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エンタメ系イベントの制作ワークフローを75個に分解してみた

イベントを作るのって大変ですよね。
株式会社闇のトンカ(@tonka1981jp)と申します。
※株式会社闇っていうのはホラーを専門とした一風変わった制作会社です。

株式会社闇ではお化け屋敷やホラーイベントといったエンタメ系のイベントを手掛ける仕事が多いんです。
でその度、毎度思うんですよ。イベント制作業務って作業があまりに多岐にわたり過ぎじゃないですかと。

この仕事を初めて、はや8年目。おおよその流れは体に染み付いてきてるんですが、それでも「次何するんだっけ」と戸惑うことも多いのです。そこでエンタメ系イベントを制作するワークフローをとにかく思いつく限り分解してみました。
そうすることで私自身の戸惑いも減り、また社内でイベント業務に携わるメンバーや、これから将来、株式会社闇で活躍してくれるであろう新人さんの助けになるのではないかと思いました。

書き出してみましたが、工程は75になりました。これでも結構まとめたつもりではあるのですが……多いですね。そりゃ大変なわけだ。
工程ごとの説明や注意事項を書き足しています。
基本的にこの通りやれば、ある程度のイベントが実現可能、なはず…。
さぁ、見出し項目を全てタスクに登録してみるところから始めましょう!
(当然イベント内容によってケースバイケースですし、あくまで私の、株式会社闇の知見をまとめたものとしてお読みください)

もしあなたがイベント制作で困った場合、このワークフローを参考にしてみてください。なにか参考になるかもしれません。



1. 立案フェーズ

1-1: オリエンテーション / ヒアリングを行う

自社立案企画でない場合、主催者、場所提供者、代理店などから「イベントを実施してほしい」と依頼があります。
その際に、できる限り依頼主の要望を聞き出しましょう。
最低限聞き出すべきことは下記のような内容です。

  • イベントの目的

  • イベントの定量的な目標

  • イベントに期待すること

  • 予算

  • スケジュール

  • 実施期間

  • 会場

  • その他イベント実施に関わる条件

  • 類似過去事例の情報

自社企画の場合も決めるべき内容は概ね同じです。
外堀を埋めるところから始めましょう。

1-2: 粗目のチーム編成する

まずはこのプロジェクトを仕切る「ディレクター」を決めます。
ディレクターはこのプロジェクトの責任者・監督として全てを取り仕切ります。
・予算を外部から集める必要があるなど、ビジネス要件が強い案件では「プロデューサー」
・技術要件のレベルが高い案件では「テクニカルディレクター」
・美術要件のレベルが高い案件では「アートディレクター」
といった専門職をプロジェクト当初からアサインするケースもあります。
またイベント業務は雑務が増えるので「アシスタントディレクター」がいると進行がスムーズです。

またイベント業務では長期に渡って社内、社外問わず様々な職種の方に参加して貰う必要があります。案件の確定度に合わせ、迷惑にならない範囲で外部スタッフ等に予定の確認など声がけを始めます。

1-3: 粗目のスケジュールを作成する

企画を詰め切る前に、ざっくりとしたスケジュールを作成します。
タスクをブレイクダウンする前に、下記のような粒度の項目を半月ぐらいの単位でプロットします。最初に粗いスケジュールを制作することで、制作前の準備などに、どの程度時間を掛けてもよいかを算出します。内容がある程度固まってきたら再度スケジュールは更新します。

  • 調査

  • 企画

  • 制作

    • 企画 / 脚本 / ギミック・謎・ミッション

    • 舞台美術制作

    • 小道具 / 衣装手配

    • 照明・機材手配

    • スタッフ / キャスト手配

    • 映像 / 音 制作

    • 印刷物 / ウェブ / SNS 制作

  • 広報

  • 設営

  • 運営

  • 撤収

1-4: 粗目の作業分解を行う

粗目のスケジュールにあわせ、それぞれの項目を作業分解します。
Backlogなどのタスク管理ツールに登録します。
ここでは作業を分解しすぎず、詳細なタスクをまとめあげる親カテゴリを作るようなイメージで分解します。

1-5: 粗目の予算編成見積もりを作成する

見積もりの叩きを先に作っておくと、企画を考えるフォーカス精度が高まるのでおすすめです。スケジュールで出てきた項目にざっくりと費用を割り当てていきます。
おおよその部門ごとの費用感が算出でき、また担当範囲が明確になります。


1-6: マネタイズ手段を検討する

依頼された興行の場合は不要ですが、自主興行の場合、どの程度興行収入を見込めるかで内容が大きく変わります。またマネタイズ手段も多様にあり、どのようなマネタイズを行うのか決めておきましょう。
具体的には下記のようなものです。

  • チケット販売による収入

  • 配信チケットによる収入

  • 製作委員会の組成

  • スポンサー集め

  • 協賛集め

  • クラウドファンディング

  • イベント助成金

  • グッズ販売

などです。それぞれにヘビーな作業量がありメリット・デメリットが存在しますので適切に計画しましょう。



2. 調査フェーズ

2-1: 現地調査を行う

会場がすでに決まっている場合、まずは現地に訪れて調査をしましょう。
会場の雰囲気、会場のキャパシティ、屋根の状況、現場の資材・機材、最寄り駅からの導線、トイレ位置、人通り、現場の状況を生かしたアイデアなど、得られる情報は山のようにあります。
現地調査時には360度カメラで動画撮影することをオススメします。帰った後でも多くの現場検証が可能になり、また現地調査に参加していない他のスタッフにも状況を理解してもらいやすくなります。

