フジロック2018、ceroの何がすごかったのかをセットリスト・BPMの切り口から考える

, #cero, #PLMS, #フジロック, #日記,

初めまして!


 noteでの初めてのまともなテキスト記事になるのですが、7/28〜30の3日間で行われていた、フジロックフェスが今回初めてYoutube配信されまして、低所得&無体力の自分はちゃっかりceroのライブ見たれ〜! と無銭視聴の結果、不覚にもボロ泣きしてしまったため(理由は後述)、
これはなにかしらの形にまとめなくてはと思い至り、記事を作成しました。

 結果めちゃくちゃな長文になっちゃったので、お時間あるときによろしければご覧下さい。(スゲー長いぞ! 気をつけろ!)

この記事は、前半3章、後半3章で

 ○ なぜこの記事を書こうと思ったのか (&自己紹介)
 ○ この記事内でのBPMの考え方(体感BPMについて) 
 ○ セットリスト詳細とそのグラフ

 ● 全体の流れ〜表題曲「Poly Life Multi Soul」について
 ● 実は前半がヤバい
 ● フジロックのcero、結局何がすごかった?
    +おまけ

とまとめております。前半の前説がめんどい方は、
ぶっちゃけ後半からでもOKです!


なぜこの記事を書こうと思ったのか (&自己紹介)

 すみません、申し遅れました。
私はceroのキモいファンをしております、デビルスコーピオンと申します。

 27歳男性、既婚者。昼間は本名で会社員、時々DJなどをしたり、なんともいえないイラストをかいたりしている者です。
 大学時代にceroを傾倒しまくっていたのですが、全てのライブに行ける訳ではなく(未だに県外のライブは行った事ありません)、少しでもceroを理解したい! と思うがあまりに、ある時期からceroのライブを細かくノートにとっては家で曲順を並べて聴き直すようになりました。それがある時期からエスカレートされていき、

 ●曲の始まった時刻  ●曲の速さ(BPM)やつながり
 ●ライブ上の演出   ●舞台照明

などをまとめ、
縦軸をBPM、横軸を経過時間でグラフ化して、ひとりぼんやりと眺めては、静かに笑みを浮かべる、という人としてアレな趣味(自分では通称「追い炊き」と呼んでいます)を続けてきました。

 ちょうど先月、ceroの全国ツアーでのセットリストでもツイートをして、各所から「変態」「ヤバい」等のお言葉頂きました。感謝。

 そうです、私があの時の変態です。

Twitterの画像も持ってきました。 
うーん、キツい。手書きだし、怪文書感がスゴい。


 ですが、今まで誰にも見せるでもなく続けてきたキモ趣味も、今回、恥をしのんで外向けに出すのもいいかなと思いはじめました。

 というのも、ceroの最新作「Poly Life Multi Soul」のアルバムやライブの感想の多くが「良かった〜最高!」「踊れたよね〜」「なんかすごかった」等、今までのアルバム以上にふんわりとしている事に、謎の焦りを感じておりまして……。
 事実今までになかったアルバムやライブだということはなんとなく各位共有できているのですが、今まで通りのセットリストやライブレポートの共有だけでは、ceroに起こっている変化を捉えきれないのではないか? と感じています。

 なので今回、フジロックのYoutubeで生放送5万人余りが同時視聴し、回線も落ちまくっていたあのライブ&配信を1度、目に見える形に整えてみる事で、ceroの「良いと思ったけど上手く言葉にできない」を皆様の中で整理する一助となればと思い、今回の記事作成に至りました。

ここから派生して、じゃあ他のバンドでの構成はどうだろう、ライブをする時はどうすればいいだろう、等、する側の意識としても新たな視点が生まれれば幸いです。
(文章の端々からお分かりのように私はパリピ気質なので、本音を言えば、ライブ中は踊った方が楽しいよ! というのがもちろんあった上での提案ですよ……!)


 といいつつ自分も楽理を学んでいる訳ではないため、狂人が勝手にまとめたキモいノートを大公開! という域を出られているかは疑問が残るのですが……。うう……心配だ。

この記事内でのBPMの考え方 (体感BPMについて)

 今回の図表化をするにあたって、曲の速さについては独自の解釈をしています。
 (細々ですが)DJをしているということもあり、自分は曲の速さをBPM (Beats Per Minute=1分ごとの拍数) でとらえています。

前作「Obscure Ride」までは4拍子のものが主体だったので、曲のテンポをつないでわかりやすく曲線にしていくことができたのですが、今回のアルバムは変拍子のポリリズム/クロスリズムが多用されているので、テンポが複数存在しており、基本のBPMのほかに「体感での最大値〜最小値のBPM」という考えをしています。


