マシニングオペレーターが最初の1週間で覚えること(工場現場作業)

マシニングセンター(MC)のオペレーター(機械操縦者)が、未経験で就いて最初の1週間で覚える事を書きます。
最初に言っておきますが、1週間で覚えられなくても問題ありません。2週間、1か月かけて反復して覚えていけば大丈夫です。でも最初の1週間は頭が沸騰する位覚える事が多いです。でも覚えられますから毎日食いついて行って下さい。

1.機械図面(三面図)を読む

機械部品の図面を読みます。2Dが読めればOK。
ここでつまずくと先に進めないので結構つらい。

2.CADの操作

汎用フライス盤、旋盤はともかく、マシニングセンターの場合、CADの操作は避けて通れません。
曲線などは関数電卓では計算しきれない加工もあります。

ただし、簡単な加工しか行わない部署(会社)では、後回しになることもあります。それでも必ず後でやります。

3.NCプログラムの作成

3.1 CAMを使う場合
CAMでツールパスを描き、NCプログラムを自動生成します。
自動作成なので楽です。三角関数を覚えてなくても使えてしまいます(その是非は別にして)。
2021年現在はCAMを使うのが一般的かと思います。汎用フライス、汎用旋盤などからマシニングセンター導入に至った町工場さんとかの場合だと、CAMの導入費用を捻出できないこともあるかもしれません。あってもPC・ソフトを使いこなせる人材がいない(から未導入)っていう実務上の問題もあります(こういうのは往々にして若手が得意な事が多い)。

3.2 CAMを使わない場合
■手打ちでNCプログラムを作成します。
PCのテキストエディタ(Terapadなど)に、Gコード、Mコードなどを手入力していきます。全て手打ちではつらいので、先輩・前任者のコードをコピペする場合もあります。

■機械(マシニングセンター)に直接手入力する場合もあります。
キリで穴を開けるだけ、面取りするだけといった簡単な加工の場合は、機械に備え付けのキーボードで手入力する場合もあります。他の人が機械を操作できないこともあり、一から機械に直打ちすることはレアケースです。

※注意
手入力の場合は、関数電卓に三角関数と任意の角度を入力するケースがあります。テーパ加工やサインバーを使う場合ですね。

4. 工具の用意

加工に必要な刃物などを用意します。キリ、センタードリル、エンドミル、面取りカッター、タップ、リーマなどがあります。
新入社員の場合は、最初は工具3~6本程度の簡単な加工を任されることかと思います。
刃物の選定は最初のうちは先輩社員がやってくれます。過去の実績が必ずあるはずですので。
揃えたら、機械のツールボックスにしまいます。

5.機械の段取り

5.1 工具長の測定
今どきは自動でやってくれます。古い機械を使う場合では工具長を手動で測る場合もあります。

5.2 万力にワーク(加工する部品)を固定する
万力の隙間にワークを置いて、挟みます。

5.3 加工原点(XYZの原点)を取る
今どきはマーポスを使います。古い機械では、XY軸はアキュセンター、Z軸はピックを使う場合もあります。

6.機械運転

6.1 ドライラン
機械のZ軸を上げて、NCプログラムを動かしてみます。
不具合がなければOK。手打ちの場合は多かれ少なかれミスがある可能性が高いです。CAMを使う場合でも誤ることはあり、心配な場合はドライランで確かめます。

6.2 本運転
Z軸を元に戻して、機械を動かします。

7.寸法測定、調整

ノギス、マイクロメータ、測定顕微鏡などを用いて、寸法を測定します。
1個目は不良が出やすいです。不良の場合はプログラムを再検討し、必要であれば修正します。
不良ではないものの寸法中央値からややずれている場合は、補正値を機械に入力して、2個目を加工します。

8.脱着

寸法が整ってきたら、脱着作業をします。例:3個目を外して、4個目をつける。寸法公差が厳しい部分は毎回マイクロメータや顕微鏡で寸法を測ることもあるかもしれません。

交代勤務の場合は、ここで夜勤の人などに交代することもあります。
脱着作業は簡単なので、最初に覚えることになる可能性もあります。
派遣や期間工など、臨時雇用の場合は、夜勤などでこの脱着(とバリ取り)をメインにやることもあるかもしれません。その枠の場合は、CAD/CAMでNCプログラムを作ったり、最初から機械を段取りすることはありません。

9.バリ取り(仕上げ工程)

部品についてるトゲみたいなやつをやすりがけしたり、
オイルストーン(砥石)で磨いて滑らかにする作業のことです。
面取りできる箇所は面取りカッターで加工しますが、
壁面のそばや、加工手順の関係で無理な場合は手作業でバリを取ります。

10.材料発注(鉄、SUS、アルミなど)

ワークの材料を発注します。材料と三面の寸法、個数を記入します。
在庫がある場合、端材を利用する場合は発注は必要ありません。

削りだしで加工する場合(6面全てを削る)、2面だけ(2F)、4面だけ(4F)、6面(6F)全て寸法を厳しく設定して発注する場合もあります。

これは2週目以降になる、あるいは資材課がまとめて発注しているので職務範囲に含まれない可能性もありますので最後に書きました。

このように、マシニングオペレーターは最初に覚える事が多いですが、技能職・製造職の中では比較的頭を使う仕事なので、向いている人には面白い仕事だと思います。やることになった人は頑張ってください!



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