四半世紀滅ばずに出会えた

およそマメとは言えない性分だけど、毎年誕生日には何かしらの文章を残しているので遅まきながら今年も気持ちばかりの祝文をしたためておこう。

2018年のあなたは3月から始まったツアーに24時間テレビにドロ刑に、そして12月に公開されたニセコイにと、1秒たりともファンに目を離す隙も息つく暇も与えず、文字通り暦を駆け抜けていきました。あなたの新しいお仕事が発表されるたびにせわしく賑わう朝のタイムラインは、沈鬱な通勤電車を少しだけ祝福された場所に変えてくれ、機械的に揺れる車両は高鳴る心音と、背中越しに感じる他人の体温は火照る頰の温度と重なり、単調な毎日に泥む見慣れた風景をフィルターをかけたように鮮やかに塗り替えてくれました。
毎日のWebの更新もそう。スマホでSafariを開き、無数のブラウザの波を掻き分けた一番先頭、そこが一年以上ずっとあなたの定位置です。私はあなたのことを、毎日を少しだけ特別にする魔法を掛ける天才だと思っているけれど、その魔法は(そして世の中で魔法と呼ばれるあらゆる全ての仕掛けは)、泥臭い根性と忍耐と、そして見返りを求めない愛情から成るものだということをあなたは教えてくれました。

24歳のあなたはよく焦りを口にこぼしていたように思います。つらかったこと・苦しかったことはなんだって事後報告だったあなたの現在進行形の胸の内を聞くことはなんだかとても新鮮で、告解室で神父からそっと耳打ちで秘密を共有されるような、背徳めいた心地すら覚えました。「今はそういう年頃だよ」と酸いも甘いも噛み分けた経験者の立場からそっと肩を抱けるほど人生経験があるわけでもなければ、「全部がうまくいくよ!」と無垢な声援を送れるほどもう何も知らない年頃ではない、あなたと同じ速度で同じだけ年を重ねてきた私は、ひっそりとその焦燥に共鳴し、同じ時代の同じ毎日を生きる糧にしてきました。アイドルサイボーグと称賛され、時に揶揄されるあなたのそのツルツルのジュラルミン製の皮膚の下に脈打つ36℃の血液をふとした言葉や仕草から感じるたびに、何度だって愛が溢れてこみ上げました。
この一年もずっと大好きでした。

中島健人くん、25歳のお誕生日おめでとうございます。
(2019.3.13)

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