映画を観た記録39 2024年2月11日    ベルナルド・ベルトルッチ『暗殺の森』

Amazon Prime Videoでベルナルド・ベルトルッチ『暗殺の森』を観る。

熟れた果実のような作品。

周囲に漂うデカダンな匂い。

絵画のような画面に張り付いたファシストの殺意。

ジャン・ルイ・トランティニヤン演ずるマルチェロは少年時代、年上の男が髪の毛をおかっぱにし、誘われ、キスをして、そして拳銃で壁などあたり一面、打ちまくり、年上の男まで殺してしまう。マルチェロは教会でそのことを告解する。司祭から過激派なのかと問われると、取り締まる側だ、というと、それならよいと罪は許してもらえる。マルチェロはファシスト党の秘密警察として、パリに住む、マルチェロを教えた教授を暗殺にしにいく。

マルチェロは妻がいながら、ドミニク・サンダ演ずるアンナと恋に落ちる、というか、情事になる。

情事と言えば、マルチェロと妻ジュリアとのパリへ寝台列車で向かう新婚旅行の途中、窓に流れる美しい景色を背景に、情事を重ねる。ハイヒールの靴が見える。

熟れた果実のような映像である。

教授を暗殺するのはマルチェロではない。待ち伏せしていた他のファシスト党の一味である。マルチェロは車の中で身体をかたくしていた。アンナがマルチェロに助けを求めに車に来たが、マルチェロは取りあわない。護衛のマンガニエーロは、そんなマルチェロは卑怯者だ、卑怯者とホモとユダヤは皆殺しにしたいと叫び、立小便をする。

原作はアルベルト・モラヴィアである。

撮影は、ヴィットリオ・ストラーロである。

ただただ、美しく、ファシズムの終末感が漂う映画である。

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