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【茫漠 ぼうばく】広々としてとりとめのないさま。 はっきりしないさま。

『この茫漠たる荒野で』原題"News of the World"

小説『News of the World』原作

主演トム・ハンクス×ポール・グリーングラス監督 コンビ(「キャプテン・フィリップス」)ドキュメンタリータッチを得意とする社会派イメージの監督ゆえ、そんな監督が西部劇って!?ひょっとして西部劇版 ボーン・シリーズみたいな新ジャンルアクション開拓か!と思っていたら超ド直球なロードムービーだった、ただし......

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南北戦争終結から5年が過ぎた1870年―― 主人公ジェファーソン・カイル・キッドの南北戦争による傷だらけのシーンから始まります。体だけではなくこの主人公の心もまた大きな傷を負っている事が徐々に分かって行きます。

先住民(カイオワ族)に育てられた白人の少女ジョハンナ(ドイツ移民)を親族の元まで連れて行く旅に出る。彼女もまた大きな傷を持つ。

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街へ街へと渡り歩きニュース(物語)を語り聞かせるのが主人公ジェファーソンの仕事、というかそれで細々と食っている。これは当時、字を読めない者が多いため成り立つ仕事であり、何よりも人々がそれを(物語)求めている。

主人公がニュースを読み聞かせるシーンは三回でとても少ない、けれどそれがとても重要な場面(意味)になってます。なぜなら南北戦争後のニュースなのに現代の現実社会と繋がっているからです。それは白人至上主義によるアメリカの分断です。

生き延びるため互いに協力し合う。画像3

この困難を乗り切ったジョハンナジェファーソンの歌を作り歌う。これもまた語り継がれるニュース(物語)のひとつの形だと思いました。

"女性"を食い物にせんとす、男たち、メディアを操り市民を統治する支配者、人間には抗うことが出来ない自然の猛威――ジョハンナジェファーソンは対峙することになります。その時、どうやって二人は回避するのか?

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ジェファーソンがやっているニュース(物語・英雄譚)を読み聞かせ語り継いで行く事が人々に活力・希望・笑顔、そして癒しを与え、またそれはジェファーソン自身の喜びでもある という普遍的なメッセージへと着地します。

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少女ジョハンナは弾を作ったり銃も撃ち(彼女はいったい誰を撃ったのか)、この世界だと暴力へと向かう。それを主人公がグッと少女ジョハンナ"物語"の世界へと引き戻し与える。

またジョハンナ"物語"によって救われ"獣"→"笑顔"と変化するのです。

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少しでも"物語"に携わっている人ならば号泣テーマだと思いますよ。ポール・グリーングラス監督もこういう映画撮るんだね。

ではまた。




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