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EDUTRIP in デンマーク 2018 Report #2

2日目は、現地コーディネーターのサダコさんからデンマークの学校制度について基本知識を少しレクチャーして頂いた後、日曜日で学校はお休みなため、学校以外のところをまず視察することからスタートしました。

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一つ目は、プレイパーク(建築遊び場)
プレイパークは、子どもたちが創造性を発揮しながら遊ぶことができるデンマーク生まれのユニークな公園です。廃材を使って物を作るなど、こどもたちが自由にのびのびと遊べる場として始まり、ヨーロッパだけでなくアジア圏の国々にも広がっています。今回訪問したノアブロのプレイパークはメンバー制ということでしたが(現在登録メンバーは230人ほど)、国からの補助が出るのでごく少額の負担で通うことができるそうです。

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スタッフは建築や飼育などエリアごとにペタゴー(社会教育士の資格を持つ人)がいて、こどもたちはペタゴーと相談し、わからないことは教わりながら活動をしています。
施設内には、こどもたちがこれまでに作った数多くの小屋や遊び場、保護者の方々の協力で最近できたという野外キッチンや石釜など、こどもたちがいきいきと遊べそうな場所がたくさんありました。

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また、多くのこどもが生き物を育てていて、ほとんどの場合うさぎの飼育をしているとのことで、出会ったこどもたちの多くが自分の育てているうさぎを連れていました。飼育のため、こどもたちは長期でいないとき以外は毎日通っているのだとか。飼育できる数は決まっていないので2匹育てている子もいるが、「責任を持って育てられるか」をスタッフとよく話し合い、命の尊さと育てることの責任を学ぶそうです。他にもニワトリの屠殺を体験するなど、食べることが命をいただくことであることも学んでいるということでした。

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自分の動物の小屋はこどもたちは手作りするそうで、どうやるのか聞いたところ、スタッフの人がやり方をまず見せてくれて、それから自分で進めていくとのことでした。自分の動物を近くに置いてきちんと見守りながら、のこぎりなどを使いこなして小屋作りをしているこどもたちが逞しく見えました。
また、ここに通っている男の子に話を聞いたところ、プレイパークのいいところは、様々な学年の子やおとなとの繋がりが持てて、社会性が身につくことだと話していました。学校は勉強するところ、プレイパークは社会性を身につけるところ、と役割を分けて考えていることは、日本との違いも感じ、印象的でした。

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さらに医療費が無料なデンマークですので、もしプレイパーク内でこどもが怪我をした場合でも、医療費をプレイパーク側か保護者側どっちが持つかというような責任争いは起こらないとのことでした。運営の財政に関わる責任追及をされる恐れがないからこそ、スタッフ側もこどもたちものびのびとできるのかなとも感じました。
 
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プレイパークの後は電車に乗って西へ移動し、ノアブロ駅前の「スーパーキーレン(Superkilen)」という大きな公園へ行きました。

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この公園はコペンハーゲン市内のノアブロ地区に2012年6月誕生した、全長約750mの細長い公園です。ノアブロ地区は移民が多いエリアで、60もの国籍を持つ人々がともに暮らしています。そんな多様な文化が混在するエリアの中で、誰もが自由に過ごせる公園としてスーパーキーレンは作られたそうです。
公園はレッドゾーン・ブラックゾーン・グリーンゾーンの3つのエリアに分けられていて、地面や木までもがきちんとゾーンの色にデザインされています。

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各所にあらゆる国から取り寄せた遊具やオブジェ、テーブルなどがおかれていました。そして取り寄せた遊具などには全てプレートが近くに埋め込まれていて、そこにはその名称とどこから来たものかが、デンマーク語と現地の言葉で書かれていました。

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例えば、タイやインド、ベルギー、モロッコ、アフガニスタン、パレスチナのガザ地区からの遊具や、なんと日本の「タコ公園」で知られる「タコ」もありました!!

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タコはこどもたちから大人気とのことで、私たちが公園を訪れた際も確かにいろんな人種のこどもたちがそこで遊んでいました。^ ^
どこの国から取り寄せた遊具なのか予想したり、プレートを探す、なんていう遊び方もできそうで面白いです。
 
大きな長いブランコがあり、それは押してもらうと高く飛べてとても楽しいんです。ただ一人でこぐのは少し難しかったのですが、それは地域の人同士のコミュニケーション促進のため?…かは分かりませんが、そうなり得る場所でした。

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実際スーパーキーレンが建てられた目的の一つに、色んな人種が混合してる地域が故の争いや問題を解決する、というのがありました。だからこそ、こうした様々な遊具を集め創造性溢れる空間を「公園」として創り、一人ひとりのバックグラウンドが尊重され、かつ地域が共同体としてうまくいくよう試みたのでした。
国籍や人種関わらず、人が集まれば対立や争いはどこでも起こり得ます。スーパーキーレンはその対立を、平和的方法で解決を目指す素晴らしい取り組みであると思います。また、多種多様な人々が共存・受け入れられる社会の形を考え、その結果こういった公園ができるのは、とてもデンマークらしいと思いました。私たちも公園で楽しく遊ぶことができました!^ ^
 
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夜は、振り返りのワーク。視察をした上で、「教育と社会について」と「自分自身について」の2項目をいいねと思ったこと(発見したこと)、もやっとすること(考え続けたい問い)に分けて書き出し、グループ内でシェアしました。

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同じものを見てもそれぞれ捉え方や考え方が異なり、それを知り共に学びを深めていくのがこのEDUTRIPの醍醐味でもあります!^ ^

(2018/8/19)