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【第4回】国内外におけるIEOの実施事例と差異

トークンのセールに種類が存在することは前回の記事でご紹介することができました。今回は国内外でのトークンセールのあり方の違いについてまとめていきます。

1. トークンセールと呼ばれる販売方法を整理する

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ここで整理したように、日本と海外では随分案件数やその事例が異なります。その理由は、、、

1. 日本では、いち早くICOをも法規制の対象にすることでルールメイクを先行した経緯があるが、その際には想定していなかったIEOモデルやIDOモデルが登場することになってきた為、実務として案件が生まれづらい環境があったこと

2. またそもそも国内において高いレギュレーションのハードルを越えてIEOを行おうとするプロジェクトがほぼ存在しておらず、そのようなプロジェクトが存在していたとしても実施までに多大な時間と労力を要す必要があったこと

などがあげられます。その結果、Binance Launchpadなどから遅れる格好で、ようやく2021年からIEOが国内においてはスタートを切りました。こうした遅いという批判の裏側には、ルールメイクにかかった時間などの問題もあり、投資家保護の定義やその方法などを決めていくのに対してマーケットが常に進化し続けていたことなどの影響があったのではないかと考えます。

2. 海外と国内の違い(安全性、イノベーティブ)

海外と国内でどのような違いがあるでしょうか。ここではIEOの国内外の差分に絞ってメリットとデメリットを記述してみましょう。

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このような点で整理できるのではないでしょうか。国内IEOは法整備が進んだこともあり、プロセス自体は道筋が示されている印象ですが、そもそも高いレギュレーション上のハードルをクリアしてまで国内でIEOを行うという選択をするにはプロジェクト側のインセンティブが大きくなく、トークンを実装することを諦めるなどの選択肢をとってしまったプロジェクト、スタートアップもいるのだと思います。

また、そうした投資家保護の視点では国内の整備されたIEOは魅力がある部分もありますが、海外暗号資産取引所でのIEOは、その時間軸の短さや、多くの案件が次々出てくる点などでイノベーティブな機会に映るのは間違いありません。

3. まとめ

今回は前回お話をした資金調達、トークンセール方法を元に、国内外のIEOに特化して説明を行ってみました。IEOは海外では少し熱狂が落ちついてきた印象ですが、国内では国内第一弾のPalleteの大成功の事例もあり、まだ今後の第二、第三の銘柄に期待が集まっている頃だと思います。

基本的にトークンの価格はネットワークの強さや、コミュニティの強さに関連する為、ビジョンだけではなくIEO時点でどのようなプロダクトが出ているのかなどを合わせて総合的に判断することが望ましいでしょう。
現に世界トップクラスで大成功したIEOであろう、Axieトークン(Axie Infinityのガバナンストークン)のIEOでは既にAxieがゲームとしてサービス提供を行っていたこともあり、ガバナンスできる土地やゲーム内経済圏にあてがある状態で一般投資家は投資を検討できました。このようなものは一つの参考になる事例であろうと思います。

ホワイトペーパーだけが全ての状態ではどのプロジェクトも詐欺的な意図がなくても、聞こえの良い言葉を列挙するのは至極当然です。そうしたものはICOにならい、時間と共に自然淘汰されていくものですが、よくわからず焦って購入をしてしまったという形にならない為にも、きちんとプロジェクトの進捗や投資家などの取得できる情報を確実なものにしておき、その上で検討していただければ幸いです。

またIEOは投資に近い活動ですが、トークンの購入を通じて今後発表されるそのトークンを用いた経済圏に関与できる権利でもあります。そういった意味では単にトークンを購入し、値上がり益を享受することのみを目的にするだけではなく、トークンを使いその経済圏を利用するなどのアクションも大切になってきます。投資家ばかりで、トークンが一切使われないネットワーク、Dappsでは価値の根源であるコミュニティは期待できません。

このようにIEOをそのトークンが関与する経済圏の入り口として利用していただくと、新しい可能性を探ることができるのではないでしょうか。


■本記事は、Fracton Ventures株式会社(https://fracton.ventures/)による寄稿記事となります。
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