といってもその原理もめちゃくちゃ直感的に、
BPM120の「シャッフルビート」
(セブンイレブンでよくかかっている清志郎の『デイドリームビリーバー』的な、3連符の)の曲は、3連の分だけ4拍子の時より遅く感じるから、120に逆数の3/4をかけ算して、体感ではBPM90ッスね! 
とか、

BPM100の「モータウンビート」
(プリンセスプリンセスの『Diamonds』的な、特徴的なベースの曲……)の曲は倍速のリズムでもとれるから、BPM100であり200でもあるね!
みたいなゆるふわ理論です。


ceroで言えば「Elephant Ghost」は、
基本的なBPMは120ですが、サビで1拍減る部分があり、その部分だけつんのめって早く感じるので、120×8/7で一瞬だけ体感BPMが128になります。グラフ化する際には縦軸のBPMを2点用意して、曲の構成とその時のテンションによってクルンと回して図にしています。

BPM120ではじまり、ちょっと128になったりで120で終わるの図

要するに、最新アルバムになってから使われまくってる変拍子(ポリリズム/クロスリズム)の難解さ・とっつきづらさを、一度バラバラにして、いつも聞くポップスの4/4拍子に変換して並べることで、どこが、どうすごいのか、分かりやすくなるんじゃないかな〜という考えです。

以上の考え方で、ceroのライブ中に必死こいてメモをとって、それをグラフにおこしていきます。

詳細セットリストとそのグラフ

早速ですが、実際の詳細セットリストです! どん!
左の20:20は時刻、M1などは曲順、( )はBPMの通常値・体感最大値です。


18/07/29 (日)
#cero #FUJIROCK FESTIVAL セットリスト
20:20-21:20 ホワイトステージ

リハ(詳細未確認)
Waters
Elephant Ghost

20:20 M1.INTRO (65)
20:21 M2.Summer Soul (105)
20:27 M3魚の骨 鳥の羽根(120-160)
20:32 M4.Yellow Magus (シングル盤に近いアレンジ) (120)

20:37 (MC) あいさつ
20:38 M5.レテの子 (100-200)
20:43 M6.Buzzle Bee Ride (200-228)

20:48 (MC) ドヤ顔&ポーズ
20:49 M7.Orphans (80)
20:54 M8.Waters (100-133?)
20:59 (MC) 曲フリ
21:00 M9.Poly Life Multi Soul (120)

21:08 (メンバー紹介)
21:10? M9再演 (120)

21:13 (MC) あいさつ
21:13 M10.街の報せ (100)
21:18 終演

(曲順は、セットリストはいつもツイッターにUPしておられる、@mia_ciderさんのツイートを元に作成しました。自分からの一方的なフォローですが、毎回めちゃくちゃ参考になっております……。感謝。)
(リハは情報が未確定なので、今回は触れません。)

そしてグラフだ! どん!

……はい。

グラフで漫然と見ても「最初の枠作りを失敗して、上がはみ出している」という感想しか出てこないので、次の章からはおおまかなライブの流れを追いながら今回注目すべき曲を解説していきます。

今回のライブの曲や新譜は、ほとんどが音源に近いアレンジなので、spotifiなどの各種サブスクリプションサービスで聴きつつ、曲に合わせて踊りつつ読むと理解しやすいかなぁという気がします。何卒ご参照ください。

……なんと、サブスクリプションサービスは再生する事でcero側に金が入るんです! なぜならサブスクリプションサービスなので……!

全体の流れ〜表題曲「Poly Life Multi Soul」について

 まずはどこから話そうかな…ひとりでずっと異次元に居たから、説明する要素が多いな〜

ceroのライブは、全体の時間をMCや照明の暗転などを挟んでおよそ等間隔に分断して、各ブロックそれぞれに役割を持たせている、という感じの構成です。(大体のミュージシャンのライブは同様だと思います)

今回も、60分の待ち時間をおよそ4等分。

 大きなライブの流れとしては、6曲目のOrphansを境目にして、前半はBPMを大きく上げて行く構成、
 後半は表題曲「Poly Life Multi Soul」をいかに聞かせるかの為のテンション/グルーヴ構築に費やされています。

前半はアガる! 後半はずっと踊れる!

