込むことができていませんが、他の書籍を読んだり自分で試しながら自分なりの「リーダーシップ」について考えていきたいと思います。

まずはわかりやすそうな、これとかこれ読んでこうかな。

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