映画を観た記録85 2024年5月6日    ジャンフランコ・ロージ『国境の夜想曲』

Amazon Prime Videoでジャンフランコ・ロージ『国境の夜想曲』を観る。
とてもドキュメンタリー映画とはいえないほどの美しい画面である。撮影テクノロジーの進歩の賜物と言える。夜の風景がモノや人の輪郭がわかるのである。夜景で懐中電灯をつけたような画面もとても鮮明であり、夜の黒と光の違いが極めて明確に際立っている。
本作は映像美を誇る映像詩なのか。そうではない、イスラム国やシリア政府に支配されたシリア、イラク、クルディスタンの人々の嘆きの記録なのだ。
冒頭の老母が息子を牢屋で殺されたことでの嘆きから始まる。
映画の途中で子どもたちは、イスラム国が住んでいた地域を支配してきたときを絵にして、カウンセラーのような女性に伝える。カウンセラーは優しく受け止める。なぜなら、子どもたちには
心のケアが必要だからだ。日本の学校教育に欠けているのは子どもたちへの心のケアである。
また、精神病棟では中東の現状を告発するドラマを患者たちに行わせる実験的な試みもしている。
とても深刻な状況が美しい画面とともに写される。
いつになったら中東の地獄は終わるのだろうか。

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