2-2: 過去イベント事例の調査を行う

会場がすでに決まっている場合で、かつ現在その会場で別のイベントが行われている場合は、当然そのイベントに参加すべきです。現地調査で挙げた項目の多くを確認できます。
現在開催中ではなく、過去に実施例がある場合は、できる限りそれらの情報をヒアリングしましょう。興行主だけからでなく、体験した人のSNS感想やブログの感想も一通り洗いましょう。評価ポイントや課題が浮かび上がってきます。


2-3: 競合イベントの調査を行う

類似のイベントに数多く参加することでゲストの満足ポイント、不満ポイントがある程度見えてきます。自分たちが企画する際の「差別化のポイント」「強み」「弱みやリスク」を相対的に捉えることができます。ターゲットやオペレーションのイメージも掴みやすくなるでしょう。


2-4: ターゲットの調査を行う

イベントに参加してくれるゲストは、1つ以上のクラスターに属してると言えます。狙うべきクラスターそれぞれの特徴や流行、市場規模を捉えておくとイベント企画の良し悪しが判断しやすくなります。(ここで言うクラスターとは趣味嗜好を共通とする集団的な特徴をもつグループというニュアンスで使ってます)
具体的に、アイドル/ 芸能 / お笑い / 謎解き / 2.5次元 / 人狼 / 演劇 / ホラー / 特定スポーツ / 歴史 / 地域 / サバゲー / ゲーム / ギャンブル / ファミリー / 学生 …などなど
余裕があればユーザーインタビューを実施したいところです。難しい場合でも知人友人のつてを辿りある程度の識者数名に話を聞くだけでも、温度感や、醍醐味、課題など多くの情報を手に入れることができます。



3. 戦略フェーズ

戦略3-1〜3-6までの詳細は以前書いたnoteに詳細を書いています。
合わせてどうぞ。
https://note.com/death_co_jp/n/nfa19942b1ad8

3-1: 目的、目標の整理を行う

3-2: ターゲットを設定する

3-3: ターゲットのインサイト・ベネフィットを探る

3-4: ベネフィットを達成するアイデアを決める

3-5: アイデアを明確に表現できるコンセプトを決める

3-6: コンセプトを体現できるクリエイティブ方針を決める

※ここまでは以前のnoteを参照ください。
クリエイティブは複数種類考えるのが望ましいです。
というのも人間、なかなか最初に思いついたアイデアに固執してしまうバイアスがあるので、企画者本人でも企画の良し悪しをジャッジできないケースが生まれます。
複数案を作ることで、同じアイデアでもクリエイティブを多角的に捉えることができます。例えば「保守的なプラン」「尖ったプラン」などです。費用的な松竹梅を作るケースもあります。また企画者以外のステークホルダーも複数案あることで総合的に判断しやすくなります。一人で制作するより、企画を考える専門職であるプランナーを巻き込むなど、多くの人の力を借りるべき大事なフェーズです。

3-7: イベントのプロットを制作する

クリエイティブの方針が決まれば、それをプロットに起こしていきます。
「どういう設定なの」
「どうはじまるの」
「イベント中に何をするの」
「イベント中に何を楽しむの」
「こんな瞬間があると最高」
「どう終わるの」
あたりを簡潔にまとめておくとよいでしょう。

3-8: ゲスト体験を具体的に文章化する

あるゲストがイベントを知るところから、当日の行動をすべて書き出してみます。
私の場合はそのときどきの感想も交えて文章化します。
(カスタジャーニーマップに近いものです)
ゲストの理想的な感情曲線を想定でき、そこに必要なギミックやアイデアなどが見えてきます。またどこで情報を知り、駅を出て会場に向かい、会場に入り、という事細かな描写をすることで、広報計画や会場動線、必要なオペレーションを洗い出すことができます。
このゲスト体験文章は可能な限り、企画進行とともにアップデートしましょう。

3-9: 決裁者が納得できる企画書に落とし込む

どんな目的を達成し、そのためにどんなターゲットを想定し
ターゲットのインサイトからベネフィットを導き出し、
そのベネフィットに叶うアイデアを生み出し
そのアイデアが生きるコンセプトを立案し、クリエイティブに落とし込む、
という一連の流れに破綻がないように説明できる企画書が理想です。
ただしクライアントや決裁者(その先のゲストも想定)に情報を伝わりやすく整理する必要があります。ロジックもさることながら、キャッチーであるか、情熱が乗っているかどうかも意識しておくと企画書の精度が上がるでしょう。

3-10: 決裁者のフィードバックを複数回受け企画精度を高める

多くの決裁者は企画者以上の情報を持っています。
そこで複数回のフィードバックを決裁者からもらいながら、企画書の詳細制作を進めていきます。大きなどんでん返しをくらわないよう、確定した情報を都度整理しておくことも忘れずに。

3-11: 他人に説明しやすい1枚のシート(戦略シート)にまとめる

企画書とともに上記内容をまとめたシートを作成します。このシートを制作担当がそれぞれ持っておくとチーム感での目的のズレを防ぐことができます。すぐに確認できるようスケジュールとともに戦略シートを壁に貼っておきましょう。



