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寺「ピー」は なぜカタカナなのか?

なくしたと思っていたものが出てきた。

KER (Kevin's English Room) の動画「第1回 帰国子女人狼」に出演させてもらった時に使用した名札。写真は撮影後に記念に持ち帰ったもの。

この動画が配信された翌日から反響が大きく、働いている社内でも次々と声がかかる。僕が帰国子女だったことをこれで初めて知った人も。うまいこと生きてきたもんだと思いました。息をひそめて暮らす、というとそれは言い過ぎですが、何かと鼻つまみ者になりやすいんです。なるべく目立たないように生きてきたつもりです。そういう帰国子女は、僕の周りにはちらほらいます。日本で生活していく上の術なんです。

なのに、僕は全く真逆の行動をとってしまいました。それも有名ユーチューバーの動画に出るという。そしてその中でもすごい企画に。これを書いている時点で出演動画の再生回数は640万回。あまり見ることのない数字です。なぜ応募してしまったのでしょうか。

撮影当日、名札とマジックペンをスタッフの方から渡され、出演者 各自で名前を書くように言われました。この企画に応募する際に記入した名前の欄には、本名ではなくニックネームを求められていました。過去にいろんなニックネームが僕にはありましたが、その時選んだのは「寺ピー」。
正直「ピー」と書いたのか「ぴー」と書いたかのか記憶にないんです。そもそもまず審査に通るとも思っていなかったので、あまり深く考えていませんでしたし。妻が見つけたオーディションの案内。受けてみたらというので、軽い気持ちで受けただけなんです。超がつく有名ユーチューバーの企画になんて採用される訳がないじゃない、なんて話しながら。覚悟も何もないです。

この日は本番の人狼ゲーム。帰国子女であることがKERの3人にはバレてはいけないのです。もしかしたら筆跡でバレるかも。ひらがなだと「ひ」の丸みの癖からバレるのでは?カタカナの「ヒ」ならまっすぐな線のみ。よし。たまたま「寺」という漢字も直線のみで書ける。

ということなんです。一度これでいってしまったので、もうカタカナでいくしかないんです。このnoteのアカウントもカタカナで通すことにしました。X (twitter)もそうです。

連絡をとりあうメールも「寺ピーさん」で来ます。なんか恥ずかしい。
これでいいのかな?もっとカッコいい名前にしたら良かった (笑)
時すでに遅し。
僕が返信するメール、文末には自分で「寺ピー」って書くんです。
だって本名じゃわからないでしょ?ずっとこれで行くしかないんです (笑)
芸能人ってみんなこうなのかな?

ちなみにスタッフの方からその時に聞いたのは、応募総数500人から選ばれた8人であるということ。えー!と一斉に感嘆の声が部屋に響いたのを覚えています。僕たち出演者は、KER側から審査の結果合格であるという連絡を受け、当日集合場所に来ただけなのです。そんな倍率だっただなんてつゆ知らず。

視聴者は画面を通して8人が並んでいる映像を見ていますが、僕らはその角度で自分たちを見ていません。横一列に並んで、目の前にKERの3人が座っている。そう。記憶に強く残っているのは3人が並んでる姿と、その横にカメラに映らないようにして立っているスタッフの方々の姿。隣の出演者を見ることはあっても、そのもう一人隣までは見えないですし。

興味深いのは、テレビの出演とは違いYouTubeなのでいつまでも残るということです。テレビのその時の視聴率とは違い、YouTubeは視聴された回数で記録されるもの。そして好きなタイミングで何度も観れる。今も数字が伸び続けている理由です。時代ですね。1年過ぎても突然「この前観たよ!」ってこともよくあります。

そんなある日、そういえばあの名札はどこへ行ったっけ?
探すも見つからず。たしかここに入れてたと思ったんだけどなぁ。
普通は大事にどこかに保管しておくべきものですよね。大事にしていなかった訳ではないのですがこれには理由が

撮影後に、実際に動画がアップされるまではこの尺だと編集に3ヶ月かかるかなぁと言われていました。3ヶ月というのはなかなか長いです。当日はただ動画を撮って終わるので実感というものはあまりないのです。あまり面白くなくてもしかして没になったりして、なんて思ったことも。記憶もやや薄れていきます。

後に反響がここまですごくなるとも当時は思っていなかったので、そこまで名札に思い入れがありませんでした。でもいざなくすと、そのなくしたものが気になってきます。いつか出てくるであろうとは思ってましたが。

そして案の定それはある日 突然出てきました。妻がこんな所に入ってたよと。子供の工作の作品を集めた大きな袋に紛れ込んでいました。そういえば新学期が始まったばかりの時期でした。子供が春休み前に持って帰ってきた袋に紛れ込んでしまったのでしょう。久々にそれを見た瞬間、なぜか有名人に会ったような感覚。あの動画に出てた人の名札だって。自分の物なのに、なんか他人の物のような変な感覚。

時間も経ってて なんか突然 客観的に見れたんでしょうね。
なぜnoteやXを始めたのか。なんとなく始めたつもりなんですが、根底には何か理由があるはず。ずっとモヤモヤしながらやってきましたが、その時こう思いました。
自分のアイデンティティーを長い間なくしていたのかもって。
帰国後は個性を殺して生きてきました。意外に帰国子女というのは目立たないように静かに生きている感じがします。少しでも目立つ態度をすると煙たがられる。ずっとどちらかというとバックグラウンドを隠して、というか、あまり自分からは言わない方向に会話を持って行ったりしてきたのです。

でもここに出てからは、もしかしてもっと自分らしさを表現してもいいのかなって。もうここまで来たらそこまで他人の目を気にせず、ありのままの自分で生きてもいいのかなって。名札が出てきた時に思ったのはそういうことでした。
長い間、結構奥の方に入れておいたもの。前に出していくやり方をしようかと。そう思っていろいろ始めたんでしょうね。noteやXを。

この名札は世界に一つしかありません。
僕自身も世界に一人しかいません。

世界で一つしかないものと思うとすごい価値のあるものなんだなと。
英語ネタに触れていいのかも、とX(Twitter)を始めた。
あまり言われたくなかった「帰国子女」という言葉。
いろんな思いをnoteで言葉にするようになった。
This marked the beginning of a new chapter for me.
ありがとう。

これは ↑
タイトルにある名札の写真をつけてX (twitter)にあげたポストです。

(それぞれの思いを胸に秘めながら) 英語を全面に出してる出演メンバーと自分が並んでる動画を見て、自分が属してるグループを客観的に見ることができたんだなぁと。ここがホームなんだと

いつもアウェーにいたんです。今もしばしば感じます。日本で英語が少し得意だと重宝される場合が多いのですが、海外生活が長ければ長くなるほどそれが逆転し、「日本人らしく」していないと嫌われるのが常です。嫌というほど経験してきました。でもちゃんとホームもこうしてあるんだなって。拠り所が見つかったからきっといろいろ始めたんだろうなって。
名札を見つけて初めてモヤモヤしていたことがスッキリしました。

オーディションを見つけてくれた
この企画へ招待してくれたKER
一緒に出てくれた出演メンバー
感謝です。




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