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【NYM】戦力分析=極端に言えば占星術

毎年思いますが,Metsの戦力分析はあてになりません.せいぜい地震予報のようなものでしょうか(さすがに占星術は言い過ぎか).このNoteが数日前に書かれていれば,そこにはJ. deGromM. Scherzerに対する礼賛が綴られ,勝利への希望が満ち満ちていたでしょう.deGromについては肩甲骨の異常による一月以上の離脱が報じられ,Scherzerはシーズン前の最終登板をスキップ.不穏なニュースがファンダムに溢れると,「ああ,今年も開幕か」と(それでも快進撃への期待は忘れず)4あるいは5ヶ月ぶりの胃へのストレスに備えるのです.

2大看板エースの凶報を背景として,Metsフロントは先発投手を得ようと動き始めています.この記事を書きながら筆者が繰り返し調べているのは,MetsとPadresの間で交わされているというトレード談です.Dom Smithを見返りに,Eric Hosmer, Chris Paddack, さらにEmilio Paganを得ようという話が持ち上がっているようです.年俸の大半を負担してでもHosmerを放出したいPadresと,投手を補強したいMetsの希望が一致しているということでしょうか.また,NLでもDH制の採用が決まったことで,P. Alonsoのいるファーストに,ポジションが被る選手を獲得する障壁が下がったという背景もあるでしょう.

このトレードについては詳細が決まり次第改めてお伝えするとして,今回はMetsの今年のポイントを簡単にまとめてみたいと思います.

野手新戦力は期待大...だが4割引で期待せよ

以前の記事でも触れていますが,今オフにMetsはS. Marte, E. Escobar, M. Canhaと3人の大型(中型?)補強を行っています.これらの補強により攻守にわたる野手のアップデートを行っています(走力の衰えが心配なMarteはスプリングトレーニング中すでに2盗塁!すばらしい).主にMarteはセンターとライト,Canhaはレフト(とセンター?),Escobarはセカンドとサードを守る可能性があり,このあたりの布陣はよく読めません.表題の懸念は...もちろん故障による離脱に関することです.筆者は昨年C. Carrascoが早々に離脱したときも何の怒りや嘆きも湧きませんでした;何事も準備が大事.

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ユーティリティプレイヤーの運用が鍵

新戦力3人が多芸な選手であることも後追いして,P. AlonsoF. Lindorを除くMetsの選手はみな複数の守備位置につく可能性があります.とくにD. Smith, L. Guillormeは今年のキープレイヤーであると筆者は見ています.前者は2020年の打撃ができればリーグ屈指の打者でかつDH/LF/1Bを全うでき,後者は守備ではプラスを発揮できます.Guillormeはここ数年打席数は少ないながらも高い出塁率(昨年132打数で.374)を残しており,終盤の粘りも印象的な選手です.J. McNeil(セカンド,サード,レフト,ライト)も実力通りであれば3割が期待できる選手であり,JD. Davisもops.8の実力を持っています.彼らの運用(トレード放出も含める)がMetsの今シーズンを左右する最大のポイントでしょう.新監督B. Showalterの手腕が試されます.

これに加え,P. Alonsoが安定して長打力を発揮できるか(昨年opsは前半.803, 後半.921),F. Lindorが打席での輝きを取り戻すことができるかが主要なポイントです.

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期待の最大値は高い=すなわち例年通り:投手力

オフシーズン最大の衝撃はMax Scherzer - a Met- の誕生でしょう.昨シーズンも15勝を挙げ180イニング弱で236奪三振,WHIPは0.86と自己ベストを更新するという堂々たる成績&安定感を誇る球界のエースの獲得は,それだけで「優勝」の二文字をファンに想起させるのに十分です.一方,昨年も離脱があったように,健康状態に全く不安がないわけではありません.

Chris Bassittの補強は今オフシーズン中盤の最大ニュースでした.昨年防御率3.15で12勝し,Athleticsに8つの貯金をもたらした投手がローテーションに加わることで,弱点であった先発陣の大幅なアップデートとなりました.これに加え,C. Carrascoの復調,2020年6勝のD. Petersonのv字成長,昨年飛躍(6月は5先発で防御率1.04)したTylor Megillが安定感を発揮すると言った,様々なポジティブシナリオが存在します.一方で,これら全てが実らず,新戦力が故障という最悪のシナリオも現実感があるため,全く結果が予測できません.

まとめ

以上を一言でまとめると,「様々な勝ち筋が存在している;そして負け筋も」です.こうなると,監督の采配,フロントによるロースター構成,さらに故障などの不確実性の管理がシーズン成績を左右する最っっっとも重大な要因となることが明らかです.ここで願いたいのは,オーナーSteve Cohen以下,一貫して行われてきた期待値ベースの投資・編成戦略(例:安く買えるし当たればでかい→有名選手のバウンスバックに賭ける)にアレンジを加え,期待値を落としてでも不確実性を下げるような形での投資を行うことです.

あとは,ファンの皆様自身で神や超自然的存在・現象に対して祈り,幸運を待ちましょう(車が三回転するような大事故に巻き込まれたP. Alonsoが無事であって,本当に良かった).

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