「今世紀ニッポン」のダクト———マイナンバー制度。

「今世紀ニッポン」のダクト———マイナンバー制度。

番号に紐付けされるのはおそらく、納税情報だけではあるまい。
家族情報、年金納付状況、生活保護の受給歴、銀行口座、所有する不動産などの資産、給与額や職歴、犯罪・補導歴、結婚・離婚歴、学歴、破産歴、渡航歴、病歴・健康診断受診歴、生命保険の保険金、自動車保険の等級、信販会社の与信、図書館で借りた本、趣味・嗜好、思想・支持政党、贔屓の野球チーム、SNSのアカウント、Googleで何を検索し、Amazonで何を買い、SuicaやETCで何処に移動しているか、そして地獄の果てまで追いかけてくる徴兵の義務や、果てはDNAの塩基配列情報まで———。

それらの情報は「テロとの戦い」やら、「戒厳令下の超法規的措置」やらによって収集、管理されることが常態化される。

「法律に書いてなくても、適切な運用がされると思いますよ、だって私は総理大臣ですから」

しかし、番号の管理は国や公共団体から、民間会社に委託され、裏ルートで売却され、または、コンピュータ・ウィルスによって流出するだろう。

肉体の細胞は日々生まれ変わっているにも関わらず、マイナンバーに紐付けされた情報は、広大なネットの海を永遠に彷徨う。
監視と嫉妬によって身分は固定化され、浮上は許されず、死だけが優しい逃げ道として、微笑みかけてくる。

生後間もない赤ん坊にICチップを埋め込むに至り、ナンバーを管理していたはずが、いつの間にかナンバーに管理されていることに気付く。

しかし、気付いた時にはもう手遅れ。
ダクトによって支配される「未来世紀ブラジル」の監視社会の完成だ。

マイナンバー 社会保障・税番号制度
www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?