吉本ばなな 『すべての始まり-どくだみちゃんとふしばな1』『忘れたふり どくだみちゃんとふしばな2』を読んで

今月は吉本ばななの『すべての始まり-どくだみちゃんとふしばな1』『忘れたふり どくだみちゃんとふしばな2』を読んだ。

彼女の小説を一時コンプリートで読んでいたことがある。ある時からぱたりと縁遠くなり、最近また彼女のことが気になった。
(ちなみに彼女は前回書いた菊地成孔のラジオファン)

小説を読み込む気力は今ないので、エッセーを手に取った。
こちらのエッセーはこのnoteの連載をまとめたもの。

つらつらと日記風なのだが、以前書かれていた日記とは異なった感触を受けた。

それは彼女が両親を亡くして、そのことが文章の中にじんわりと響いているからだ。
昨年末、私も父を亡くした。家族が亡くなったことを知った人の書いた文が、ちょうど私にもまだまだ染み入る時期なのだろう。

生きている中で起こるすべてのことが「いとおしい」と感じているのが、ページをめくるたびに伝わってくる。

若くして作家デビュー(それも話題性抜群で)した彼女。
その後に過ごした粒粒辛苦なことも、さらりと書かれていて、ああ、ある程度歳を重ねていくと、みんなそれなりのことは経験するんだよなーなんて思いこむ。
子ども時代を過ごした下町の様子は、鮮烈だけど、彼女を形作る大事な要素だったなとか、友人知人との距離感とか、海外でのだらだらした時間のなんて切なさを感じるんだろうとか、小説もだけど、話の展開を読むんじゃなくて、文字にまとわっている空気を感じていくのがとても気持ちいい。

読了後、残るものが、他の物語の時とは明らかに違うのが彼女の作品だ。
ああ、言葉にうまくできなくてもどかしいんだけど、それがいいのかもしれない。

この3巻が新刊として発売になる。
紹介文がまた気持ちに響いた。

https://note.mu/info/n/n6ee39f23131d
もう少ししたら読もうかな。

こちらもなかなかずんずんしました。

吉本ばななが友だちの悩みについてこたえる
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20332


つぎは『ふなふな船橋』を読み予定。

#吉本ばなな #どくだみちゃんとふしばな

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