 5月の新譜発売後から始まったツアーも今回のライブ同様、アンコール前の「Poly Life Multi Soul」を最高の状態で聞かせたい! ドチャクソにブチ上がってほしい! という強い意思のあるライブセットでした。

 今回のライブにもその意思は反映されており、
M6.「Orphans」からDJが曲を繋いでじょじょに客を温めていくように、BPMも80から100〜133のクロスリズムの「Waters」→120の表題曲へとギアを上げ、さまざまなジャンルを渡り歩きながらハウスミュージックの反復のリズムから祝祭感、高揚感へと誘っていきます。

これをかなり強固なリズムでぶつけてくるので、ライブで聴くと否応無くブチ上がってしまう、というのがこの後半の正体かなと思っています。

そして最後には少しクールダウンしたM10.「街の報せ」。
DJとしても最高。次の人が上げるのにも下げるのにも繋ぎやすいBPM100で、非常にいい仕事してます!

実は前半がヤバい

 ですが、ここからが本題です。

 フジロックのイベントとして一番盛り上がった部分、多くの人の「最高!」をかっさらっていった部分は、終盤の表題曲だと思っていますが、
今回のceroが非常に挑戦的だった部分、転じて、僕がボロ泣きしてしまった部分は、意外に前半の30分。

それも、特に、MVのないアルバム曲「Buzzle Bee Ride」でした。

この「Buzzle Bee Ride」という曲、
アルバム内でも、どんな気持ちで聴いたらええんや……という曲で、通常のBPMが200、7拍子で進行するので体感BPMは8/7倍の228もあります。
めちゃめちゃ攻めている、というか、DJでこの曲をまともにかけられる人なんているのかよ……という気持ちになりくらい、簡単に扱える曲ではありません。

 確かに、究極的には、曲の速さが上がるほど、そこに合わせて客が乗ることができればライブのテンションは上がります。
 しかし、寝ている時にいきなり「踊ろうぜ!」などと言って友達と家で大暴れすればブチ切れられてしまうように、その高いテンションに持っていくにしては、あまりにもBPM200は高い位置にあります。

この熱狂状態にある曲まで、どう連れていけばいいのか。

そこで変拍子、ポリリズムが作用してきます。
一曲前の、M4「レテの子」を聴いてしてみましょう。

「レテの子」はBPM100のジャングルビート。先述のプリンセスプリンセスの『Diamonds』と同様にBPM100と200が同居している曲なので、この曲の終わりからならば、スムーズに繋がっていきそうです。

さらに前の曲、M3「Yellow Magus」を聴いてみます。

BPM120で、強く砂漠を踏みしめていくようなステップを踏む曲です。
MCを挟んでBPMが100でもある「レテの子」につなぐのであれば問題なさそうです。

このように、前半部分も
曲と曲との間で少しずつの形を変えながらも、グルーヴの火は決して消えないよう慎重に、かつクロスリズム・ポリリズムによって大胆にBPMがつながっています。

ライブ前半は急勾配ですが、乱高下はしていません。

 ライブの後半30分は、先ほども書きました通り、表題曲「Poly Life Multi Soul」を一番エモい状態で体感する為に機能していますが、
その一方で、
 前半30分は、アルバム内で体感BPMが一番高くなる「Buzzle Bee Ride」を最高の状態で聞かせることに注力されているのです。

 7/14、横浜アリーナのJ-WAVE SUMMER JAM 2018でも5曲(おそらく30分)の間に同曲を入れており、(観客は盛り上がってました? どうでした? 実際に行った方からのご連絡お待ちしております。)アルバム発売前時点のライブ中から、この曲をどうライブに組み込むか試行錯誤した結果が結実したのが今回の大舞台だと感じました。


 バァーン!(衝撃音)


 またその一方で、ライブ全体のパーツ4つを、中盤と序盤&終盤に分けてみると、
 序盤終盤の30分余はMVも作られている、とっつきやすい有名曲+表題曲が並ぶ、外に向けての時間、
 中盤の30分余は新譜の曲だったり、しっとりと聞かせる「Orphans」等、ceroが見せたい内向きの世界観の時間となっています。

 序盤、終盤に有名曲を挟む事で、自分たちがこれから聞かせていきたい曲を、大きく成長した先輩曲たちが守っているような形になっています。

 客が聴きたい曲は最初に演奏して抑える所はきちんと抑えつつ、自分たちのかけたい曲まで誘導して、踊らせる。
 画面から見た「Buzzle Bee Ride」の時の観客の動きは、さすがに「Summer Soul」や「魚の骨 鳥の羽根」ほどの爆揺れではありませんでしたが、それでもそれぞれ違うリズムで踊っている姿は確認できました。

 そして何より前半30分の間では、「Buzzle Bee Ride」の間、ceroのメンバーたちがめちゃくちゃに良い顔をしていた。

 フジロック+配信という、否応無く自分たちの音楽がジャッジされてしまう環境(Youtubeの爆荒れコメント付き)で、アルバムで一番手を付けづらい曲ですら踊らせることができた、という成果は、今回のceroにとっては非常に大きかったのではないでしょうか。 

「Bubble Bee Ride」終わりのMCでの、ドヤ顔&ポーズも、
そう考えると納得!


