音楽を捨てた音大生

私は一般就職をし社会人として働いている元音大生です。
もし将来に迷う音大生がいたら見て欲しかったり。ただ自分語りです。
幼稚園から学校は変われどずっと音大附属でそのまま専科はピアノで大学に入りました。
練習は嫌い、人前も嫌い、師匠である教授は基本レッスン以外会いたくないので大学ですれ違いそうになったらトイレに逃げたりしてました笑
でも、レッスンを休むのは如何なる理由があろうと音大生では重罪なので皆勤賞です💮

もし音大生以外で見てる人がいらっしゃったら音大附属についてイメージしづらい人がいるかもしれませんが、だいたい周りは何かしらの音楽をやっていて、学年が上がるごとに音楽の専門的な座学をやらされて成績別にクラスを分けられたり、レッスンではときに叱られ怒られ、試験があれば実力が均衡している上位はギスギス、クラスメイトは仲間でありライバル。そんな世界です。

そんなことはどうでもよく…
私が音楽をやめた理由は単純です。
『音楽を楽しむことができなかったから』

私は就職しようと決めた時は大学3年生の頃でした。
それまではピアノ講師になりたいと、大学では誰よりも多くの専門的な講義を受講し、自身の生徒を持っていました。本当のことを言えばただの音大卒よりも上手く教えられる自信はあります笑

ですが、教えることはできても生徒が楽しむことはありませんでした。

1人同級生にとても指導上手の同級生がおり、彼女にコツを聞きました。そうすると答えました。

「小さい頃に受けたレッスンがとても楽しかったから、同じように教えている」

その時の衝撃は今でも忘れられません。
私にとってピアノレッスンとは、先生は怖く、練習は辛いもの。
「楽しいってなんだろう?」私にはわかりませんでした。そして私が自分の生徒に同じことをやろうとしていたのではないか?と怖くなりました。程なくして、そっかそういうことだったのかと腑に落ちます。『音楽とは音を楽しむ』と書くんです。私はそんな字から読み取れることが最初からできていなかった。同時に絶望をしました。
今までのピアノ人生、講師になるための座学、全てが無になったと感じました。

その後就活をし始め、幸いにもアルバイトばかりしていたこともあり、それなりに社会に適応しながら4年の頭には内定が数個、就職先が決まりました。
(講師系のバイトしかしてない音大生は就職が失敗しているのでマジでバイトは大事!)

私はそれ以降どんどんピアノが嫌いになっていきました。
誰かから期待されること、他人から評価されること、仲間の中身のないお世辞、試験のために頑張る自分、全てが全てがうざったくて仕方がなかったです。
当たり前のように卒業試験が終わった後は、ピアノの蓋を開けることもしなくなっていました。そこから入社、資格取得、などなど…気づけば半年が経っていました。

最近久々にピアノを弾きました。
筋力が落ちているのでショパンエチュードすら指は動くのに本当に音が出ませんでした。
動かないもどかしさ、強弱すらつけられず、音間違い運指もボロボロ。
ただただ自己中心のわがままな音楽、自己満足で完結する音楽…
ですが、『あれ?…楽しいかも?』と感じました。
楽譜をひらけば先生が書き殴った注意。さらえば、先生の注意する声が自然と聴こえてきました。一音ずつが昔の音より輝いて聞こえてるような。
そのときに気がつきました。『あ、これが音を楽しむってことなんだ。』と、
これに気がつくまで約20年、長かった。

もし、一般就職と悩んでいる音大生は、『自分が音楽を楽しいと思っているか?』と自問自答してほしいです。
実力はまだまだだけど楽しい!そう思えるなら続けたほうがいいです。わたしから言えば能動的にできることがすでに才能です。だから自信を持ってください。
音楽は楽しむもので苦しむものではないのです。苦しい音楽は聴く側も不幸になるから。
苦しいならば他の道を探したほうがいいです。
『就活なんてできない』ってことはありません。私達には鍛えられたガッツがあります。
社会で継続する力とガッツは需要があり、諦めず取り組めば貰い手は沢山あります。

あと、テニスの王子様はいいぞ。(是非42巻を読んでいただきたい。)