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The Tampon Book/The Female Company

2019 カンヌライオンズ PR部門 グランプリ

・ファクト

ドイツでは軽減税率の適応で生活必需品の税率は7%なのにタンポンの税率は19%のままだった。(高級品のトリュフでさえ7%にもかかわらず!)フェミニストの間では割と知られていたがドイツの女性にはあまり知られていない事実だった。

・内容

生理用品メーカーThe Female Companyは税率が7%の本にしてタンポンを発売。生理にまつわる話が書かれていたり、付録として15個のタンポンがついてくる。

・結果

初日で1000部完売、第二版の6000部は1週間で完売。

ドイツの財務省によってFacebookの投稿が制限されたものの、女性議員やインフルエンサーがSNSで拡散。

オンラインムービー1050万回再生

オンライン上の署名が15万人以上集まり、ドイツ議会でタンポン税について議論されることになった。

・ターゲット

タンポンに19%もの税率がかかっていることを知らない女性ユーザー

・このキャンペーンで果たす役割、目的

1.税率を表した「タンポンの本」を発売することで、ユーザーに税率19%への違和感を感じ取ってもらう。1枚の写真とユーザーからの一言でネット上でドイツにとどまらず世界に広げていく。

2.タンポン業界全体の問題としての「税率」をテーマにすることで、法改正し税率を下げ、The Female Companyをタンポンの会社として世界中の人々に認知させる。

・ターゲットインサイト

19%も税率がかかってるの!?不当よ!署名して下げてもらうわ!!

・このキャンペーンのイメージ

ポップ、手軽、反抗

・メモ

これからのPRで成功するためには視点をなるべく上げることが大事。

今回の例はドイツのタンポン購入者の女性だけでなく全世界の女性への考えを改めなければいけないと思っている人の心に届いたからフェミニストや女性インフルエンサーの発信を得られた。その人の大義とか哲学と結びつけることが広がる秘訣。


あと、相手が大きければ大きいほど煽られた人は一致団結する。今回の相手は「法」だった。普通なら税率19%が不条理だと感じつつもその中でマーケティングを考えていくものだと思うけど、今回はその前提条件を覆した。PRと販促(売り上げを伸ばす)はやっぱり分けて考えるべきだということを教えてもらったPR事例。

ギモン

このキャンペーンが”バズる”という言葉よりも広がっていくイメージが強いのはなぜだろう。


↓AdAgeから印象に残った言葉。

“We believe that ‘The Tampon Book’ is a great example of modern communications," says PR Jury Chair Michelle Hutton, managing director of global clients at Edelman. “It combines creativity with the craft of public relations.”
The jury was specifically looking for a winner that elevated the practice of public relations, according to Hutton. “We came here knowing this was our opportunity to somewhat reset PR at the festival,” she says. “PR is not a channel—it is a craft, and a craft that matters more today to businesses and brands and society.”


参考文献


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