4. プロジェクト計画フェーズ

4-1: 開催時期を確定する

企画にGOがでたら、まず開催時期を明確に確定しましょう。これが正しいスケジュールを割り出すための最大の情報となります。

4-2: 具体的な作業分解を行う

以前作った作業分解内容を企画に合わせさらに細分化していきます。
ゲスト体験の文章を明確にしておくことで多くのタスクも洗い出すことが可能です。
Backlogなどのタスク管理ツールに登録していきましょう。
タスク登録漏れが発生しやすいので、チーム全体でタスク登録ルールを明確にし、各担当ごとに登録作業をすすめましょう。各担当者が忙しく登録作業が難しい場合は、プロジェクトマネージャーがヒアリングしながら作業を引き取ります。
作業細分化の粒度は、弊社の場合2、3日程度で終わる程度のタスクに分解するケースが多いです。タスク管理ツールに慣れていない外部コラボレーターには設定したマイルストーンと締め切りを都度連絡します。

4-3: 具体的なスケジュールを作成する

以前作った粗目のスケジュールを分解した作業に合わせ更新します。
全体を見渡せるスケジュールともに、各担当ごとの作業を可視化するためにガントチャートを制作します。スケジュールには決裁者のフィードバックにかかる時間やブラッシュアップ期間など適切なバッファを加えておきます。

4-4: 具体的なチーム編成を行う

企画したクリエイティブに特化した人を正式に集めます。
担当範囲が曖昧にならないよう明確にしていきましょう。
(もちろん担当範囲を超えて自由に意見を出しあえるチームが理想です)
また運営に携わるチームも別途集める必要があります。運営ディレクターとよばれる運営チームの監督も決めましょう。ディレクターが運営ディレクターを兼任する場合もあります。
チームの協業能力を高めるため、コアメンバーやサブメンバーの情報伝達方法や連絡ツールを整備します。定例ミーティングなどを適切なタイミングで行えるよう段取りします。
また各担当の概算見積もりも早めにもらえるよう手配します。

4-5: クリエイティブのフィジビリティ(実現可能性)を確認する

技術ハードルが高い企画の場合は企画の段階で都度テクニカルディレクター等専門職に相談しながら企画を行います。企画GOがでたらより詳細なフィージビリティチェックを行います。簡易な技術デモを機能単位で実装し問題点がないかを洗い出します。
技術ハードルが高くないケースでも、演出アイデア単位で簡易に実現できるものは実現し、所感やリスクを確認することが重要です。

4-6: 具体的な予算編成見積もりを制作する

各担当から上がってくる見積もりを積み上げます。
社内稼働分も予想稼働時間をできる限り詳細に予算に計上します。
イベント業務では交通宿泊費や会議費、細かい雑費などが無慈悲に積み上がっていきますので項目に抜け漏れがないようにし、バッファを十分に考慮しましょう。
またイベントの成功、失敗は内容もさることながら宣伝・広報のウェイトが非常に大きいです。そのための費用も十分に確保しましょう。
もちろん利益をださないと興行主として次に繋げれませんので、その点も十分に注意しましょう。

4-7: マネタイズ計画をより明確にする

どのようなマネタイズを行うか決定したら、それぞれの手法を具体的に動かしましょう。チケット販売は前売りや当日(場合によりグループ割引や学生割引)のチケット価格を決めます。プレイガイドやチケット発券サービスの選定も重要です。サービスにより手間や手数料が異なります。
製作委員会組成やスポンサー集めが必要であれば、早い段階から多くの人に会わなくてはなりません。また同業他社を避けるなどの調整も必要です。
クラウドファンディングを実行するならその準備にかなりの時間が必要です。グッズ制作なども内容やロットによって、海外に発注するケースなど早めに着手しなければならないケースがあります。それぞれのマネタイズ予算を全体の予算編成に組み込んでいきます。

4-8: プロジェクトマネジメントを行う

プロジェクト全体をマネジメントする専門のマネージャーがいることが望ましいです。ですが多くの場合、ディレクターが兼任します。
マネジメントとして行うことは下記のようなものです。

・情報管理:ドキュメントやwiki、ファイル管理、コミュニケーションツールをルール化し適切な人に適切な量の情報にアクセスできるようにします。

・タスク・スケジュール管理:タスクを登録し、タスクが遅延なく処理されてるかを日々確認します。スケジュールに問題が発生した場合、各部署と調整作業を行います。

・人員リソース管理:トラブルが起きる前に適切に人員を増減します。

・予算リソース管理:予算がオーバーしないよう管理します。多くの場合、各部署が個別に火を吹くので、そのバランスを取り続けます。



5. 契約フェーズ

5-1: 各種契約作業を行う

各業務には、秘密保持契約や業務に関わる契約書が結ばれます。(プロジェクト初期に秘密保持契約を結ぶケースも多いでしょう)
本契約ではイベント中に起こる様々なリスクを加味し、お互いに納得できる契約書を目指します。
興行主が自社でない場合は、後でもめないように興行主と災害発生時やコロナに関わる対応などを予め決めておきましょう。
タレントやインフルエンサーなど有名人を起用する際には、使用期間や肖像権の使用範囲、競合での出演可否、本人のSNSで告知を行うかなど、細かい点を詰めていく必要があります。

