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住友電工オプティフロンティア 埼玉事業所 前編

電線アンバサダーが全国の工場を取材する「電線ノート」。
今回お邪魔したのは、埼玉県行田市にある住友電工オプティフロンティア埼玉事業所。
データセンターや通信局と、私たち利用者をつなぐ光ファイバーケーブルなどの開発・製造・販売している会社です。


108年の歴史が支える最先端技術

仕事や勉強、動画や音楽、ゲームなどのエンタメを楽しむなど、私たちの生活に欠かせない光ケーブル。
最先端技術を支えるのは、100年を超えるものづくりの歴史と技術です。

住友電工オプティフロンティアの前身となったトヨクニ電線の創業は1915年。
2010年に住電ハイプレションと合併し、2020年に社名変更があり、今の住友電工オプティフロンティアとなりました。

光ケーブルって?

光ケーブルとは、光ファイバを使った通信用ケーブルのことです。
電力ケーブルと大きく異なるのが、素材と用途です。電線の中心に通っているのは導体と呼ばれる金属で、光ファイバはコアと呼ばれる中心部分にガラスやプラスチックが使われています。
光ファイバ一本の太さは髪の毛と同じくらいで、とても軽いのが特徴です。

真ん中に通った「コア」の内側で光が反射し、情報のロスが少ないためたくさんの情報を遠くまで、すぐに送れるのが特徴で、雷にも強いそう。
電力ケーブルに使われる銅やアルミなどと比べ、光ケーブルのガラスやプラスチック素材は電気を通しにくいのです。

光ファイバの中にはプールがある?

光ケーブルの構造は大まかに、クラッドと、光の通り道であるコアに分かれています。それぞれの関係をプールにたとえると、クラッドは水の外、コアはプールの水に、そしてコアを通る光がプールの中を泳ぐ人になります。

画像提供:住友電工オプティフロンティア

プールの内側から水面を見上げると、角度によっては光が反射して外の様子が見えません。これを「全反射」と呼び、ケーブルの中で光を全反射させることで情報を届けるのが光ケーブルのしくみです。
髪の毛ほどの細さのケーブルの中に、私たちの情報を光に変えて遠くに届けるため、光が泳ぐウォータースライダーのようなものがいたるところに張り巡らされているようなものでしょうか。

光ケーブルは、大きなデータをすぐに、遠くまで届けられます。私たちがさまざまな場所で動画を楽しんだり、大きな容量のデータをやり取りしたりできるのは光ケーブル技術の進歩のおかげなのです。
今後さらに大きなデータを届けるために、光ファイバ一本あたりのコアを増やす多芯化が予想されます。技術的な難しさや、繊細さの求められる分野に挑戦し続け、歴史を未来へつないでいくのですね。ものづくりってすごい!

さあ見学だ!

工場長の梁さんにご案内いただきました。

梁さん
「事業所の広さは東京ドーム1.5個分あります。私が工場長になった4年前から、残業を減らすなどの労働条件をはじめ、工場のさまざまなところを改善しました。
目で見えるところで言えば、ケーブルドラムを積み上げて収納しないことです。これで工場全体の見通しや風通しが良くなります。
誰がどこにいるのかがすぐ見つけられ、お互いに話しやすいんです」

季節や持ち場によっては暑くなる工場。
熱中症対策のタブレットも用意してあります。私も一ついただきました。

「この会社では兼業農家として働く人もいて、田植えの時期は月曜からヘトヘトの人もいます。でも、互いに顔を見てコミュニケーションが取れれば、無理しすぎず楽しく働けるよう声かけができます。
他にも、年に4回、部長との対話を行い、現場の声を会社側に届け、風通し良い社風を目指しています。

実際に2人体制で回していた箇所を3人体制にして1人あたりの労働時間を減らしたり、働く人がひとりの人間として生きられること、仕事だけでなくプライベートを大切にできるよう意識しているんです。」

まずはドロップケーブルの押出工程を見学しました。

ドロップケーブルは、電柱から個人宅・マンションに光ファイバケーブルを引き込むケーブル

担当されているのは入社3年目の鈴木さん。

「入社する前まで、工場での仕事は一人で黙々と働かなくちゃいけない、過酷だというイメージを持っていました。しかし、実際に働いてみたらコミュニケーションが多くて楽しいですし、グループでの作業もたくさんありました。
それに、街で自社製品を見つけると、あ、住友だ! と嬉しくなりますね。
休日は、高校時代からやっているバドミントンをしてリフレッシュしています。」

光ケーブルは細いケーブルを何本も使い、ロープのようにより合わせて一本のケーブルに加工します。
こちらのお仕事を担当しているラハマンさんにお話を伺いました。

「光ファイバーが設計通りに巻かれているか確認しています。同じ設備でも違うものを作れるのが面白いですし、細かな作業でも毎日変化があるのが楽しいですね。
出身はバングラデシュで、2年前からこちらで働いています。
宗教上の理由でヴィーガンなので、お昼ご飯には弁当を持ってきたり、焼き魚定食などを食べています。上司や同僚たちとは、夏でも冬でも「元気?」と声を掛け合いながら楽しく働いていますよ。」

若手のふたりをはじめ、ここでは総勢200人の社員さんと30人の派遣社員さんが働いています。周辺はのどかで、とても気持ちのいい場所でした。

次回は、住友電工オプティフロンティアで働く方々のお話と、行田の街にフォーカスします!

INTERVIEW DATE:2023/08/25

”電線のヒミツ”を探しに行こう!DISCOVERY DENSEN
電線にまつわる「?」や「!」をお届け!石山蓮華の電線ノート

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