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noteはエッセイ的な雑文と写真×文章の置き場所。役立つ情報は特にありません。写真は個展3回開催経験あり、2018年10月パリ出展。 作品→https://shop.oikawachie.com/ HP→https://www.oikawachie.com

ピンボケと残像

相変わらず、色を撮っている。

「色が美しければ何でもよい」という視点に立つと、極端な話、被写体が何であっても、どんな形であっても、別にどうでもよいことになる。

だいたい、私が撮る写真はあくまで「素材」で、撮った写真を重ね合わせて創作するほうが主体になっている。いろいろなものを生み出すためにも、いろいろな種類の素材を取り揃えておきたい。

いずれにしても遊び放題である。なんて高級なおもちゃなのか

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やっぱり甘いのが好き

泣き声、叫び声、泣き声、叫び声。

カフェでぼんやり、甘々のメープルシロップと甘くないクリームの添えられたワッフルを食べていたら、赤ん坊ともう少し大きな子供の声が、交互に聞こえてきた。

お父さんがひとりで、2人の子供を相手している。腕には生まれてほんの数ヵ月ぐらいのふにゃっとした赤ん坊。目の前のベビーカーには2~3歳ぐらいの男の子。

赤ちゃんが泣き止んで眠ったかと思うと、男の子が叫び出す。赤ち

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花屋の店先に並べなかった花は

つぼみの状態で買ってきた芍薬の花が日々少しずつ開いていくのを眺めるのが、最近のぼんやりとした喜びである。

「花開く」という言葉を思う。文字通りに花が開くのも美しいが、人間の才能に対して初めて使った人はすごいな。人が「開花」していく様子もやはり素晴らしいものだから。

誰もがオンリーワンの花だ、と歌われたのはもう15年以上前のことらしい。

一人ひとりがオンリーワンの存在であることにまったく異論は

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閉じこもり治療法、実践中

日曜の夜、普段と違う場所でこれを書いている。

10連休が明けてから、その分を取り返すかのような勢いで忙しくなってしまい、ろくに休むこともできなかった。さまざまな事情が重なって心身ともにがたついてしまい、風邪を引いたり、布団から出られず三度寝したりする日々が続いた。

まずい。完全にまずい。

幸運にも風邪はあっさり治ったが、問題は病名の付きにくい肉体疲労と、へたればへたるほど拗ねて閉じて凍ってい

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別れ際、扉を開けた向こう側には

一緒に食事をした後に、じゃあね、と駅のホームで別れた人が、とても寂しげな表情を浮かべていたのがどうしても忘れられない。

別れ際こそ本音の時間だな、と思う。

雲一つない青空みたいな笑顔で手を振ってもらえたら、ああ楽しかったんだな、会えて良かったな、と嬉しくなる。

逆に、一緒にいる最中は楽しそうに見えたのに、またね、と言った直後の一瞬の表情とか、帰路を急ぐ背中とか、足取りとかが、そうでもなかった

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平成最後の夜、平成最初の記憶

平成最初の記憶。

昭和から平成に切り替わる頃、世の中は異様な空気に包まれていた。

テレビから漂ってくるその空気を、知らぬ間に察知してしまったのだろう。当時小学1年生だった私は、夜、怖くて一人でトイレに行けなくなった。隣の部屋で眠っていた母を起こした記憶が、なぜだか鮮明に残っている。

同じ頃、たしか自分の祖母も亡くなったはずなのだが、あまり近くなかったこともあって、そちらの記憶はほとんど残って

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