5-2: 各種申請、届け出作業を行う

イベント業務にまつわる各種届出は多岐にわたります。
イベントに対する助成金など、補助を受けられるケースもあります。
図面の際に説明した消防署への申請は、現場が出来上がり次第、消防署による現地チェックを受ける必要があります。
また道路を使うなら道路使用許可書、公園を使うなら公園管理事務局の許可、騒音がある場合は各種条例、また排出されるゴミの量や、動員する人の量が多ければそれに即した届け出が必要です。申請やチェックに時間がかかるのでスケジュールには余裕を持ちましょう。
また一定数以上の人が集まる会場は興行場法に基づいた許可が必要ですし、場合によっては風営法が立ちはだかるケースもあります。イベントにまつわる法律や規制は面倒ですが頭に叩き込みましょう。
また別の申請作業として、エンターテイメントに対して賞を出すコンテストへの応募という作業もあります。受賞すれば今後のさらなる広がりを作れる場合もありますが、応募作業は地味に面倒です。

5-3: イベント保険を検討する

野外イベントでは雨天や台風など、天候に大きく影響を受けます。
中止となった場合、大きな損害を受けるため「興行中止保険」という保険をかけた方が良い場合があります。興行中止保険は悪天候や交通マヒなど、発生しやすい状況から、地震や火山噴火、出演者のトラブル等にまで対応してるものもあります。規模に応じて検討しましょう。また合わせて「施設賠償責任保険」や「傷害保険」など、現場のトラブルに対応できる保険があります。



6. 制作フェーズ

6-1: 脚本を作る

プロット、ゲスト体験文章をもとに脚本を作成します。
本来は脚本家が担当する業務ですが、イベント規模によってはプランナーやディレクター自らが手を動かすことも少なくありません。
脚本量はイベント内容によって大きく異なりますが、
「小説やマンガと違って内容は読み返せない」
「ゲストのコンディションがバラバラ」
「観る場所が人によって違う」など他のメディアより制約が大きいため
より分かりやすく、よりキャッチーに、ケレン味を強く出していく、
という部分は意識しておいたほうが良いでしょう。
またゲストの介入度が高い場合はバッドエンドやメリーバッドエンドが不満ポイントになるケースがあります。またルート分岐や成功失敗分岐を脚本に加える場合は公平さを意識しましょう。

6-2: 謎解き、ギミック、ミッションを制作する

イベントの介入度やゲーム性を高める仕組みを導入するケースも多いと思います。
導入する際は、イベント内容に即したもので、没入感を阻害せず、より物語に入り込める内容となるようにする工夫が重要です。制作者の独りよがりにならないよう注意しましょう。
これらは制作に時間がかかり、また単体で機能しても全体としてみたときに難易度調整や満足度調整に時間が取られるケースも多いので制作期間を十分に見積もりましょう。

6-3: メインビジュアル、ロゴを作る

具体的にはデザイナーチームまたは宣伝チームの管轄下になります。
イベント内容が固まってきますと、さまざまなグラッフィクが必要になってきます。
イベントのシズル感が伝わるメインビジュアル、ロゴをまず用意しましょう。ビジュアルの力、ロゴの力は非常に強く、ゲストの印象を決定づけます。コンセプトを体現した表現がなにより重要です。品質は1秒以下で伝わるという気概で制作しましょう。
メインビジュアル制作時には、今後の宣伝も踏まえスチール撮影を行います。
ポスターやパンフレット、広告、ウェブ、SNSと様々な媒体で使用するため縦型・横型・正方形型など異なるレイアウトを予め用意しておきましょう。

6-4: チームでロケハンに行く

クリエイティブがある程度固まったら現地調査をチーム単位で行います。事前に撮影した360度映像があるとより調査精度が高まります。
担当領域ごとに確認する項目が変わってきますのでディレクターは各担当がチェックしたい項目をある程度把握し効率良く回れるよう手配する必要があります。
またディレクター自身もギミックなど現場で問題がないか、アイデアをより足せないか、リスクがないかを改めてチェックします。

6-5: 図面、ルート、動線を制作する

図面やルートをイベント内容に合わせて制作します。
細かい図面制作は舞台制作チームの管轄になりますが、
図面やルートを制作する際は、ゲストの体験時間や時間単位で捌ける数、またキャストやスタッフが何名必要か等を総合的に想定する必要があるため、ディレクターも積極的に関わるようにしましょう。
図面作成時にはスタッフ動線・非常口ルートなども確保する必要があります。
各種法律・基準に則り、ゲストの安全性を担保しましょう。
図面が決定しましたら消防署に各種届出書類とともに図面を提出します。

6-6: キャスト、スタッフ配置を検討する

図面にあわせキャストやスタッフの配置を検討します。
運営スタッフ数は予算に大きく影響を与えるので、効率的に配置しましょう。あわせて、交代要員や必要オペレーションなどもイメージしておきましょう。

6-7: 舞台美術を作る

具体的な制作は舞台制作チームの管轄下になります。
コンセプトや予算、目的から最適な舞台美術を考えます。
すべてを完璧に仕上げようと思うととんでもなく費用がかさむため、
ゲストからの見え方を意識し、こだわる部分と手を抜ける部分を決め込みましょう。
舞台美術内では「機構構造」をもつケース(単純に扉が開け締めできたり、舞台転換できたり、ギミックが動いたり)も多いかと思います。それらは会期中に徐々にへたったり壊れることもあるのでメンテナンスという概念も重要になります。
当然、使用する壁や布は防炎素材を使います。
ディレクターは世界観と予算、スケジュールを適切に伝えチームをマネジメントします。
特に舞台の世界観はイベントの印象に大きく影響を与えるので、イメージボードやスケッチを駆使して意識のすり合わせを綿密に行いましょう。

