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(Extended Version)

70年代に12インチ・シングルというメディアは生まれた。それまでの12インチ盤は、33回転で楽曲の収録時間が長くLP用として使用されていたが、45回転にすることで7インチ・シングルに近い音圧がえられ、シングルより楽曲を多く収録することができた。当初はジャイアント・シングルなどと呼ばれ、レコード会社が7インチ・シングルと共にプロモーション用として使いはじめた。

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その後、ディスコとDJ文化が興隆し、7インチ・シングルに収録された楽曲をディスコという空間でクラウド達を踊らせるためにDJが自前の編集で尺を長く(=拡張)したヴァージョンを作りはじめ、その海賊盤が街角で人気になった。それに目を付けたレコード会社が拡張(=extended)ヴァージョンを公式に作りはじめたところ、オリジナル楽曲とは違ったヴァージョンが楽しめるとあってマーケットで受け入れられた。

世界初の公式〈extended version〉は、76年に名門ディスコ・レーべル〈Salsoul Records〉からリリースされたダブル・エクスポージャーの「Ten Per Cent(Disco Mix)」。ミックスとエディットは、DJミックスのパイオニアであるウォルター・ギボンズ。この曲はビルボードR&Bシングル・チャート63位、ザ・マガジンズホット100 53位、そしてビルボード・ディスコ・チャートに置いて6週に渡って2位をキープした。

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↑Single Version(3:05)

↑Disco Mix Version(9:15)

また、ディスコ〜クラブ・シーンだけでなくポップ・シーンのアーティスト達もこの〈extended version〉を面白がり自分達の作品を12インチ・シングルとしてリリースしはじめた。それは拡大し続けるディスコ・マーケットを狙ったプロモーション目的であったが、と同時に〈extended version〉を制作できるDJやエディターという存在が当時のポップ・ミュージック・シーンにおいて重要な役割を担うきっかけともなった。

つまり、この〈extended version〉がDJやエディターがアンダーグラウンドなディスコ〜クラブ・シーンからメインストリームなポップ・ミュージック・シーンに登場するきっかけのひとつとなった。

そんなディスコ〜クラブ〜DJ文化の中から生まれた12インチ・シングルにおける〈extended version〉を落とし込んだのが TEST PRESSING "(Extended Version)" ビンテージ・ウオッシュTシャツ。限定で入荷しました。

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