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自作の”毛糸のちゃんちゃんこ”

あけましておめでとうございます。新年最初の記事は、昔を思い出して”毛糸のちゃんちゃんこ”の話です。ちゃんちゃんことは袖なしの羽織のことで、一般的には綿入れの防寒着を指しています。家屋の密閉性が向上し、暖房が完備された現在の家では、部屋でちゃんちゃんこを着ることも少なくなったことでしょう。

ちゃんちゃんこは、ドテラや半纏はんてんと違って袖がないため着脱が楽です。そのため、子供や老人が着用することが多い印象があります。最も有名なちゃんちゃんこと言えば、やはり鬼太郎が着ているツートンカラーのちゃんちゃんこでしょう。ここでも、”ちゃんちゃんこ=子供”の方程式が成立しています。

私の母は手先が器用で、私が小学生の頃は洋裁の仕事を内職にしていました。基本的には専業主婦でしたが、家計を助けるために家で出来る仕事として、女性服の仕立ての下請けをしていました。私は出来上がった洋服を届ける手伝いをさせられていましたが、完成品を持って行くとその洋裁店でお駄賃をくれるので、嫌だけど文字通り”現金なメリット”があるので、母の仕事を手伝っていました。

冬になると、母は手編みや機械編みのセーターを作ってくれました。手芸店で買った本の中で気に入ったデザインがあると、見本と色違いの毛糸で作ってくれました。そのため、大学生になるまでは市販のセーターを着たことがありませんでした。また、お正月シーズンは手持無沙汰なのか、余った毛糸で10センチ四方くらいの”四角いモチーフ”を編んでいました。私も暇だったので、編み方を教えてもらってモチーフを編んでいました。いまでは殆どできませんが、高校生の頃はカギ針を使った編み物が出来ていました。

コタツに入ってテレビを見ながら、ひたすらモチーフを編んでいると、結構な数のモチーフが出来上がりました。いつもは、このモチーフを使ってザブトンカバーなどを作るのですが、受験用にちゃんちゃんこを作ってもらうことにしました。ちゃんちゃんこなら、袖が無いので勉強には向いています。当時は、”頭寒足熱ずかんそくねつ”が良いとされ、眠くならないように勉強部屋では、暖房を入れずに”足温器”を使って勉強をしていました。しかし、体は寒いので防寒具が欲しかったのです。

私が作ってもらったのは、モチーフを繋ぎ合わせた見た目が派手なちゃんちゃんこでした。丈は腰くらいある長めのちゃんちゃんこで、プレスリーの衣装のようにフリフリも付けてもらいました。このちゃんちゃんこは自宅使用限定なので、こんな仕様になりました。40年以上前の話ですが、懐かしいです。ひょっとすると実家の隅っこにまだ保存されているかもしれません。

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