 自分は正直、6月のツアーに行って、今のceroは超踊れる! 最高! と思っていたのですが、
 これがフジロック、そしてYoutubeという衆人環視の中で成立するのか? という点が、本当に、めちゃめちゃ不安でした。


だって心配だったんだよ〜!

 去年の夏のカクバリ祭りとか、客が割とキョトンとしてて、このまま「まあ、難解だけど俺は付いていくけどね!」とかこまっしゃくれたファンだけが残る状況になるんじゃないかと心配だったよ〜〜! よかったよ〜〜っ!

 昨日からBPMの確認のために「Buzzle Bee Ride」を聴くと涙ぐんでしまうという奇病に侵されていますけど、本当に安心しました。誇らしいです。ただのキモいファンだけど。


フジロックのcero、結局何がすごかった?

長々とすんません。やっと総括です。

 今回のライブは、フジロックという大舞台で、既存曲から一番難解な新曲にまで丁寧に橋渡しをしていくことで、今までのceroを聴いてきた人に 現在のモードのceroを示す事が、最大限の効果でできたということ。

 ポリリズム「なのに」踊れる、ではなく、ポリリズム「だから」ライブから振り落とされずに踊り続けることができる。

 それが効果的に発揮できるように、セットリストへの細やかな配慮をしている部分や、サポートメンバー含めての演奏技術の高さが、現在の彼ら彼女らの特異かつ最大の武器なのだと感じています。

イントロのBPM65〜200余と3倍以上の振れ幅を一気にかけのぼる一方で、いろんなジャンルを横断する混沌とした状態を、テンションを切らさず、老若男女を踊らせる(ライブには結構な老人も来るぞ!)という最凶男女8人組集団って、現状なかなか国内には居ないんじゃないか! どうなんだ! どうなんだっつーの! ご確認ください! って事です!

と、気づけば8000字くらいになってしまいました。
noteのヘルプに「記事は大体1500文字で!」とか書かれてたけど、まあやむなしですよね。

 いつもイベントレポートとか見るたび、「ただトラックリストとか上がってるだけだなぁ……」「あんまり楽しそうに書いてくれないなぁ……」とかモヤモヤしていたのですが、今回はそんな感じの記事に回収されるのがもったいないなぁと思うくらい良かったの、先んじて書かせて頂きました。

ライブレポート関係者各位! かかってこい! (ただしceroに限る)



 まだまだ紹介しきれていない、ライブを構成するエッセンス(舞台照明・客のあおり方など)も沢山あるのですが、今回の論旨からは離れてしまうので別記事にまとめようかな……。
 主観入りまくり、めちゃくちゃ過積載な内容になりそうだし、メンタル全裸すぎてつらいのでこっちは有料版でやろうかと考えています。(無銭で見たYoutubeの話で金取るのもアレなんで、今までのライブの流れも汲んで解説を加える予定。)


むき出しの感情を見るのなら金を出せって事で!
イーッヒッヒッヒ!


ともあれ、
めちゃめちゃ長い文章を読んで頂いてありがとうございます。

フジロックのライブや何かのタイミングを機に、ceroに興味を持って頂けたらとても嬉しいです! ありがとうございました〜! 8月のRISINGもTrafficも楽しみだね〜! ウェイウェイ!

おまけ 〜Buzzle Bee Rideちゃん〜

私は夢女子(27歳男性)なので、
日曜に「Buzzle Bee Rideは架空のジェットコースター」っていう公式の設定をふくらまして、ジェットコースターのアトラクションのマスコットキャラのBuzzleちゃんをかいていたよ……。どうだいキモいだろ。

ライドの方はトランスフォーマーのバンブルビーのドア=羽のイメージと、途中で突然ドアが開いてめっちゃビビるっていう架空のアトラクション性を組み合わせた結果、なんか、水牛っぽくなってしまいました。

Twitterもやってるし、instagramでもこんな感じでお絵かきしてるので、よろしければ見てやって下さい🐝 


 前半セットリストの急勾配もジェットコースターみたいに急だけど、決してレールからは脱線せずに踊らせてくれてありがとう……尊み みたいな気持ち。

ひとまずおわりです



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