ワーキング・グループが始まった

 IT業界における未来の特許?の位置づけ

 さて、前回お話したように、知財部門に所属する私は今の特許ではなく、未来の特許を考えるという命題を与えられ、とても困っていました。ここで、もしかしたら他の業界の方は???の感じかもしれないので、IT業界、特にITサービスや業務パッケージなどを主力とするビジネスの特許の考え方を説明したいと思います。
 簡単に言うと、ITサービスの特許はアイデアしだい、技術的な検討も必要とされず、まずは面白い仕組み、ビジネスになりそうなしくみをITを使って実現できるように考えればいい、というシンプルなものでした。私は半導体関係の組織にもいて、技術者として特許を書いていたこともあったので、この考え方は最初、違和感がありました。しかし、2000年初頭からのビジネスモデル特許ブームにあったように、当時、インターネットが普及し、様々な仕組みを使ったビジネスが試みられる中、先に特許を取ったものが勝つのような雰囲気があました。極端に言うと、なんでも思いつくものは特許を取ってしまえ・・・なんて考え方です。(なので、当時のビジネスモデル特許の明細書は質が低めです。なにしろ取り敢えず出願、という空気だったので)
 特許は、コストをかけて研究開発した成果を形にするというものだと思います。しかし、ITサービス業界の特許は、もちろん高いレベルの技術に裏打ちされたものもありますが、多くはアイデアのみも多く、特にビジネスモデル特許ブームの時代は具体的な製品・サービスがないものが多かったです。
 という背景があり、私のミッションは取り敢えず、未来のビジネスを先取りした特許を発想せよ、ということでした。でも、そう簡単にアイデアが発想できるわけがありません。

どんなに調べても未来はわからない?

 未来の特許を創出する 。何もわからないまま、関係者を集めたワーキング・グループが始まりました。私の所属していた企業のいいところでもあり、ちょっとどうかな、と思うことは、中身が決まっていないのに、組織という入れ物が決まってしまうことです。そんなことって、ほかでもありますかね。とにかく、始まってしまったものは動かすしかない、私は未来の特許を先取りする活動としてのワーキング・グループのリーダーとなりました。
 何をするべきかわからないので、取り敢えず未来のことがわかる情報をインターネットで調べました。すると、政府・行政・また民間企業もある程度の将来に向けたビジョン・方針を発表しているんですね。特に行政は、それぞれの地域が何を目指すのかを、一冊にまとめているところもありました。
 一応、一通りの情報を調べたのですが、結局、情報がマクロすぎてわからない。具体的に自分たちが何をしていいのかわからない。という結果です。そういえば、この検討を始めたときに、ある企業(関連会社)のアナリストの方が、分厚い調査資料を持って私のところに訪ねてきました。どうやら、ワーキング・グループのことを聞きつけたらしいです。何が要件かと思ったら、アナリストとして社会・経済の動きを調査したが、この調査結果から何を見出して行動するべきか、わからないということでした。それなりに知識・経験のある方がわからないのだから、だいぶ素人な私にもわかるはずがありません。
 未来の特許を先取りするワーキング・グループは当初の方針を進めることができず、停滞しそうな感じでした。ただ一つだけ、発見したことはとりあえず意見の内容は置いとくとして、参加者は楽しそうだということでした。前向きに未来を考えることは、人と人のつながりを強め、組織を変えていく。そんなことを思い、この活動は別方向に発展していったのです。

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SHY

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