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2023年1月21日(土)創立記念コンサート開催決定!ゲーム音楽専門の吹奏楽団「Arc-hive Philharmonic Winds」

ゲーム音楽専門の吹奏楽団「Arc-hive Philharmonic Winds」が2023年1月21日(土)にJ:COMホール八王子での創立記念コンサートの開催を決定しました。楽団指揮者で、ゲーム音楽の作曲者としても活躍する岩垂徳行さんをはじめとした豪華なアレンジャー陣や、総勢90名近くの巨大編成が注目を集め、大手ゲーム雑誌に取り上げられるなど、創立記念コンサートにしてすでに話題の楽団となっています。

有志によるゲーム音楽演奏界隈に颯爽と現れ、圧倒的な存在感を誇るArc-hiveとは一体どのような団体なのか?今回は、Arc-hiveの代表を務める村上晶紀さん、運営事務を務める村上絵麻さんご夫婦にお話を伺いました。

Arc-hive代表 村上晶紀さん(左)、運営事務 村上絵麻さん(右)

“みんなが愛するゲーム音楽”を、“時を超えて愛されるゲーム音楽”へと推し進める第一歩

——まずは、Arc-hiveをスタートさせたきっかけについて教えていただけますか?

村上絵麻さん(以下 絵麻さん):Arc-hiveのコンセプトである「ゲーム音楽の譜面を保存する場を作ろう」というのがきっかけになっています。

以前宮本さん(※筆者)が書かれた「空オケ」(ゼルダの伝説 スカイウォードソードの楽曲を中心とした有志の非公式演奏会)の記事でも言われていたように、有志によるゲーム音楽演奏会の譜面って基本的には再演される機会がないんです。編曲者がものすごい労力と時間をかけて譜面を作成しているのに、すごくもったいないなと長年思っていました。

ただ、ゲーム音楽の演奏界隈はまだまだアングラなイメージもあり、一回限りというのも「色々な事情」が絡んで仕方がない部分ももちろんあります。だからこそ、Arc-hiveが先駆けとなってその「色々な事情」をクリアして、譜面を形にして再利用できるモデルケースを作ろう!という思いで活動しています。

村上晶紀さん(以下 晶紀さん):そのままですが、Arc-hiveは「Archive」(アーカイブ)が語源になっています。ゲーム音楽の譜面、楽曲のアーカイブをして、後世に伝えていく。その第一歩になればと思っています。

Arc-hiveのイメージキャラクター

——Arc-hiveの編成やゲーム業界での取り上げられ方を見るに、かなり大きな規模感で団体を立ち上げられたように見受けられます。一体どのようにしてここまでの規模に仕上げたのでしょうか?

絵麻さん:当初は90名もの巨大編成になる想定はなかったんです(笑)

でもやりたい!と思って応募してきてくれた人がたくさんいたのと、今回は創立記念ということもあり大きなお祭りにしたかったので、その気持ちと折り合いをつけていくうちにどんどん大きくなっていきました。

もともと演奏のクオリティを保つためにトレーナー陣は信頼のおけるプロの方で固めていたので、想定外の90名近くの編成でも対応できています。

晶紀さん:また、ゲーム音楽作曲家であり当楽団指揮者の岩垂さんについては、昔から一緒に仕事をしていたご縁もあって、今回お声がけさせていただいた次第です。

演奏会を立ち上げるためには何を置いてもまず「演奏会の企画を練り、根幹を作り上げること」

——Arc-hiveほどの大規模なコンサートでも入場無料というのは、やはりゲーム音楽の権利に関する部分と関係があるのでしょうか?

絵麻さん:ゲーム会社によってガイドラインを出しているところ、個別に許諾を取るところと色々ありますが、そもそも基本的に入場無料じゃないと許諾はおりません。

確かに一昔前は超アングラで、許諾も何も確認せずに見切り発車で動いている団体もありました。でも直前になって権利関係の問題が発生し立ち消えになってしまった、なんて事件が起こったこともあります。そういった経験を経てゲーム音楽演奏界隈の意識も改善されていて、逆に今では権利関係がクリーンでなければ自然と淘汰されるようになってきています。

晶紀さん:それに応えてくれるかのように、ゲーム業界側の関わり方もだいぶ変わってきています。

例えば今回演奏するある楽曲についてメーカーさんへメドレーの構成案を送った際に、修正案に加えて「曲を通して伝えたい想い」まで送ってくださいました。そこまでしてくださるのであれば、やはり我々も裏切らないように活動したいですよね。

