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【BizDev・金融民必見👀】イスラム金融とブロックチェーンって相性いいの?

こんにちは。共同代表のTaishiです。

忘却バッテリーを地味に楽しみにしています。何も考えずに読めるからなのか何なのか、何故か最新話が更新されるたびに読んでしまうんですよねえ・・千石さんのキャラが面白いです。

ずっとDeFiやFTに関することばかり書いてきていたので、たまには趣向を変えてかなりマニアックなトピックを取り扱います。イスラム金融とか興味ないですか?僕はあります。市場大きいので。で、TradFiのロジックがDeFiにかなり応用されている現状を鑑みると、イスラム金融的な発想も持ち込まれるんじゃないかなということでこのトピックにしました。そんな時代が来るのかどうかという話はありますが。

税務上の取り扱いも書こうと思いましたが、長くなるのとweb3関係ないので控えます。聞きたい方は個別でご連絡ください。(NFAです。最終的には専門家の判断を仰いでください。)

では、今日のお品書きです。


※本記事は投資助言ではありません。投資、利用を推奨するものではございませんので、いかなる損失にも責任は負いかねます。必ずご自身の判断、自己責任でご利用ください。

イスラム金融の特徴

イスラム諸国においては宗教上の理由から利子の収受等が禁止されており、資金需要のある法人はシャリーア(イスラム法)に則した手法にて投資家から資金調達を行っています。またイスラム教では商業においての利潤追求は認められていますが、不労所得などで財産を増殖させる行為は固く禁止されているのが特徴です。ヘッジファンドや先物取引なども基本的に認められていません。

スクークって何?

スクーク(イスラム債)と呼ばれる手法で、採用されているスキームは多岐にわたりますが、例えば不動産、契約その他の何らかの実物資産又は取引を裏付けとしており、信託受益権証券の形態を採用しているものが多く見受けられます。スクークの設計又はオブリゲーションにより、償還時の価格が投資元本と同額となるように設計されています。

従い、キャッシュフローは投資結果に依らず普通社債と同様となることが重要な特徴です。

スクークの具体例

スクークの具体例として、ワカラスクーク及びムラバハスクークを紹介します。種類が多いのと長くなるので限りなく簡潔にしました。分かりにくかったらすみません。

ワカラスクーク

ワカラスクークとは、所謂投資代理契約のようなものだとイメージしてください。ただし、キャッシュフローは社債と同様です。

①スクーク発行の代わり金:対象資産への投資金額
②利率相当分:リース資産分のリース料、ポートフォリオ資産からの収益、事業収入、コモディティムラバハ投資におけるコモディティ購入代金の延払い分の総計又はバウチャー販売収益等
③スクークの償還金額:対象資産の買取金額、コモディティムラバハ投資における最終支払金額等

投資家は発行体/Trusteeから支払いを受け、発行体/TrusteeはICD(代理人、買取人)との間でサービスエージェンシー契約や購入売却契約、保証等の契約を締結し、キャッシュフローを確定させます。

ムラバハスクーク

ムラバハスクークとは、売買を通じた金銭授受のようなものだとイメージしてください。取引は即時決済されるため、その場でキャッシュフローが確定します。発行体はコモディティの商品リスクや価格変動リスクを取らないためキャッシュフローは社債と同様です。

①スクーク発行の代わり金:対象資産(コモディティ等)のスポット売買金額
②利率相当分:発行体から代理人へ売却された対象資産(コモディティ等)のマークアップ(分割払いが主流)
③スクークの償還金額:発行体から代理人へ売却された対象資産(コモディティ等)の元値分

スクークのストラクチャーについて思うこと

このようにイスラム金融の一部を紐解きましたが、かなり自動化出来そうだなと感じます。というより、割とスキームも限られているのでスマートコントラクト化出来そうだなと。且つ、キャッシュフローとしてはFixed Income系のプロジェクト(yield protocol等)やレンディングが近しいのではないでしょうか。勿論、オンチェーンrevenue等の特定は必須で対象と出来る資産は限られますが、スクークVaultとかあったら面白いななんて考えちゃいますね。

また、スクークの特徴として関与者が多く契約がプロジェクトファイナンス並みに複雑化しかねないので、スマートコントラクトで透明化出来るのではないでしょうか。難しいのは承知の上ですけど。

スクークをオンチェーンでやる場合セキュリティトークンに該当するの?
仮にイスラム金融市場にオープンソースを使って日本からアクセスする場合、どうなるのでしょうか?そもそもアクセスしていいものなのでしょうか?この点を判断するにはまず有価証券性の判定が必要そうですね。こちらは法律の専門家の判断が最終的には求められますが、オンチェーンでスクークをやる場合有価証券性があるように見受けられます。(間違ってたらごめんなさい。)

こんな感じで整理しました。

ワカラスクーク:外国又は外国の者の発行する証券又は証書で信託法に規定する受益証券発行信託の受益証券(金融商品取引法第2条1項14号)の性質を有するもの(同項17号)ではないかと考えました。

上記根拠として、発行者は外国法に基づいて設立された法人(現状それ以外想定しにくい)のため、外国の者に該当すると考えられます。次に、表章された権利の移転又は行使にスクークが必要であることから私法上の有価証券に該当すると考えられます。加えて、ワカラスクークはTrusteeの存在故に信託証書に基づいて発行されていると推察され、その場合受益権を表示する証券を発行する旨の定めを有すると考えられます。故に、有価証券に該当すると同時に信託法第2条1項に基づく信託にも該当すると考えられます。

ムラバハスクーク:外国又は外国の者の発行する証券又は証書で国債証券又は社債券の性質(金融商品取引法第2条1項1号)の性質を有している(同項17号)と考えました。

上記根拠として、発行者は外国法に基づいて設立された法人(現状それ以外想定しにくい)のため、外国の者に該当すると考えられます。次に、表章された権利の移転又は行使にスクークが必要であることから私法上の有価証券に該当すると考えられます。加えて、ムラバハスクークは相手方に対する金銭債権に該当するため、社債券の性質を有すると考えられます。故に、有価証券に該当すると考えられます。

これらを踏まえると(私の考え方が正しければですが)、スクークをオンチェーンでやる場合それはセキュリティトークンに該当しそうです。

法律のお話は怖いですね。

スクークをブロックチェーンに持ち込むには

前項により、スクークは有価証券に該当すると考えられることから、スクークを所謂fungible token化して日本へのアクセスを促すことは難しいということが分かりました。一方で、DeFiにアクセスさせるにはRWA系のプロジェクトで原資産をスクークとしたりすることが求められるのかなと。RWA系でスクークを用いるプロジェクトが出現したらそれはそれで面白そうではあります。相当尖ってますけどね・・

イスラム圏ではスクークのスマートコントラクト化は進む可能性は感じています。単純に複雑なドキュメンテーションを伴わなくなるためです。イスラム金融市場自体は3兆6千億ドル規模になりますし、ブロックチェーンのマスアダプションに重要な役割を担いそうですね。

スクークをセキュリティトークン化すれば今までリーチ出来ていなかったマーケットへのアクセスも可能となり得るので、そういった先進的な取り組み事例が出てきたらとてもワクワクしますし、検討している方(相当マニアックですが)がいらっしゃれば是非ディスカッションしたいものです。web3の自社事業への当て込み、DeFiの活用、ブロックチェーンの活用にご興味のある方はお気軽にご連絡ください。

それでは今日はこの辺で。


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