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Beastie Boys/Paul's Boutique

89年7月25日にリリースされたビースティー・ボーイズのセカンド・アルバム『Paul's Boutique』。

ビースティー・ボーイズは〈Def Jam〉ラッセル・シモンズとの確執から逃れるようにLAへ移住。同時に〈Delicious Vinyl〉へ移籍しリリースされたこのアルバムは、その95%がサンプリングで製作された。共同プロデューサーは、ダスト・ブラザース。

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引用元:Spin

ダスト・ブラザースは、85年からカリフォルニアのラジオ局〈KSPC〉で「ビッグ・ビート・ショーケース」なるヒップホップ番組でDJ/ホストを担当していた。

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〈Delicious Vinyl〉の創始者のひとり、マット・ダイクと知り合いだったことから彼らは音楽制作を開始、早速トーン・ロックやヤングMCのアルバムでプロデュース作品を提供した。その後、彼らは自身名義でリリースするために作品をプールしていた。その作品をマット・ダイクのアパートで聴いたマイクDが気に入りプロデュースを依頼した(アダムが映画『ロスト・エンジェル』の撮影でロスへ行った際にダスト・ブラザースと出会ったことがきっかけという説もある)。

ダスト・ブラザースによる楽曲は、あらかじめインストのブレイクビーツとしてリリース予定だったために、当時のヒップホップ・トラックで主流だったネタ一発のワンループではなく、各楽器のサンプルを緻密に組み合わせたもので楽曲として聴くに耐えうるものだった。そんな彼らの楽曲と共に、ビースティーズと一緒に製作した新しい楽曲をプラスしてアルバムとなっていった。こうしてジャンルを超えた105もの楽曲を緻密にカット・アップして作られたこのアルバムは、莫大なクリアランス・フィーを払ってほぼ全ての楽曲をライセンスしている。

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ファースト・シングルは「Hey!Ladies」。7インチ、その後、EP「Love American Style」としてリリースされた。

その後、アルバム未発表曲を集めたEP「An Exciting Evening At Home With Shadrach, Meshach And Abednego」をリリースした。このアルバムからシングル・カットされたのは実質的に「Hey!Ladies」だけだった(!)。12インチ・シングルが主流であるヒップ・ホップ・マーケットにおいてこれは異例なこと。あくまでアルバムで勝負したかったのか?!これが影響したのか?!ダブル・プラチナを獲得したもののセール的にはファーストを超えられなかった。しかし、ローリング・ストーン誌の選ぶ「史上最高のアルバム・ベスト500」に選出され、ピッチフォークでは「この作品はもはやアートの域に達している」と絶賛された。かのマイルス・デイヴィスは「このアルバムはいくら聴いても飽きない」と言い、ヒップホップにおけるビートルズのロック史上初のコンセプト・アルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』、ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』と並び称された。セールス的にはファーストを超えられなかったが作品への評価はこちらのほうが圧倒的だった。このアルバムは、90年代のヒップホップ黄金期の幕開けを告げた傑作のひとつと言える。

そんな『Paul's Boutique』をサンプリングしデザインとして落とし込んだキャップトートバッグが入荷しました。ぜひチェックして下さい。


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