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にたものどうし

ちいさいとき、褒められるとなんだかうれしかった。
こどもにも卓球をやらせたかったのか、ある日天井から紐でつるされたピンポン球が現れた。
三姉妹のうち、私だけが左利きなので、それだけで少し優位な気がして、熱心に素振りを繰り返した。

今でも、ペンホルダーの握りでの素振りだけは一丁前だ。ただ、スマッシュは決まらないのだが。

妹よりもうまくできることで、それだけで誇らしかった。

小学生になり、近所の体育館に練習に連れていかれた。
おばさまたちからは、本当に父親によく似ているわねと、笑われた。
父親の一生懸命な指導は、厳しさを増し、楽しいはずの練習ではなくなった。

卓球少女になりかけた小4の私は、個人スポーツには早々に見切りをつけ、バレーボールに興味が移った。
初心者のはずの父は、その練習にも顔をだしてきた。おじさんコーチがいつのまにか増えて、熱心な指導だった。

過去に卓球の試合でアキレス腱をきったことがある父。ギブスで固めた足で、運転して旅行にいった記憶がある。どうやらうまくつながっていないようだが、問題はないらしい。

そこからかなりの時間が経ち、社会人の私はバレーボールの試合でアキレス腱をきった。私の耳には、まるでゴムパッチンの音が鳴り響いた。

ここまで似なくてもいいのにと思う。

だけどね。

ナナをみて、ちゃあを思い出す今日このごろ。

似ていることは、こんなにもうれしいことだったのかと。

どことなく誇らしげな、ちゃあなのだ。
左 ちゃあ、右 ナナ 2009.12.31



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