——最近は新規でゲーム音楽演奏企画を立ち上げる人も多いように思えるのですが、その場合はまず何から始めるべきでしょうか?いきなり権利関係の処理から始めるのは、ハードルが高いように思えますが……。

晶紀さん:何よりもまずは企画をしっかり練るところからです。

個別に連絡して許諾を得るにしても、そもそもホールや日程、演奏会の規模感がある程度決まっているか否かで許諾の通りやすさが段違いで変わってきます

許諾を取る際にそういった説明を加えるだけで、どういった場所へ連絡が必要なのか、どういった条件がつくのかが権利元(ゲーム会社)から提示されやすい。企画が練られていればその分やり取りがスムーズになるはずなので、そういったところまで先回りしてお伝えした方が好印象だと思います。

絵麻さん:そうは言っても企画を練るのって本当に大変で、しかも初期段階のことなのでイメージも湧きにくいと思います。でも演奏会を完遂するためにはとても重要な要素なので、そこでつまづいたり詰めきれなかったりすると、権利関係云々関係なく失敗しやすいのは確かです。

もしその時点で困ってしまったら、私が主催している「Libra Notes」で演奏会に関する相談に乗ることもできます。「この曲やりたい!」というレベルで構わないので、一度相談してみてほしいです。新規に演奏会を作り上げるのは、本当に何から何まで大変なので。

合奏を見守りつつも事務仕事を続ける絵麻さん

「絶対に損はさせない」。ゲームの中では聴くことができないけど「音楽として」ちゃんと用意されている部分を届けたい

——2023年1月21日(土)の創立記念コンサートでは、どういった曲を演奏する予定でしょうか?

晶紀さん:曲目はアークハイブの公式サイトで全て公開していますので、詳細はこちらをご確認ください。

事前に全曲公開したのは、ゲーム音楽の演奏会でありがちな「この曲を演奏するなら行ったのに!」を防いで、ひとりでも多くの人に刺さるようにするためです(笑)。

ゲーム音楽の超人気曲はやはりたくさんの場所で演奏されるうえに市販譜も出版されていたりもしますが、演奏機会に恵まれない隠れた名曲も数多くあります。そういった曲を演奏して「アーカイブ」するのも目的の一つです。

曲に沿った雰囲気での演奏を追求するために、アンサンブルでの演奏も予定されています。大編成とはまた違った魅力をお届けできると思っていますので、その違いを楽しんでほしいと思います。

——最後に、指揮者の岩垂徳行さんと副指揮者の山田雅彦さんからも、皆様に向けてひと言お願いできますでしょうか?

岩垂さん:僕自身、これまでオーケストラの編曲はやってきましたが、吹奏楽の編曲はほぼ初めてなんです。そのため、吹奏楽の重厚なサウンドを届けるべく合奏中も試行錯誤しています。

知らない曲だとしても楽しめるようなサウンドに仕上げているので、ぜひ創立記念コンサートに来て、曲を好きになって帰ってほしいと思っています。

真剣な面持ちで指揮をする岩垂さん

山田さん:ゲーム音楽を生で聴く喜び、演奏する喜びを届けたいと考えています。元の曲を尊重しつつも、決してゲームの中の音楽の再現に留まらないようなサウンドに仕上げていますので、お楽しみに。

緻密にサウンドの確認を行う山田さん

晶紀さん:ゲーム音楽には、実装はされていてもなかなか最後まで聴く機会がなく終わってしまう曲があったりします。演奏会ではそういった普段は聞けない部分も聴くことができますので、新しい発見を楽しめるはずです。

絶対に損はさせません。ぜひいらしてください。

絵麻さん:今回、有志によるゲーム音楽演奏会では珍しく、託児所も用意しています。この先どんなライフイベントが起こったとしても、奏者もお客様も末長くゲーム音楽を楽しめるようになってほしいと考えての試みです。有料にはなってしまうのですが、ぜひご活用ください。


“ゲーム音楽を演奏する”未来について考えて立ち上げられた
Arc-hive Philharmonic Winds

是非そのArc-hive Philharmonic Windsが思い描く未来に思いを馳せながら、創立記念コンサートに足を運んでみてはいかがでしょうか?いつものプレイ中には聴けないゲームの“音楽”を聴くことができるかもしれません。


Arc-hive Philharmonic Winds
1st Concert -The Beginning of the Adventure-
2023年1月21日(土)
13:30開演
J:COMホール八王子
正指揮者:岩垂 徳行
副指揮者:山田 雅彦
チケット情報:https://teket.jp/3683/17306 
公式アカウント:@Arc_hive_Phil


執筆・撮影:宮本デン
編集:中村洋太(@yota1029

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