カルトは肯定すべきものではない - 地下鉄サリン事件から20年を迎えて
オウム真理教が引き起こした地下鉄サリン事件からもうすぐ20年の節目を迎える。この20年という歳月はある種特別な感慨をもって迎えるものだろうか、テレビ報道ではしきりにオウム真理教の流れを汲むアーレフ等の教団施設への取材が頻繁に繰り返されたり、松本智津夫死刑囚の三女の自伝まで出版されて、改めて「オウム真理教とは何だったのか」「カルト宗教とは何なのか」という事柄に注目が集まっている気がする。
当取材班も、各種カルト宗教を対象にした現地取材などを何度か行っているのだが、その一環で見に行ったのが埼玉県八潮市、つくばエクスプレス八潮駅の近くに現在もあるアーレフの八潮大瀬施設。ここでは貸倉庫を改装して数十人の信者が共同生活を送り、彼らの多くは今なお松本智津夫死刑囚、つまり麻原彰晃に帰依している。
2010年11月、この八潮大瀬施設で集団生活を送っていた娘を奪還するべく訪れた父親が、同じくアーレフ信者で集団生活をしていた元妻を刺殺するという事件も起きている。
貸倉庫の敷地には地元町会による「オウムは早く出て行け」等の苦情を記した看板が多数置かれていて、何とも言えぬ緊迫感に満ちていた。
遡って地下鉄サリン事件や一連のオウム報道が過熱した1995年、当方は何をやっていたのか、当時はまだ未成年者で、出身地である大阪の貧民窟でさえない学生時代を送っていた頃だった。
ここから先は
1,955字
¥ 100
引き続き当編集部の事業収益が芳しくなく、取材活動に制限が掛かっている状況ではありますが、編集部長逢阪の命ある限り執筆を止める事はございません。読者の皆様からの応援が当編集部にとって心強い励みになります。どうぞ宜しくお願い申し上げます。