雨を凌ぐ美学

最近は雨が降っている印象が無かった。

当然、地域によっては降水量に差があるからしょっちゅう雨が降る地域もあるけど少なくとも私が住んでいるここは雨に覚えが無い。

思えば雨が少し好きだ。
衣擦れの音以外には何も無い部屋の締め切った窓の外で、屋根を伝いベランダに落ちて排水管を流れる音が少しだけ聞こえる。
もしくは、車に乗り込み、エンジンをかけるまでのその間、車体に当たる音。
お店などに入り、横目にちらとした時に水を跳ねながら走る車や少し猫背気味に視線を落としてせかせかと歩いている人たち。

天気予報に疎いタチだから、その雨がどれほど続くのかはわからないけど、凌げる状態なら雨が好きだ。

できればビニール傘より布地の傘の方が良い。当たる音が良い気がするから。
できれば建物のヘリから一直線に水が滴る場所はボーナスゾーンで、積極的に歩いていきたい。

絶対に水の音を聞くのが正義ではなくて、勿論イヤホンから曲を聞く事もある。
全然雨とは関係ないけどWaltz for Debbyが何故か雨の中を歩くのには嬉しい組み合わせだった。

これは全て心にゆとりがある時限定の話である。

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