6-8: 小道具を用意する

具体的な制作や手配は美術チームの管轄下になります。
リアルな小道具制作は費用がかかるので、レンタル品や市販品の改造も視野に入れます。
珍しい小道具は海外から発送してもらうケースもあるので、余裕を持って準備します。
ゲストと接触するものについては盗難防止や安全のため固定する必要があります。また鋭角のものや木のササクレは怪我を防止する処理を施す、塗料がゲストの服に擦れてつかないよう注意する、など処理が必要です。状況によって各担当の備品やレンタル品、購入物が入り交じるので物品管理も重要な仕事になります。
ディレクターは美術チームに世界観と予算とスケジュール、必要な物品リストを適切に伝えましょう。

6-9: 照明、電飾を用意する

具体的な制作や手配は照明チームの管轄下になります。
イベントプログラムや演出に合わせて適切に照明を演出します。
単に照らすだけでよいのか、状況によりオンオフを必要とするのか、事細かなコントロールを必要とするのか、状況により構成が全く異なります。ストロボやレーザー、ムービングヘッドライトなど単なるライトとは異なる演出照明を使用するケースもあります。(場合によってはスモークや紙吹雪、パイロなどを扱うイベントもあります。このあたりは特効(特殊効果屋)さんの担当になります)
また電気容量や排熱、落下防止など安全が何より重要です。
ディレクターは世界観、予算、スケジュールを適切に伝えましょう。また現場での調整が重要です。どれだけ素晴らしい舞台美術も小道具もキャストの演技も、照明の当たり方次第で100点にも0点にもなります。事細かに調整できるスケジュールを用意しましょう。

6-10: 効果音、ナレーション、音楽を作る

内容により担当が異なりますが、映像チームや音響チームと協業するケースが多いです。
イベントには多くの効果音やナレーション、音楽が必要になります。
すべてを一から制作するのではなく、使用可能な音声素材と組み合わせることも検討します。ナレーションの収録ではナレーター手配、スタジオ用意、収録オペレーター・MAさん手配などの作業が発生します。
音楽制作の際は用途を確定しましょう。劇中で使うだけでなく、待合場所で流すこともありえますし、昨今ではYoutubeで使用したりSNSで広報的に使うケースもあります。それぞれにあった尺がありますので、その尺に合わせたバリエーションを用意する必要があります。
場合によっては、メジャーな楽曲を使用することもあります。その場合はJASRACなど権利団体に申請し使用料を払う必要があります。

6-11: 音響業務(PA)を行う

具体的な制作や手配は音響チームの管轄下になります。
ゲストに適切な音を届けるために機材を用意するPAと呼ばれる業務にあたります。
音響機材は大掛かりになることもあり、またセッティングや整音の調整など現場で行う作業が数多くあります。照明など機材を扱うチームと協力し配線作業を行うと効率的です。
単に配線を行うだけでなく、ポン出し機材を用意したり適切な位置にスイッチを用意するなど運営に合わせたオペレーションも設計します。

6-12: 映像を用意する

具体的な制作は映像チームの管轄下になります。
昨今のイベントでは劇中を始め様々なシーンで映像が必要になります。
例えば、待機場でのルール説明用映像、オープニング映像、イベント中の映像、エンディング映像などです。また宣伝素材としてPVがYouTubeやtwitter、Instagram、TikTokなどメディアに合わせて必要です。映像制作は制作負荷が大きいので、計画を明確にし効率的に制作しましょう。イベント規模によってはディレクターやプランナーが絵コンテを用意したりセリフ原稿を用意します。野外モニタなどではコントラストによって映像が見にくい等、通常のモニタではわからない注意事項があります。とにかく独りよがりにならないよう、「分かりやすい」を最重要視しましょう。

6-13: 衣装を作る

具体的な制作は衣装チームの管轄下になります。
目立つキャストが身に纏うものですから、衣装の良し悪しでイベントのクオリティがゲストに伝わります。ディレクターとして、充分に意向をすり合わせましょう。メイクの方針も同様です。
衣装、メイク道具、ウィッグなどは「キャストの数×控えの人数+予備」などと用意する数が重要です。洗濯などの着回しオペレーションも考えましょう。
また毎公演メイクアップアーティストが用意できない場合はキャストにメイクレクチャーを行います。

6-14: デジタルギミックを作る

具体的にはテクニカルチームの管轄下になります。
昨今のイベントではアプリを使用したり、デジタルデバイスを使用したり、センサーを活用したりとデジタル演出を駆使するケースが増えています。
デジタル演出を使いこなし、エンジニアに適切に作業指示するためには、ディレクター自身にもそれ相当の知識が要求されます。難しい場合はテクニカルディレクターと綿密に協業し、具現化していきましょう。クオリティ・安定性・予算・スケジュールはそれぞれ相容れないものとして捉え、何を重要視するかを見極めましょう。場合によっては実装を諦め、バイトスタッフを雇うことで人力で実現する方がよいこともあります。

