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再録「あのときアレは神だった」〜佐藤蛾次郎

テレビアニメ、漫画、スポーツ、アイドル歌手などなど。
実在の人物から架空のものまで、
昭和にはさまざまな「キャラクター」が存在した。
われわれを楽しませたあの「神」のようなキャラクターたち。
彼ら、彼女たちの背後にはどんな時代が輝いていたのだろうか。
懐かしくて切ない、時代の「神」の軌跡を振り返る。

(2016年より、夕刊フジにて掲載)

ロックが好きで会社員でないわたしが、最後にアフロヘアにしたのはちょうど厄年の頃だった。

そろそろ髪にコシがなくなってきた頃で、これが「最後のアフロ」になるかもしれないと、美容院のロック好きのお姉さんに「クイーンのブライアン・メイみたいにしてください」と言い放ったのであった。

アフロヘアは「特別」なものだ。いくらはやりでも破壊力がすごすぎる。油断し自己アピールを怠ると、キャラクターの8割方をもっていかれる。

「ほら、あのアフロの人」。

どんなにスポーツができようが、どんなにボランティア活動に励もうが、合コンに行けばコレでおしまい。

逆の言い方をすれば、アフロヘアとは、この髪形のインパクトに負けないだけのキャラクターを持つ人だけがすることを許される髪形なのである。

わたしの中で「アフロの神」といえば、佐藤蛾次郎である。

松鶴家千とせ、子門真人、石立鉄男、鈴木ヒロミツなど、並み居る「アフロ人」たちを押さえ、蛾次郎に軍配があがる。

でかい頭に小さな身体。そして、小学生がいかにもよろこびそうな変な名前。それは、海の向こうのブライアン・メイと比較してみるとよくわかる(身体の大きさを含め)。その人の持つ全キャラクターに占める「アフロ率」が圧倒的に高い。

アフロ濃度が高くて味があって、寅さん映画の名脇役のみならず、髪形の話題になると必ず出てくる佐藤蛾次郎。最近の蛾次郎はアフロではない。だが、アフロを剥いた中身も濃厚な本物の「アフロ人」である。

余談だが、蛾次郎といえば、「石庭グループ」。子供には忘れられない妖艶な映像であった。                    (中丸謙一朗)=敬称略



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