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那覇→南城→恩納の無計画ドライブ

そろそろ沖縄に来るのが何回目なのか数えられなくなってきた。20回近く来ているけど、そうなるともう数える必要もない。

那覇で目が覚めて、恩納村に向かうまで何をして過ごそうか考える。今回の沖縄滞在はかなり長いから、焦る必要はないんだけど、どうしても来たばかりとなるとはしゃいで欲張りたくなってしまう。

二日酔いを覚ましたくてホテルから近いたそかれ珈琲でカフェラテでも飲みながら考えようと思う。昨日の夕方、仕事の合間に来た時は、閉店間際でテイクアウトだったけど、コーヒーを淹れてもらっている間、外のベンチ席でギターとチェロの生演奏が始まった。そこで聴いた“someday my prince will come”が耳から離れない。

行きたい展示などを書き出して、なんとなく道順を考えた。でもだいたい予定通りになんていかない。

レンタカーを借りて、まずは長期滞在のお供に手芸用品でも買いに行こうと車を出す。しかし早速5分も走らないうちに沖縄県立美術館に差し掛かり、そうだ見たいと思ってたとそのまま駐車場に停めた。

「琉球の横顔」展は、特に序盤、ハワイと沖縄に関する作品たちがその後もずっと頭の中に残っている。沖縄からハワイへの移民が多かったということ自体、恥ずかしながらあまり知らなかった。

ちょうど前日に見た上間陽子さんのノンフィクション本大賞のスピーチで語られていた「地図で探すことの難しいくらいの小さな島に、日本が見たくない考えたくないものが押しやられている。」という言葉が、いろんな角度から思い起こされた。

次こそ手芸店へと思ったが、第二駐車場まで満車で入れない。待つほど急ぎでもないので刺繍糸を買うことは諦めて、長期滞在用にコーヒー豆を買いに行くことにした。

一度エスプレッソを飲んだ時に、サウナで整ったくらいほわぁ〜となってから沖縄へ来る度に通っている最高のコーヒースタンドPotohotoに行くため、昼の栄町市場に入る。迷路みたいで何度来ても毎回少し緊張する。

今回もマスターから「エスプレッソお好きなんですか?」と聞かれ、ここのエスプレッソにハマってしまって、と伝えると「あぁ!思い出した!」と言っていただけた。さっきまで迷路みたいな栄町市場で緊張していたのに、途端にアウェイからホームになった気がして嬉しい。

挽いてもらったコーヒー豆を持って車に乗り込んだら、車内がいい香りになって、運転中なんども深呼吸をして満喫した。匂いを堪能しながら、次に向かったのは南城市。

ずっと気になっていたmuiという宿(何度かカフェ営業のタイミングを狙ったけれど仕事の都合で行けなかったところ)でお香立ての展示をしていた。ずっとお香立て難民だったのだけど、写真を見てこれは欲しい......と思い、両方がいっぺんに叶うので舞い上がりながら車を走らせた。

到着と共に小雨が降り始めた中、オープン時間ぴったりに着いてしまってまだ看板がCloseだったけれど恐る恐る入ってみると、ドアもなく半分外のような、天井の高いのびのびした空間が広がっている。そのさらに奥にお香立てが並んでいる。沖縄の月桃や珊瑚などがモチーフになっている繊細なお香立ても、淡い色が優しい気持ちになる香皿も、ほぼ一目で気に入ったものに出会えてしまい、もう心が決まったのでわりとすぐにお願いした。芭蕉がモチーフの、ほんの少し浮いたこの一つを持ち帰ろうと決めた。

ここでの時間が、短いながらもすごくゆったりしていて、作家さんたちとのおしゃべりもすごく穏やかで、きっと東京に戻って香に火を灯す度にこの時間や静かな雨音も一緒に思い出せるんだろうと思うと、使うのがますます楽しみになる。オンラインで何でも手に入る便利さも好きだけど、わざわざ足を運んでこうしてお買い物をする楽しさを久しぶりに味わった。

満足したらお腹が空いてることに気づいた。そういえばすぐ近くに気になっていた食堂が新しくできていたはず、と思い出して地図を見ると本当に目と鼻の先。だいぶ遅めのお昼だから入れるだろうと向かってみる。

玉城食堂は席につくなり洋食のメニューと台湾料理のメニューをそれぞれ並べられた。どちらも魅力的なんだけど、昨夜の飲み過ぎ(3軒はしごした)が尾を引いていてお腹に優しいものが食べたいと思い、台湾のメニューから鶏肉飯を注文する。

テーブルに並べられた瞬間からスープの椎茸の香りがとても強く、一口飲むごとに染み入る感じがする。正直、ここ最近は精進料理ばかり食べていてお豆腐に少し飽き始めていたんだけれど、そんなこと思ってごめんね豆腐!と思うほどこの付け合わせのお豆腐が美味しくて、スパイシーで、このお豆腐をご飯に乗せて丼にして食べたいほどだった。

お腹に優しいものを......なんて思っていたのも忘れるほど、食べれば食べるほどお腹がすいてくる。ついでにデザートまで頼んでしまった。

もちもちの白玉を一口噛むと、中から濃厚な黒胡麻が出てくる。クコの実と小豆も甘すぎず美味しい。文字通りペロリとたいらげた。

次に来る時は洋食も食べてみたい。

これで大満足、と一気に北上して恩納村へ。ここへ来ると「帰ってきた」という感じがする。この一日はこれ以上は欲張らなくても大丈夫、と満足したので早めに寝ることにした。

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