6-15: 運営ディレクター、現場スタッフ、キャストを手配する

具体的には運営チームの管轄下になります。
スキルが求められるキャストではオーディション審査が必要な場合があります。
またイベントによってはキャストの知名度で動員数を大きく伸ばせることもあります。予算をどのように使うかを戦略的に決定しましょう。
長期に渡るイベントでは、キャストやスタッフの手配が大変です。
専属のチームがない場合や自社で集めるのが難しい場合はイベント運営会社やキャストの派遣会社に頼ります。イベント繁忙期は人員の取り合いになるケースもあるので早めに手配しましょう。

6-16: 印刷物、会場掲示物を作る

具体的にはデザイナーチームの管轄下になります。
会場には看板・ポスター・動線案内・のぼり・パンフレットなど多くのグラフィックが必要です。謎解きイベントなどではゲストに印刷物が多数配られることもあります。
どこに、何が、いつまでに必要かをディレクターは洗い出し、デザイン・印刷・現場手配が滞りなく進むよう段取りを組みましょう。誤植や印刷ミス、配置ミスなどトラブルも起こりえますので、各工程でのチェック作業も重要です。

6-17: グッズを作る

具体的には物販チームの管轄下になります。
どんなノベルティグッズを用意するか、価格はどうするか、何個用意するかなど予算に直結する重要決定事項が存在します。過去事例を元に利益を最大化すべく手配を行います。
グッズ自体が話題化することもあるので、宣伝という観点も頭に入れておくと良いでしょう。
物量のあるオリジナルグッズ制作は発注から納品まで時間がかかります。スケジュールに余裕を持ちましょう。
発送作業も手間がかかるのでBOOTHなどオンラインサービスを活用することも視野に入れましょう。



7. 宣伝・広報フェーズ

7-1: PVを制作する

映像チーム・宣伝チームが協業し制作します。ディレクターも伝えたい意図を明確にチームに伝える必要があります。
どんなイベントかを伝えるには、やはり映像が一番情報量が多くて最適です。映像なら世界観や印象を短時間で伝えることができます。地上波でPVを紹介することは難しいですがYouTubeやtwitter、Instagram、TikTokなどのSNSを通じて多くの人の目に触れさせましょう。
そのために各種メディアに応じた尺や画角、画質を用意します。またPVのSNS反応からゲストがどのような点に期待を抱いてるかも推し量れます。

7-2: 告知サイトを制作する

ウェブ制作チーム・宣伝チームが協業し制作します。ディレクターは伝えたい意図を明確にし、場合によってはワイヤーフレームというウェブの設計図を制作します。
イベントの情報と魅力をターゲットに合わせ制作しましょう。
告知サイトが情報のハブになるので、広報の全体図を踏まえ、少しでも情報が拡散するよう工夫します。アナリティクスを導入し、チケット販売数などのコンバージョンを追いながら改善作業を常に行いましょう。
無料のサイト制作サービスWixや月額制のサイト制作サービスSTUDIOなども予算によっては選択肢になります。

7-3: プレスリリースを出す

プレスリリースを出すと、各メディアが取り扱うべきか審査し、審査結果によって内容をメディアが掲載してくれます。イベント業務においてプレスリリースは重要です。情報が伝わらない限りイベントに人はやって来ません。告知サイト同様、情報をわかりやすく、かつ魅力が伝わるよう記載しましょう。
PR TIMESなど、各メディアに一斉配信してくれるサービスを使用すると効率が良いでしょう。もし個別メディアに知り合いなどがいた場合は、個別に連絡し、丁寧に対応する方がお互いメリットが有る場合もあります。インタビューや対談など、自社から企画として持ち込み、コンテンツとして掲載してもらえるケースもあります。とはいえ相談する際は先方担当者のご迷惑にならないよう注意しましょう。

7-4: SNSを運用する

一般的にはSNS運営チームが担当しますが、ディレクターやアシスタントディレクターが兼任することもあります。
費用をそこまでかけずに、情報の伝達拡散、ファンと交流ができるため、Twitterぐらいは運用すべきです。
とはいえ運用には手を取られるので、TwitterではSocialDogなど、運用サポートツールを併用するとよいでしょう。SNS慣れしてない担当者だと距離感を間違えたり炎上に巻き込まれるケースもあるので、運用者はSNSリテラシーを充分に身に着けましょう。

7-5: アドネットワークを活用する

宣伝チームが予算に合わせて管理します。
予算配分、配信時期、ターゲット設定を見極め、予算を適切に分配しましょう。
小規模なイベントだとアドネットワークを使用するシーンは限られますが、
例えばTwitter広告ではリツイートキャンペーンと組み合わせると強力ですし、またGDNによるリマーケティング広告は、サイト訪問者という強み見込み客に絞って広告配信が可能ですので運用検討の余地があります。

7-6: 媒体に広告を出稿する

宣伝チームが予算に合わせて管理します。当然出稿には多くの掲載費用が発生します。
媒体毎にターゲットが全く異なるので、適切なターゲットに届くよう出稿する媒体を厳選する必要があるでしょう。
最近ではウェブメディアやSNS、インフルエンサー事務所に広告依頼するケースもあります。ステルスマーケティングにならないようにPR表記を徹底するなど宣伝知識も必要です。

