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デザイナーが向き合う「アイデンティティ」とは?

こんにちは!DesignshipでBrand Design Team および Contents Design Teamに所属している長谷川(@hiroyuki.hasegawa.18)です。

11/1 から一週間 ”領域と世代を超えてつながり、「デザイン」を考える”「Design Meet-up@AXIS」が六本木AXISギャラリーにて開催されました。
Designshipでは、Designship 2019 メディアパートナーのAXISさんと、期間中に2つのイベントを共同企画しました。【note】DesignshipがAXISさんと六本木"AXIS"でイベントを開催する理由についても併せてご覧ください。

【DAY1】「グッドデザインて何だ?」<Design Meet-up @AXIS>
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【DAY2】「アイデンティティ」<Design Meet-up @AXIS>
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今回は、【DAY2】「アイデンティティ」のレポートをお送りします。


「アイデンティティ」ってそもそも何?

CIやBIといった、目に見えるアイデンティティのデザインは昔から存在します。ブランドを構成する要素もビジュアルだけではなく、体験、言葉、音声などフィジカルからデジタルまで拡大し、着実に領域は広がっています。 こうした社会背景の中、今デザイナーは「アイデンティティ」とは何か、どう向き合うべきか、について考える必要があります。

今回は、ブランド・グラフィック・デジタル・音声・体験など様々なデザイン領域で活躍されている4名のスピーカーをお招きし、ディスカッションを通して「アイデンティティ」を紐解いていきます。

スピーカーのご紹介はこちら

「アイデンティティ」をどのように捉え、どのように向き合ってきたか?

ディスカッション前半では、各スピーカーに話題の核となる「アイデンティティ」をどのように解釈し、そしてデザイナーとしてどのように向き合ってきたか、が問いかけられました。

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Voicyにて直近、CI・ロゴの刷新を先導した京谷さんは、アイデンティティは「紐解くもの」であり、「自分達は社会でどうゆう存在でありたいか、どうゆう価値を提供していくか?」を形にし、社内外に共有・発信していくものと語っていただきました。

実際に行ったCIの刷新のプロジェクトでも、自分たちのアイデンティティを探す所からスタートし、丁寧に汲み取り・形にするプロセスを非常に重視していたのこと。

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自分たちのアイデンティティを表現するコーポレートロゴでは「音声イフンラを提供する会社としての公正さ・力強さ・洗練さ」に加え「音声特有の人の温かみや感情」を掛け合わせ、共存させた。コンセプトは「Love Tap Voice/声に手を添えよう」。

このようにアイデンティティを発見し、形作り発信していく事は、社外だけではなく、拡大フェーズにある社内の従業員の意識統一にも役立っているそうです。

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一方、日常的にクライアントの要望やプロジェクトの本質を引き出し、そこから導き出した一つのヴィジョンやソリューションを、クライアントと共有しながらトータルデザインをされている &Formの丸山さんは、アイデンティティを「立ち振る舞い」と表現されました。

「自分の立ち振る舞い、何が自分に合っているか、社会からどう見られたいか?」 それらをデザインにより引き出し、形作る事でアイデンティティと向き合っていると語っていただきました。

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ロゴや広告・グラフィック等のデザインアウトプットをするだけでなく、クライアントの本質的な課題や要望を引き出し、様々な形で企業のアイデンティティを形作ってきた丸山さん。写真は東京・仙台・ロンドンに拠点を置くビジュアルデザインスタジオWOWのロゴ・コーポレート・ヴィジュアルアイデンティティの再構築、 グリーティングカードやポートフォリオのアウトプットの事例。

日本と海外の「アイデンティティ」の捉え方の違い

続いては、日本と海外のデザインに対するスタンスの違い、デザインに対する向き合い方の違いを考察する事で、更に「アイデンティティ」を深掘りするディスカッションが行われました。

まずは、英国やスイス等海外との関わりの深い丸山さんから、「日本は先に目的が先行している」「反対に海外は課題を自分達で作っていく」といった違いを語っていただきました。

