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The Dominatrix Sleeps Tonight

ドミネイトリックスをご存知か?直訳するとSMの女王。これがこのユニットのコンセプトとなっている。楽曲も然り。その首謀者は、スチュワート・アーガブライト

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70年代後半にパンク・バンド、ザ・ルードメンツでデビュー。その後、ポスト・パンク、ニュー・ウェイヴ、ノー・ウェイヴ、アヴァンギャルド〜エレクトロ〜ヒップホップを複数のユニット(FutantsIke Yard、Death Comet Crew、Ike Yard、Black Rain、Voodooists、Will To Power、Dystopians)で表現してきた。その中のひとつがこのドミネイトリックス

84年に、アーサー・ベイカーが主宰するダンス・ミュージック・レーベル〈Streetwise Records〉から「The Dominatrix Sleep Tonight」をリリース。ニューウェイヴ的なエレクトロ・ビートが人気を博し、瞬く間にニューヨークのディスコ〜クラブでヘヴィー・プレイされた。また、当時人気だったDJによるFMのマスターミックス・ショーでは、ジャンルを問わず様々なDJ達がこぞってこの曲をマスターミックスに組み込みオンエアされた。余談だが、当時スタジオでインターンをやっていたマーリー・マールの未発表リミックスがある。

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ダンス・チャートでは発売2週間で2位になり、約18週間にわたりチャートを席巻し世界中でライセンス・リリースされた。日本国内でも坂本龍一がいち早く自身のラジオ番組〈Sound Street〉でオンエアするなど、その人気は止まるところを知らなかった。

しかし、過激な内容からラジオ局は放送禁止を決定。また、当時、伝説的クラブ〈Mad Club〉などでNYダウンタウンのドキュメンタリー作品を上映していたニューウェイヴ映像作家、Scott B and Beth Bが監督を務めたPVも制作されたが、MTVなどで放送禁止となった。しかし、この曲とバンドの人気は衰えず、かのグレース・ジョーンズのフロント・アクトとしてライブに参加するも、バンド自体はあえなく解散。

その後、ニューヨークのダウンタウンを象徴する楽曲として、86年公開の映画「Parting Glances」、97年の映画「Grosse Pointe Blank」、そして、2010年の映画「Jean-Michel Basquiat:The Radiant Child」のサウンド・トラックとして使用された。そして、2012年、このPVはNY近代美術館〈MOMA〉の現代美術部門で展示された。まさに時代が追いつくという言葉を地でいっている。

さらに、昨年、ニューヨーク・タイムス雑誌が選ぶ70’s〜80'sを代表するダンス・ミュージック・トラック15曲に選出された。エヴァーグリーンな楽曲とはまさにこの曲のこと言うのではないか。

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