7-7: YouTube Live、Instagramライブ、Twitterスペースの開催

昨今では配信イベントが気軽に開催可能です。
このような場を使えば、関係者による対談など、視聴者に興味を持ってもらいながらイベントの宣伝ができます。イベントのファンになってもらうにはフリークエンシー(接触頻度)が重要です。そのため、事前に数多くのライブ配信を行うことで、イベント開催前にファンづくりや期待感の醸成を行うことができます。

7-8: クラウドファンディングを実施する

実施する際は派生する業務が飛躍的に増えるので、クラウドファンディング専属のチームを作るべきでしょう。予算を集めるのは副次的効果で、どちらかというとファンを作る・ブランドを一緒に作るという広報要素を強めに考えておいたほうが良いと考えています。そのため広報フェーズとして捉えています。
支援してくれた多くの方々は、アンバサダーとなってイベントを一緒に盛り上げてくれます。彼らの期待を裏切らないように、誠実に向き合うことがなにより重要です。



8. 運営フェーズ

8-1: 運営本部を現場に設置する

具体的には運営チームの管轄下になりますが、
イベント運営中にあらゆる情報が集まる場所を用意し、運営ディレクターに駐在してもらいます。イベントが安定運用するまではディレクター自身も駐在することもあります。
ゲストの行動を見守る監視カメラや全体連絡できるインカムを用意します。
トラブルが発生した際はその場所から各部署に指示を出し、問題が大きくなる前に対処できるようにします。

8-2: 更衣室、メイク場所、休息所、救護室、衣装備品管理場所を手配する

具体的には運営チームの管轄下になりますが、
現場のスタッフがストレスなく職務にあたれるよう、各種設備を手配します。夏場など過酷な現場であれば空調や飲料、虫除け、休憩時間にも気を配ります。現場ではさまざまな物品が日々消費されるので、その補充を怠らないようにしましょう。
衣装の洗濯・メンテナンスが必要な場合はそのオペレーションも用意します。
またスタッフ、キャスト間で情報共有がされやすい仕組みや空気感を作るのも大事な仕事です。

8-3: 天候、機材、人的トラブル対応を予め検討し対策を用意する

イベントが長期に渡る場合、様々なトラブルが発生します。
雨天時にはどのようなオペレーションを行うのか、
イベント中に地震があった、停電が起きた、交通網が止まった、気象警報が出た、機材トラブル、演出トラブル、けが人が出た、病人が出た、ゲスト同士のトラブル、盗難が起きた、クレームが来た、様々なトラブルが想定されます。
イベントに慣れた運営ディレクターであれば適切に対処することもできますが、慣れたスタッフがいない現場だと大きな混乱が発生するケースもあります。予め準備しておくことで現場の混乱を最小限にできます。ディレクターが判断しなければならないケースも出てくるのでしっかり備えておきましょう。

8-4: 運営マニュアル、現場スタッフマニュアル、キャストマニュアルを用意する

具体的には運営チームの管轄下になりますが、ディレクターが資料を作成する場合も多いです。運営マニュアルでは、運営方法や機材の操作方法など通常のマニュアル準備の他に、トラブル発生時のイレギュラーケースへの対応を資料にまとめておきます。またその際にはどの担当に連絡すればよいか連絡先を記載しておきます。
現場スタッフマニュアル、キャストマニュアルは、作業マニュアルや、台本など基本的な情報にとどまらず、ディレクターが運営から離れた後でもイベントの品質が落ちないよう注意点をまとめます。スタッフやキャストに途中で新人が入った場合でもやるべきことが理解しやすいよう、事細かに説明を記載するようにしましょう。
スタッフレクチャーを動画で撮影しておき、後日いつでも参照できるようにしておくと便利です。

8-5: 運営ディレクター、現場スタッフ、キャストのシフトを用意する

具体的には運営チームの管轄下になりますが、ディレクターも理解しておく必要があります。現場スタッフやキャストはポジションごとに役割が異なります。控え要員やトラブル時の代打要員なども考慮しましょう。現場スタッフやキャストは状況により複数ポジションをまわせるようにしておくとより安心です。
またディレクター、各担当部署、運営ディレクター、現場スタッフ、キャストと日常の連絡網の整備、また当日のインカム指示系統を明確にしておきましょう。

8-6: 運営ディレクター、現場スタッフ、キャストのオリエンテーションを行う

上記で要したマニュアルを使いながら、運営チームにオリエンテーションを行います。参加者が多くなる傾向にありますので、段取り良く進めましょう。
イベント全体を複数ブロックに分割し、レクチャーを受ける運営隊も複数チームに分けて、交互にゲストと運営をチェンジしながら実演で学んでいくとよいでしょう。
キャストには演技力が求められるので演技方針も明確に伝えます。キャストの演技はイベント期間中にも時とともに良くも悪くも変わっていくと考えましょう。ですので演出意図、改善可能なポイント、踏み外してはいけないポイントを整理して事前に伝えましょう。

8-7: テクニカルリハーサルを行う

アプリやデジタルデバイス、センサーを活用したイベントの場合は、現地でテクニカルリハーサルを行います。電波の混線具合や、現地設置場所によるセンサーの不具合、現地演出との連携、運営スタッフのオペレーションなど現場の通し稽古でないと確認できないことが数多くあります。テクニカルディレクターが主導し、わざとトラブルが発生しやすいシチュエーションを順に試してきます。場合によりテクニカルチームが不具合を修正するより、現場演出自体やオペレーションを修正した方が良いケースもあります。ディレクターとして現場で適切にジャッジし、各部署と連携して対応できるようにしましょう。
不具合が発生しても修正できるスケジュールとなるよう、テクニカルリハーサルは早めに実施することが望ましいでしょう。

