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スポーツ外傷・障害の評価 問診編

こんにちは、でぐのぶ(@Degunobu)です!

前回の概論編に続いて、今回からは細かい内容を見ていきましょう。

問診とは

本当に問診は重要で、僕の中ではぶっちゃけ問診だけでほとんど外傷・障害の評価は終わります。そのため問診編が一番長いです笑。

それだけ多くの情報を集めることができるのが問診になります。

問診ではありったけの情報を集めて、どんな怪我の可能性があるのかをまず考えます。評価は消去法なので、そこから削っていく感じですかね。

問診の基本は5W1Hです。(Whyは難しいんでとりあえずおいておきます。)

・What (主訴):どこが痛いのか
・When(いつ):いつから痛いのか、いつ痛いのか(朝とか夜とか、階段上る時とか降りる時とか)
・Where(部位):関節の外の方なのか、中の方なのかなど詳細
・Who(誰):男?女?子供?高齢者?どんなスポーツ?ポジションは?
・How(メカニズム):何が起きたのか、どうなって痛めたのか

まず上記の情報を集めましょう。そしてこの情報をさらに深堀していきます。

痛みについて

僕はいつも痛みについて詳しく訊いています。もちろん繊細じゃない人も多いし、若い子、スポーツや怪我の経験が少ない人は表現が苦手です。

話を聞いていたら、「あなたのその痛みは筋肉痛や!」っていう場面も過去にありました(ATあるあるでしょう)笑

痛みの部位
・触れるくらいの所 ⇒(表層)
・触れない場所 ⇒(深層)
・指を差して示せるくらい一点 ⇒ 靭帯など軟部組織や骨折
・この辺と言うくらい広範囲 ⇒ 慢性的な問題やスパズム(が多い気がする)

痛みの種類
・鋭い痛み
・鈍い痛み
・ズキズキするような痛み
・チクチクするような痛み
・押されるような痛み、等々

痛みの変化
・スポーツ前、中、後のいつが痛いか(運動し始めると痛みがましになるっていうのもよくありますよね)
・朝起きて痛いのか
・寝ている時も痛いのか
・寝る前が痛いのか
・アイシングすると痛みが減る
・温めると改善する
・歩く、走る時
・関節を曲げる時or伸ばす時
・階段を登る時or降りる時
などなど。

痛みの変化によって、痛めた部分を使うと痛みが出るのか、温まると痛みが減るなどの特徴がわかります。


痛みの度合い
・0~10(痛みなし~今すぐ病院行かなやばいくらい痛いって言ってます)でどのくらいか
・今までの怪我と比べてどうなのか
・選手の痛がり度(こういうと語弊もありますが…)

これによってけがの重症度の評価に生かします。

痛みだけで、かなりのボリュームがあったと思います。
それ程、上記の項目を集めると、ある程度痛みの種類や場所がわかり、なんとなく靭帯かな筋肉かなという指標になります。

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感覚について

受傷時に感じた感覚も我々アスレティックトレーナーに多くの情報を与えてくれます。
ここで大事なことは、その感覚がどんな意味を持つのかを知っておくことです。

例えば、
バキッ、ボキッ ⇒ 骨
ブチッ ⇒ 筋や靭帯
パンッ ⇒ 靭帯
クリック、ロッキング ⇒ 半月板など
外れるような感じ ⇒ 脱臼
膝が抜けるような感じ ⇒ ACL損傷
がメジャーなところでしょうか。

私はこれまで2度ACLを断裂しているのですが、どちらもブチって感じと膝が外れるような感覚がしました。

あとはアキレス腱を切った時は後ろから蹴られたような感じがするというのは有名ところでしょうか。

その他

神経学的症状の確認
・しびれ、まひ、感覚の鈍化、筋力低下、放散痛、熱感

血流異常
・冷え
・脈拍(速い、遅いや、強い、弱い)

神経症状を確認することでどこの神経に問題があるのかがわかります。

またこれらの症状を見逃すと大変なことになりかねません
特に骨折や脱臼の時は要注意です。絶対に確認しましょう。

既往歴
現在の状態と比べることで、重症度の判断が付きます。

また例えば、肉離れを起こしたことがある人なら、その時の感覚と似ているのか、もしくはまた別の感覚なのかを訊けると重要な情報になります。

さらに慢性障害の場合はその実際の原因を探すときにも役立つ場合があります。

他のけがの可能性

学校のロールプレイングや問題だと、怪我はきれいに一つだけの場合が多いです。
しかし、ACLとMCLを同時に受傷するなど、リアルワールドでは複数の軟部組織を一度に痛めることも多々あります。

ですので、例えば「膝が痛い」と訴える人に、「他に痛いところはない?」と訊くと「足首も痛い」と言ったりすることもあります。


少し問診から離れてしまいますが、特に顔面の怪我では脳振盪を疑う必要もあります。
私もアメリカ時代での、高校生のアメフト部で活動している時の話です。

ある選手が顔を痛めて、鼻がひん曲がっていました。あきらかに鼻を骨折していました。
そして僕達ATスタッフはその選手の脳振盪を危うく見逃すところでした。

鼻が曲がって血が出まくっていたので態度がおかしくなっているのかと思いましたが、おそらく脳振盪のせいでした。

慢性障害

・どのくらい続いているのか
・よくなっているのか
・症状を和らげるものは何か
・練習はできているのか
・どのくらい走っているのか
・シューズはいつ変えたのか…等

個人的には痛くてもプレーしないといけない時があると思います。

慢性障害の場合は、痛みを0にすることを目標にしながら、痛すぎてプレーできないという状況まで悪化させないようにコントロールすることも一つの作戦だと思っています。

痛いことを当たり前に思わないでほしいですが、なかなかシーズンを通じて全く痛みのない選手はいないですよね。
高校生などは痛み無くプレーしてほしいですが。

まとめ

こいつめっちゃ訊くやん!って思われた方もいるかもしれませんが、ここまでのことを尋ねて情報を集めれば、問診で評価がほとんど終わると冒頭で書いた意味が分かるのではないでしょうか。

また部位ごとによって特別な質問が増えたりもします。
次回は視診・触診編です!ここはサクッとポイントを抑えます!お楽しみに♬

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