箱[いぬ いぬ]

倉田タカシと申します twitter: deadpop

おばけが

おばけが出るから帰ろうよ、
と友だちのガイコツが右の眼窩に住むアマガエルの声を借りて訴えるので、しかたなく引き返すことにしたけれど、帰り道がわからなくなってしまいました。あたりはすっかり真っ暗で、空中に浮かぶ馬の形をした炭になんどもぶつかりました。朝まではまだ200年もあるのです。

おばけが出るから帰ろうか、
と部長が会議室でつぶやきました。わたしたちは安堵の顔を見合わせ、黒い影になって天井の隅

もっとみる

メロスにはにはかににはににはうらにはにはにはにはとりがゐるやうに思へ、

「頭のなかに餡が詰まってるみたいな気分になるんだ」
「じゃあこっちの頭を試してみて」
「これも同じ……いや、さっきの頭よりもたくさん詰まってるような気がする……」
「さっきのよりもたくさん詰めたの」
「なぜ……」
「これも試してみて」
「これは……ほ、ほとんど餡だけ……」
「薄皮だから」

「頭のなかに餡が詰まってるみたいな気分を味わいたくないんだ」
「でも木工用ボンドじゃ嫌でしょ?」
「も……」

もっとみる

西瓜

「私に食べられたがっているスイカが毎晩夢に現れるんですけど、出てくるたびに直径がぜんぜん違うんです」
「現実にスイカをお食べになりましたか」
「割るところまではいくんですけど、食べようとすると折り紙になります」
「それも夢のなかの話なのではないですか」
「スイカを食べたい」

「割るところまではいくんですよ」
「夢のなかで……」
「まあ夢のなかで」
「やっぱりスイカを食べてから目覚めたいですか」

もっとみる