8-8: デバッグ公演を行う

謎解き、ギミック、ミッションを導入している場合、それぞれが過不足なく機能するか、一般ゲスト相当の人員を集めてデバッグを行う必要があります。難易度はもちろんですが、別解釈がないか、事故やトラブルがないか、オペレーションはスムーズか、またミッションクリアまでの時間が適切かなど多くの課題をデバッグ公演中に洗い出し、調整を行います。

8-9: ゲネプロを行う

最終の通し稽古を行います。ゲスト役も可能な限り用意します。人数が足りない場合は複数回体験してもらいます。本番同様の舞台、演出、衣装、ゲストオペレーションを行うことで、最終のチェックと問題点の洗い出しを行います。ディレクターもゲストとして参加し仕上がりを確認します。ゲネプロまでに現場でのブラッシュアップを終えて、ゲネプロでは問題の解決と安定運用を目指しましょう。決裁者やステークホルダーにも体験してもらい、最終評価をもらいます。

8-10: 関係者や取材陣を呼んで公開リハーサルを行う

ゲネプロと同時に行うケースもありますが、イベント開催前日などに「公開リハーサル」や「プレス向け体験会」という名目で、関係者や取材陣を呼んでお披露目会を行います。
宣伝チームが対応するケースが多いですが、ディレクターも駆り出されることでしょう。
プレス映えするように、特設ブースを作ったり芸能人を呼ぶこともあります。制作者や出演者の会見取材や囲み取材を行うこともあります。
SNSでの話題化を狙いインフルエンサーを招く機会も増えています。

8-11: イベント当日を迎える

やっとここまできました。
でもここからです。
もうすぐ不具合の連絡が飛んできます。

8-12: 体験者アンケートを行う

体験者の声を丁寧に拾うことはイベントを今後よりよくするために非常に重要です。
イベント終了後にゲストに紙でお渡しし、その場で回収することもありますが、最近ではスマホでアンケートに答えてもらうケースも多いです。GoogleフォームやSurveyMonkeyなどのサービスを使うと便利です。質問項目の選定は重要なので、充分に検討し適切な質問と量を心がけましょう。現場でゲストがアンケート記入しやすい空気を作り、答えてもらいやすくする工夫も大事です。

8-13: 不具合対応を行う

現場では様々なトラブルが発生します。現場を取り仕切る運営ディレクターだけでは判断できないこともあります。その際はディレクターとして不具合やトラブルに対応しましょう。トラブル発生時は連絡先を確認し、先送りせず、早急に対処に当たります。
早急な対処が難しい場合は、対処にかかる時間を先方にお伝えし、その期限までに改めて進捗連絡を送るようにします。
トラブル度合いにより、どこまで責任を取るのかを明確にしておくとよいでしょう。

8-14: メンテナンスの段取りを行う

イベントが長期に渡る場合、機材やギミックはメンテナンスが必要な場合があります。
イベントの休演日を利用するか、イベント開始前、イベント終了後の時間を利用して定期的なメンテナンスに努めましょう。各施工チームからそれぞれメンテナンスのリクエストがあると思うので主催者側や会場側とその段取りを組んでおきましょう。
機材のメンテナンスとは異なりますが、キャストの演技もメンテナンスが必要な場合があります。会期中に何度か演技を確認することでイベントの品質が下がらないように努めます。



9. 終了フェーズ

9-1: 撤去にともなう段取りを行う

イベント期間が終了に近づいてきたら、各施工チームと連携し、撤去に伴う人員手配・車両手配・工事手配・スケジュール合わせを行います。会場の都合もあるので、丁寧に行いましょう。ここがグダグダだと主催者や会場側とトラブルになることもあります。
ディレクターが責任を持って、会場の原状復帰ができるよう段取りを行います。

9-2: 備品の返却・施工物撤去を行う

撤去スケジュールを明確にし、現場で紛失や欠損などがないよう各施工チームで協力して撤去作業を行います。イベント期間が長くなると、各施工チームの備品があちこちに混在しています。備品リストや所属を示すシールなど予め工夫し、適切に撤去作業を行いましょう。
また多くの不要物が発生するケースもあるので廃棄物をどう処理するかも予め決めておきましょう。

9-3: 次回イベントに向けイベントの反省会を行う

各チーム単位、またプロジェクト全体での反省会を行います。ここまでの記述にあった通り、イベントを制作するというのは非常に大変です。都度一からその苦労をするのでなく、ノウハウを継承していくことが何より大事です。
反省会では
・うまくいったこと
・課題点
・次回の改善点
を中心に整理すると良いでしょう。イベントの記憶はどんどん薄れていくので、早めに行うことが望ましいでしょう。イベントはどうしても次回開催までに時間が空いてしまいます。その間に記憶はどんどん抜け落ちていきます。細かな点でもメモしておくと未来の自分たちが救われます。

9-4: 報告書を作成する

実施したイベントの内容を分かりやすく整理し報告書を作成しておきましょう。そうすれば今後のイベント開催や類似イベント開催の際に非常に役に立ちます。



長いですね、本当にお疲れさまでした。
でもイベントづくりって作る側も本当にエキサイティングで、
やめられない魅力がたっぷりなんですよね。

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