「先行してゴールや目的があり、その解決策を模索し、アウトプットにつなげる日本」に比べ、「そもそものゴールや目的・課題が正しいか?を検証し、並行してアウトプットを作る海外」では、物事の本質を探るプロセスが重要となるアイデンティティの形成においては、海外の方が土壌として整っている印象を受けました。

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14年間にわたりロンドンにてデザイナーとして活躍されてきたGoodpatchの難波さんからは「日本と海外ではデザインに対する価値が違う。海外はデザインの価値を証明する必要はなく、地位も高い」という印象的な言葉が語られました。

「デザイナーは皆いきいきと仕事をし、作りたいものを作っている」「日本では機能が最優先。ブランドやアイデンティティはどうしても後追いになってしまうが、海外では機能とブランドの両方を重視し、同時に取り組んでいる」とのこと。

海外には洗練されたデザインやプロダクトが多く、このような価値観や取り組みが違いを生むなど、海外で働いた経験のないデザイナーである自分とっては、今回のお話は新しい発見が多く、非常に興味深い内容となりました。

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各社の取り組み

最後に、ディスカッションの中で語られた、各社が実践しているアイデンティティ・ブランド構築の手法をご紹介します。

エイトブランディングデザインの西澤さんからは、独自のデザイン開発手法「フォーカスRPCD®」についてご紹介いただきました。

「フォーカスRPCD®」は「F=Focus(フォーカス)」「R=Research(リサーチ)」「P=Plan(プラン)」「C=Concept(コンセプト)」「D=Design(デザイン)」のこと。

全ての案件にこの手法を取り入れ、中でも一番重要なのは自社の強みであり、他社との差異化要因となるF(フォーカス)をつくり出すことと定義し、F(フォーカス)を、R(リサーチ)、P(プラン)、C(コンセプト)、D(デザイン)の4フェーズすべてにおいて意識し、プロジェクトを進めることで良いブランド構築につながると考えられています。

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デザインは最後の最後。「経営側にいかに形のデザインだけでなく、デザインの考え方をインストールできるか、それはデザイナーの腕の見せ所」と語られました。

もともと建築学科を卒業されており、建築特有の「お客様と分かりあい共創する文化」や「デザイナーの説明責任」を大切にされている姿勢が印象的でした。

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Goodpatchの難波さんからは、インナーとアウター両方に向けたブランドエクスペリエンスについての考えをお話しいただきました。組織とプロダクトは両輪であり、インナーへのアプローチがアウターにも反映されることで相互作用が循環していくとのこと。

また、実際にブランドデザイン支援に取り組まれた事例を解説いただきました。今後はプロダクト改善など、アウターに向けた取り組みも始まるそうです。

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企業の契約に関わる業務全般を最適化する、日本で唯一の契約マネジメントシステム「Holmes」のブランドデザイン支援の事例。インナーに向けたミッションステートメント、プロダクトタグライン、営業ツール、ブランドへの思いを書き込むボードをデザインパートナーとして共創している。
https://goodpatch.com/ja/work/holmes


最後に

いかがだったでしょうか?

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各スピーカーから語られる「アイデンティティ」の表現には若干の違いはあるものの、共通して言えることは「企業・個人の最も核の部分に存在する、大切にしているモノ」であり、そしてそれを「明確にし、内外的に広く発信していくこと」が大事であると感じました。

難波さんより最後にご提示いただいた「Goodpatchで構築しているブランドエクスペリエンスデザインのフレームワーク」が、このことを端的に表現していました。

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こちらの図は、企業のビジョンやミッションなどのステートメントで言語化されたコア・アイデンティティを元に、戦略〜機能〜表現を流合させるフレームワークとして活用されているのだそうです。

そして、いよいよ Designship 2019 も残り2週間を切りました!
今年のテーマは ”物語の力で「デザインの壁」を越える” です。

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デジタル・プロダクト・グラフィック、様々な業界の第一線で活躍されているデザイナーから、どんな物語が聞けるのか今からワクワクが止まりません。

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当日お会いできる事を楽しみにしています!

販売中のチケットは こちら

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