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想像の斜め上いく時計たち

皆様こんにちは。京都の手作り時計店DEDEGUMO(デデグモ)です。
今回は、個性的なDEDEGUMO時計の中でも想像の斜め上いくデザインの時計を2つご紹介したいと思います。

左は「キカイ・ガスマスク」、右は「秋を浮かがう」です。

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キカイ・ガスマスク

クオーツ時計「キカイ・ガスマスク」は、クリエイティブユニットshichigoroさんがdedegumoの為に描き下ろしてくださったデザインを元に制作されています。

shichigoroさんとは、2012年にDEDEGUMOがクリエーターポータルサイトLoftwork.com(現AWRD)とのタイアップで開催した時計デザインコンテスト「watch more Japan project 」にて、見事DEDEGUMO賞を受賞されたときからのご縁です。
スチームパンクテイスト、ダーク&シュールだけど可愛いメカやクリーチャーをデザインされていて唯一無二の世界観を持つ素晴らしいクリエーターさんです。


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「キカイ・ガスマスク」
裏路地の配管、道に捨てられたガスマスク、ゆっくりと朽ちる機械の世界で新たな生命と時間が動き出す...といったイメージです。時計のガラスケースの外と中を使って立体的に、なるべく装飾的にせずにシンプルながらも重厚な金属感と存在感を感じられるよう意識してデザインしました。インダストリアルパンクな世界をちょっと感じていただけたら嬉しいです。(Shichigoroさんコメント)


DEDEGUMOはこの素敵デザインを時計にするために様々な工夫をしてきました。その一つが風防(ガラス)上に配置されている立体ガスマスクパーツ

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DEDEGUMOの現行時計は全て生活防水(3気圧)です。
風防は時計ケースの上から設置するため、時計ケース内側にはガラスがぴたり収まるための溝があります。こうすると上から圧がかかっても、ガラスが外れることがなく防水性が保たれる訳です。
しかしながら、ガラスを入れるのは時計ケースが完成してからになりますので、入れる際に時計ケースに装飾があると入らない場合があります。従いまして、上からのガラス設置はケースデザインが制限されてプレーンな丸い枠ばかりになってしまいがちです。
DEDEGUMOの8年以上前の時計は、時計ケースに斬新なデザインを施して、ガラスを時計ケースの下から配置していましたが、これだと上からの圧に弱い。。。
やはり時計としての品質向上を最優先に考え現在のかたちに変更しました。

高い品質も維持したい
斬新なデザインも生かしたい


両方を両立させるにはとても大変なことです。

「キカイ・ガスマスク」も何度も試作を重ねました。
そしてガラスを横からスライドして設置するという方法にしてガラスが入るギリギリのパーツ幅サイズでガスマスクパーツを制作、時計ケースにロウ付けしました。
ガスマスクパーツをロウ付けした時計ケースは、ガンメタカラーの鍍金をかけました。
ダイヤル(文字盤)もガンメタカラー鍍金で統一感を出しています。
鍍金から上がってきた時計ケースにガラスを滑り込ませて設置します。
(ケースとガラスはもちろん接着しています)

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「キカイ・ガスマスク」いや、本当にかっこいいんです!
見た目以上にインパクトがあって、着用していると

「え?それ時計?」

と必ず聞かれます。

3月21日に放送されたTV「京都知新」では、DEDEGUMOの代表以上に「キカイ・ガスマスク」をフューチャーしてご紹介いただきました。
時計が出てきた瞬間流れたのは映画ターミネーター風な音楽と効果音!
いやーすごかったです。

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この時計を祇園店の2階で撮影しておられたとは思えない雰囲気たっぷりの映像で、さすがプロフェッショナルなお仕事は違います。とても感動しました。
時折、昼バラエティ番組の京都スポット紹介等で京都のお店が紹介されるのでDEDEGUMOのメディアへの露出は初めてではないのですが、「京都知新」さんの映像は全体に味があってとても素晴らしい、カメラさんは映画ご出身の方なのかと想像しました。(素人が勝手申しています。)



