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デザイナーが“1pxのこだわり”を、とりあえず横に置いておくとき

Webなら1px、グラフィックなら紙一枚分、の細部までこだわる。

── 神は細部に宿る

この美学は個人的にはとても好きだ。

ユーザーは細部まで知ることなどないだろうし、気にも留めないだろう。
だからこそ、「そのこだわりは無駄だ」「そこまでやらなくていい」と言う人も当然いる。なぜ理解してくれないのかと落胆することもあるだろう。

だが、言葉に表しようのない、人が感じる心地よさや美しいと思える感覚は、そうした細部のこだわりがあってこそだと思っている。

私が好きな連載記事があって、

🔖デザイナーの“曖昧な能力”がないと扱えない「一次情報」の存在 | Biz/Zine(ビズジン) 

この記事でいうと、上記で書いた“感覚”的な話は「一次情報」に当てはまるだろう。

デザイナーであるなら、1pxへのこだわりは感覚を研ぎ澄ますことであり、存分に鍛錬するべきだと思っている。
逆に、鍛錬しないと身につかないものだ。

もし自分に弟子がいたら、徹底的に叩き込むだろう。(弟子なら私個人の美学へ共感していて、一心同体で学びたいと思っているからだろうという想像のもと。)

だが、会社員デザイナーは「チーム」に属している・・!

ここからがやっと表題の話なのだが、まずこの話を考えるに至ったのは、トスさんのこんなツイートがきっかけだった。

“短納期の案件、自分1人では抱えきれず複数人でエイヤで仕上げてアップしたサイト。一息ついたから、トンマナのズレとかが気になってた箇所を直そうとリストに洗い出してたら、「そんな細かいところまで見るのデザイナーだけだよ」とプログラマーさんのひとこと。”

このツイートに連なる彼女のつぶやきを読んでいて、自分もそれすごい思ったことある・・!と。

ここからは深夜に自分がつぶやいた話の繰り返しになってしまうかもしれないが、考えていくうちに自分にも気づきがあった。


1+1=2にならない

チームで何か物づくりをするとき、互いのスキルを組み合わせたら、普通に『1+1=2』になるように思ってしまう。だが、チームはスキルも経験も思考もさまざまな人たちの集まり。実際は『1+1=1.5』になったり、逆に化学反応的なのが起きて『1+1=3』になったりだってするだろう。

1pxはあくまでも「自分」のこだわり

あなたはエンジニアさんの超細かいこだわりを聞いたことがあるだろうか?私は正直に言うと無い。他人のこだわりへ関心がないのに、自分の1pxを振りかざすのか・・?!なんと恥ずかしいことをしていたのか・・(猛省)

それは自分の成果物ではない

これ、すごく重要な考えだと思ったのが、チームに属して物づくりをしたなら、それは『自分の成果物』ではなく、『チームの成果物』だ
だからこそ、「こだわれなかった」「最高のものを作れなかった」と、自分を責める必要もないのである。このチームではここまでだった。それでいいのだ。

自分の課題ではなくチームの課題にする

もちろん、チームの限界を感じたとき、諦めずにチーム全体のクオリティをあげることも大事だ。だから、私はここをこだわりたいという、『自分の課題』を前面に出すのではなく、チームとしてクオリティを上げるにはどこが問題でどう改善していけば良いのか?『チームの課題」として、チームメンバーと考えていく必要性を感じる。


それでも、1pxまでこだわる自分の美学を貫きたいのなら、個人で活動するか、最強のパートナーを探すしかない。
それはきっとアートに通ずるところがあるように思う。

アートがなぜ美しいのか。最後まで、徹底的に自分のこだわりの中で生きていける。その分、孤独な戦いなので苦しくもある。

だが、会社に属している以上、誰かと物づくりをする以上、
デザイナーは個人戦ではなく、チーム戦だ。
そして、デザイナーは孤独ではない。仲間がいる。


『個人』の視点と『チーム』の視点をうまく切り離して捉えるのが、デザイナーが楽しく仕事をするためのコツなのかもしれない。

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