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フィジビリティは有料化すべき。

みなさん、日常業務の中で「フィジビリティ」という言葉を使われているだろうか。心当たりのある方は、ぜひ読んでいただきたい。

※長いですが、オチとしてはテクニカルディレクターのサブスクリプション(顧問契約)を始めます、というお話です。

※儲けたいという話ではなく、もっと生産性高く、低コストでWOWを生み出していきたいというお話です。

企画とフィジビリティ

インタラクティブな広告、新規サービスの開発、デジタルなライブ演出。

新しい表現に取り組もうとするときに、まず最初に発生するのは企画である。この時の主役は「プランナー」や「クリエイティブディレクター」と名のつく人が多い。

この段階では、いかに面白くなるか、いかに新しいか、WOWがあるか、ということが重視されるため「実現性」はあまり意識しすぎないほうが良いことが多い。

誰かがひらめいたらパッと光るインスタレーションをつくりたい。
トイレをIoT化してその日の体調に合った食事を提案する広告枠をつくりたい。
昨晩みた夢をビジュアライズする額縁をつくりたい。

こんな飛ばしたアイディアがブレストで生まれて、面白企画が事業主体者に提案される。

そして、ざっくりと予算が見えた時に始まるのがフィジビリティの確認、通称フィジビリである。フィジブる、と動詞化されることもよくある。

ここでプランナーから依頼をうけて活躍をするのが「テクニカルディレクター」「エンジニア」「テクノロジーに強い会社の営業」たちである。

「フィジビリ=営業活動」という誤解

テクノロジーにアンテナをはっているプランナーからの依頼は実現性が高いこともあるが、まったく実現性が考慮されていないアイディアがフィジブられることも多々ある。

こういった相談を受ける会社や個人は、案件が実施に至る場合にはプロジェクトメンバーとしてアサインされることが暗黙の了解になることが多く、フィジビリの活動は無償で行われることがほとんどである。

つまり、フィジビリはテクノロジー屋にとっての「営業活動」として位置づけられている。

営業活動なので、成就することもあれば実現しないこともある。中には相見積もりを取りながらのフィジビリティということも、よくある。肌感だが、5割の打率で成就すればいい方な感じだろうか。

フィジビリは有料化すべきである。

テクノロジー屋には、無償でフィジビリティをさせてはいけない、という文化を作っていくべきである。

思考の整理のために、違う業界の例を引き合いに出してみよう。

たとえば弁護士。

弁護士には「顧問契約」という形態の付き合い方があり、月々のベース金額を支払い、不規則に発生するリスクに対して柔軟に対応してくれる。その多くはタイムチャージになっており、決められた時間をオーバーすると時間当たりの金額が上乗せされる。

スポット発注」という、月々の付き合いはないが、必要な時に依頼する契約もあるが、顧問契約に比べて単価が高いことが多い。

弁護士は法学部で大量の知識を養い、法の現場で経験を積んでいる。

この知識と経験は、不規則な要望に対してサブスクリプションとしてお金を払い続ける価値があると、世の中的に認められている。

たとえばフォトグラファー。

フォトグラファーには「ロケハン」という業務がある。イメージ通りの撮影ができるか事前にロケ地にいって確認する。ロケハンはグラフィックや映像をつくるうえでのフィジビリとも言えるが、これに対しては交通費や稼働費が払われることが少なくない。(外ロケの場合、めちゃ山奥までいくことも多い)

かたや、テクノロジー屋さん

テクノロジー屋さんは、日々大量の新しい情報を処理して、新しい実験を続けている。それは弁護士の努力にも引けを取らないはずだ。PCがあれば仕事できるので移動などわかりやすい稼働は少ないが、ロケハンと同じかそれ以上に時間を費やしていることもある。しかし、なぜか無償でフィジビリを依頼されることが多い。(実際はハードウェア関係になるとPC作業だけではなく、はんだごてが登場することもある)

「聞けばわかる」と思われがち。

テクノロジー屋さんの業務内容が認知されていないことが原因だ。テクノロジー屋さんは色々くわしいから「聞けばわかるもんだ」とも思われているかもしれない。

テックのプロ集団BASSDRUMは、こういった状況を改善するためにテクニカルディレクターの地位をあげ、仕事内容の価値を啓蒙しようとしている。テクニカルディレクターの顧問契約も一部始まっているようである。

Konelはこの流れに敬意を持ち、自社としてもテクニカルディレクターがより有効に活躍できる状況をつくりたいと思っている。

フィジビリティDesk [beta]

まずは、実験的に「フィジビリティDesk」のようなサービスを始めてみようと思う。

毎月発生する、新規性の高いプランに対するフィジビリティを確認するだけではなく、企画段階からテクニカルディレクターを注入し、よりWOWのある、実現性の高いプランをつくるお手伝いを、顧問的にやっていこうと思う。

この取り組みは、単にテクノロジーサイドにとってメリットがあるだけでなく、プランをつくる会社にとっても、効率・効果の両面でメリットが大きい話だと思う。

一気に多くの取引先と契約することは難しいけど、興味がある会社があれば、ぜひドアノックしてほしい。

お問い合わせ:dev@konel.jp(出村 光世 宛)

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