今年DEDEGUMO時計が新作を販売するにあたり、現行の時計は廃盤決定の時計と継続リニューアルする時計とに分かれるのですが「キカイ・ガスマスク」は継続リニューアル予定です。
従いまして現行のPRICE DOWN価格でご購入いただけるのは残り数か月になるかと思います。



秋を浮かがう

クオーツ時計「秋を浮かがう」も、DEDEGUMOが依頼した外部クリエーターさんによるデザインの時計です。
立体切り絵作家 Soumaさんが作品を制作してくださいました。

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「秋を浮かがう」
時計の中に作品を収めるというよりも、そこから景色を眺めるイメージで作りました。
時間の流れと日本の四季の変化、特に移ろいが早く時の流れを感じやすい春と秋、その二つの四季を題材にしています。
「秋を浮かがう」は、夜長の月明かりに誘われて顔をだした金魚が、夏から秋の始まりをうかがっている様子です。(SouMaさんコメント)


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一見モノクロでシンプルな時計に見えますが、Soumaさんがオリジナル制作してくださった作品をもとに、ダイヤル(文字盤)を3層構造にしています。


Soumaさんが造り出す立体切り絵は、なんとすべて一枚の紙から生まれます。
類稀なる切り絵の技術と誰もが魅了される美しい作品。私は大阪の百貨店で個展を拝見しましたが、その繊細なアート作品に心奪われました。そして会場で、突然のダイヤルデザイン依頼にも関わらず、快く引き受けて下さり作品を制作してくださいました。

こちらの時計も工房で制作するにあたり、どうしたらSoumaさん作品の「立体」感を表現できるのか色々と考えました。
そして行き着いたのが、ダイヤルを複数レイヤーにするというアイデアでした。
イメージとしてはシャドーボックスを想像してください。

Soumaさんには、一つの切り絵を何段階かに分けて別シートに貼る形で納品していただきました。それをDEDEGUMOでスキャンしてデジタルデータにしました。最終的に3層と決まり、作品を3段階にレイヤー分けしました。

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Aが完成形のダイヤル
Dがダイヤル1層目。水槽に水草が浮いている様子です。
Cがダイヤル2層目。金魚で一番躍動感ある尾ひれです。
Bがダイヤル3層目、一番上になります。今にも水面から金魚が浮いて顔を出しそうで波紋が何重にも表現されています。

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Dはダイヤルに直接、BとCは透明なレンズに印刷をしています。
Dの最下層の上には時計の針をつけますので、D層とC層の間には一定の空間が必要になります。この層と層の間にはオリジナルのインナーリングを作成して空間を作っています。
(*インナーリングについてはマガジン「時計の作り方」 ①部品の説明 で説明していますのでそちらを是非ご覧ください。)
レンズ間に空間があるので、正面から見たときでもシャドーボックスのように奥行きのあるデザインに見えるのです。


「秋を浮かがう」には他にもレンズ印刷でのちょっとした工夫があるのですが、これはすみません企業秘密だそうです(´-`;)

透明レンズをレイヤーにする立体表現は、おそらくDEDEGUMOでしか行っていないと思います。なぜかというととても面倒くさいから。
インナーリングでの微調整や透明レンズに工夫して印刷するのは、実はとても困難です。DEDEGUMOではSoumaさんコラボウォッチのレンズ印刷の為に東京のとある小さなメーカーさんへ工場見学させていただき機材を購入してきたのですから、当時から気合が入っていました。
普通の時計メーカーさんはこんな(面倒くさい)ことしないと思います。

でも、今改めて考えますと大手がやらないようなニッチなことをしてこそ、遊び心のある時計を生み出すうちのような工房の存在価値があるのだと思います。


今回ご紹介した「キカイ・ガスマスク」と「秋を浮かがう」を動画にしてツイートしてみましたので見てみてください。
(インスタにも同じ動画アップしましたが、アップ2時間足らずで再生回数1500回超えしてオンラインにもご注文をすぐいただきました。うちではレアなびっくり嬉しい反響でした。)


次回は・・・まだ考えていませんが、また面白い時計のご紹介をしたいと思います!どうぞお楽しみに!


DEDEGUMO OFFICIAL WEB SITE https://dedegumo.jp/
DEDEGUMOオンラインショップ https://dedegumo.shop-pro.jp/



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