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もっと自由に祈っていいんじゃないか。ただし、ひとりで、こっそり、扉の奥で。 ―個人的祈りのススメ

私としては、『宗教とインチキのあいだ』マガジンを、現代のキリスト教をがんがん批判するぞ! という気持ちで始めたのですが、なぜか最近、かえって自分で祈る機会が増えてしまっています。

もしかして、これこそお導きってやつ? 「みちびきぃ〜!」なの? とか照れつつ、家で一人のときにいろいろ祈ったりしているのが、ここしばらくの日々です。

自由すぎるロザリオとの出合い

最初のきっかけは、一風変わったロザリオとの出合いでした。

ロザリオとは「バラの冠」という意味で、カトリックで実践されている、聖母マリアに捧げる一連の祈り、またはその祈りのときに祈りの数を数えるために使われる、数珠みたいなものを言います。シスターとかがよく手に持ってるやつです。こういうの。小さな珠10個×5 というのが基本の構成です。

これ、珠を数えながら決まったお祈りを50回繰り返すんですが、これ、通してやるとだいたい30分かかります。まじめなカトリック信徒は放っておいても毎日のようにこれを唱えたりするんですが、私はふまじめなので、億劫で億劫で…… よくみんなやるなあと思ってました。

私なんて30分もぶつぶつ言い続けたら疲れちゃうので、信心深い気持ちになるとか、願いを込めるどころではないんです。私がいままで自分で積極的にロザリオ唱えたことなんて、7年ぐらいの信徒生活でたぶん5回ぐらいしかありません。だからなんていうか、それが実はコンプレックスで、ちょっとヒネてたというか、「私はどうせふまじめな信徒ですし。べつに破門してくださってもよろしくってよ」なんて、悪びれたりしてました。

でも、私が今回出合ったロザリオは、こうした形式ばって長々としたロザリオの祈りの文言を、日本人が唱えやすいように大幅に簡略化しています。

※画像と一緒に貼る簡単な方法がAmazonのリンクを貼ることだったので貼ってますが、リンク先の値段は5000円とかして完全にボッてるので、ここからは買わないでください。本来の値段は300円+税です。在庫が豊富な状態ではないようですが、カトリックの聖品とか売ってる店ではまだほぼ普通に買えますので、そちらから買ってください。※

丹田呼吸しろとか、仏教のお経や真言を参考にしたとか、三昧(さんまい、精神集中が深まりきった状態を表す仏教用語)に入りやすいとか、保守的な信徒なら顔をしかめかねないような説明が書いてありますが、仏教とかマインドフルネスの瞑想が好きな私には納得感しかありません。こんな本を神父さまが書かれたっていうんだからすごいです。

呼吸と共に祈るロザリオは、15分かからずに終わります。これなら疲れないし、呼吸を意識しながら祈るし、文言の正確さに気をとられることがないので、確かに瞑想的な時間になる。

私は、「カトリックでも、用意されている祈りの文言に違和感があったら、自分に沿うように多少アレンジしてもいいんだ」という気づきにとても救われました。プロテスタントは個人で自由な形式で祈ることをむしろ推奨しますが、形式を重んじるカトリックにはこうした柔軟性はないだろうと思っていたからです。

自分なりにアレンジした祈りに凝りはじめた

それで、にわかに楽しくなって、いろいろなロザリオの祈り方を探したり、納得できない文言は省いたり、英語やラテン語の原文までたどって私訳版まで作ったりと、すっかり凝るようになってしまいました。

こういうのとか。聖母マリアが息子イエスを磔刑で失うまでに体験した、7つの悲しみを追体験しようとする祈りです。

※この本もAmazonでは在庫切れですし、これを唱えるための専用のロザリオ(小さな珠7個×7 の構成)もAmazonではほぼ取り扱いがありませんが、聖品店とかで探せば普通に手に入ります。

この祈り、特にロザリオでなく道行のほう、すごくいいのですけど、私としては、「私のために祈ってください」みたいな文言とか、イエスの死を讃えるような文言がめっちゃ気になります。「いや、自分の最愛の息子を理不尽にも無実の罪に対する磔刑で失ったお母さんに、あなたの息子が死んでくれたおかげで私は救われました、それが神のみ心です、すばらしい、あなたは立派ですとか言うの? 残酷じゃない? そのうえで彼女に願いごとすんの? どんだけ負担かけんの? 宗教としては仕方ないのかもしれないけど……」という気持ちが禁じえないので、そういう文言は勝手に線ひいて消しています。以下のような感じで。

※贖罪論や、聖母マリアにとりなしを願う祈りに違和感のない人の信仰を否定する意図はまったくありません。

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