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日本シェアサイクル業界地図 - 展開状況から見る各社の違い2021-22

国内におけるシェアサイクル事業の市場概要

昨今、モビリティの話題に際し、シェアサイクルが取り上げられることが多くなった。特に人口密度の多い都市部では、渋滞や満員電車といったインフラ課題に対する解決アプローチとして、毎月のように新しいステーションが増えている。バイクシェア大手であるいドコモ・バイクシェアのデータによると、ユーザーの利用回数も年々増えている[図1]。実際、筆者自身としてもよく見かけ、利用するようになった。日常の足として、観光の移動手段として、あるいはUBER EATSや出前館等に見られるようなギガワーカー達の配達手段として。
本レポートでは、このように盛り上がりを見せるシェアサイクル業界の現状と主な関連企業について調べ、一般に取得可能なデータを用いて図表化した結果を示している。また、関連していくつか海外での事例も取り上げた。

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図1. ドコモ・バイクシェアの年別利用回数の推移
参照:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/01508/


シェアサイクルの定義

当レポートでは、シェアサイクルとは、「複数のポートを有し、自転車およびバイクを貸し借りできて、借りたときと同じ、あるいは違う場所のポートに返せるサービス」と定義する。
サイクルとは書いているが、自転車・電動自転車だけでなく、電動スクーターも含めての意としている。マイクロモビリティの一環として捉えていただければと。

なお、「バイクシェア」「自転車シェア」等、似た意味でも様々な言い方があるが、レポート内では「シェアサイクル」として統一している。


■シェアサイクル事業の背景・業界地図

市場のこれまでの簡易な背景

世界最初のシェアサイクルと言われているのは、1965年にオランダで行われた”Witte Fietsen”と呼ばれる取り組みである。日本語だとそのまま「白い自転車」。白く塗りつぶした自転車をアムステルダムの街に置き、誰でも無料で使えるようにした取り組み。なんとも人として試されているようでもあるが、当たり前のように白い自転車はすぐ痛み、奪われ、取り組みは終焉を迎えた。その後仕組みが整えられ、セキュリティも考慮された仕組みが出てくるには、1990年代まで待った。

日本では、1980年代初期からシェアサイクルの社会実験が始まったとされ、本格運用は2010年の富山市の「アヴィレ」である。このサービスは欧州”JCDecaux社”子会社のシクロシティ社によるもので、現在でも運営されている。その後、日本国内からも大手IT関連企業を筆頭に、参入していくこととなる。一時は中国からもMoBike社がLINEと提携して日本市場参入する等があったが、2021年現在、その姿はほとんどない。
代わって2020年から日本でも展開が加速されているのが、電動キックボード。従来は厳しかった規制が、2020年10月の規制緩和において「一定の車体規格や最高速度時速20kmなどの条件を満たす場合、普通自転車専用通行帯を通行することが可能」に。これを受けて例えばLUUP社が東京や大阪、京都等で電動キックボードシェアリングの展開を加速している。海外からは2019年にLime社とBird社が日本市場参入を果たしたが、実証実験こそしたものの、2022年1月現在、その後の活動予定や撤退予定を示していない


サンプル資料:日本におけるシェアサイクル事業体一覧

こちらは各都道府県における各社サービスの展開状況を表に記載したものである。展開状況は主に、ポート数を基準として見ている。データ収集方法はインターネット検索や、各種サービスに登録されている一般取得可能な情報からとなる。

(サンプルでは一部タブのみ共有)


シェアサイクル業界地図

日本におけるシェアサイクル業界に主要事業者を、図2のようにまとめた。

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