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アイデンティティの更新を試みるとき、私たちの中に起こることは何か?

はじめに

これはMIMIGURI Advent Calendarの12/16の記事です。6つのキーワードを起点に、MIMIGURIメンバーが毎日記事を更新しています。こちらのページにまとまっていますので、ぜひご覧ください!

MIMIGURIはじめてのAdvent Calendar!
6つのキーワード

何を書こうかな〜と考えているうち、気がつくと衝動的に手がキーボードを打ち、葛藤が火を吹いたかと思うと「何の役にも立たない記事」が爆誕していました!!!!

私はおじさんになった

HAPPY BIRTHDAY TO ME

明日41歳になります。

若いときは、自分が41歳になるなんて思わないものです。頭ではわかっているが、いざ来ると、けっこうびっくりします。

41歳とは、世間では普通に中年と呼ばれる年齢だと思いますが、考えてみれば私はいきなり中年になったわけではなく、順調に日々を過ごして健やかにすくすくと中年になっていったわけで、驚くことでもなんでもないのですが、なぜだかびっくりします。

若い人には信じられないかもしれませんが、未だに精神年齢は高校生とか、大学生とか、いいとこ20代前半で止まっているのです。
しかし鏡の中の自分だけが年を取り続けているので「うわっ!おじさんだ!」となります。ホントびっくりするよ。

歳を取ると良いこともある

しかしいずれにしても、物事には良いことと悪いことがあります。

年を取ることの良い面としては、まずはだんだんと「鈍感」になることです。「傷つきやすさ」や「繊細さ」といったものが、適当な感じにゆるんでくるのかもしれません。もっと歳を取ると、もっといい感じにゆるんできそうで楽しみです。

あとは、これまでよりも「自分自身を大切にしよう」という気持ちが湧いてくるようになりました。自分に対し、良い意味での「あきらめ」がつきはじめてきたことも大きいかもしれません。
今までわからなかった「生きることの何かよくわからない良さ」に気がつくことが多くなったのは、年を取ることの良い面だと思います。

いっぽうで辛いこともある。

しかし、恥を忍んで告白すると、悪いというか、加齢による不安や焦りもあります。「自分がすでに若さという特権を失っている」という現実は辛いものです。

その辛さの内訳はなんなんだろーか?と脳内アンケートを勝手に脳内で実施したところ、こんな結果が出ました。

・年齢の割に、年齢相応のことができていないと感じる
・同じことをやっているが、だんだん価値が減っていると感じる
・「若い時にやっておけばよかった」ということを自分はもうできない

まさに「取り返しがつかない」「後悔先に立たず」という実感なのですが、じゃあ結局何をしていればよかったのか?という疑問の答えは吹く風の中なのです。

自分のプライドが面倒くさい

一人前になれた途端に終了の笛が鳴る

思えば社会人になってから約20年。「ようやくまともな仕事ができるようになってきた」と感じてきたのが、ここ数年のこと。「自分も社会の片隅で役に立っているかもしれない!」と感じることも、少しずつ増えてきました。

しかし気がつけば41歳である。

40代といえば、第一線でプレイヤーをバリバリとがんばる年齢ではなく、むしろ後進に道を譲り始める年代とされています。フロントに立って手柄を独占するのではなく縁の下の力持ちとして若い世代を支え次の善き社会に向けて、土壌を耕していく年代なのです。

え、え、え、え?〜〜!ウソ?!ウソウソ〜〜!?!!

せっかく長年をかけてようやく一人前に仕事ができるようになったのに、もうプレイヤーとしての価値がなくなりつつある!?せっかく積み上げてきたものがもうお役御免なノ!?試合終了ってワケ!??

いつの間にか面倒くさい存在になった「自分のプライド」

おそらく私は「一人前のプレイヤーになれた自分」というプライドにしがみついているのだと思います。

プレイヤーとして活動していたときには「こだわり」として機能していたものが、プレイヤーという役割を脱しつつある(あるいは、脱することを期待されている)時においては、いつの間にか自分の歩みを止める「とらわれ」に、変わってしまっているのでしょう。

おそらくもっと若い時は、自分のプライドはもっと薄っぺらく、もっと簡単に更新できるものでした。新しい知識や経験に出会うたび、簡単に自分をアップデートできていたはずです。

「うおーーッ!スゲーーッ!」とか言っていればよかった。「これを知らなかった昨日の自分とかまじクソ!ダサすぎ!」とか言っていればよかった。そして自分は軽々と、次々と生まれ変わっていけたのです。

しかし気がつけば、いつの間にか、身体は重く。
そこには20年間の自分自身の社会人経験の積み重ねがべったりと張り付いていました。自分なりの方法、経験、挫折・学びを経て生まれてきた「矜持」のようなものが、ほぼアイデンティティの影のように、分かちがたく育っていたのです。

だからこそ、求められるゲームのルールが変わりつつある今「自分が大事にしていたことが、今はすでに不要になっている」と認識することに、自分自身を否定されるような、痛み、悲しさ、寂しさがないまぜになったモヤモヤを感じてしまうのでしょう。

もはや、どこまでが自分の善き「こだわり」であり、どこまでが捨て去るべき「とらわれ」なのか?が、わからなくなってしまっているのです。

組織においても同じことが起こるのではないか

エグゼクティブ層の対話において感じる事

話は急に日本からオランダくらい飛びますけれど、私はふだん、MIMIGURIのコンサルティング事業において「組織コンサルタント」という肩書で仕事をしており、プロジェクトにおいて、経営層や役員層といった「エグゼクティブ」と呼ばれる皆様と対話をすることが多いです。

私個人の例と比較するなど本当に僭越なのですが、エグゼクティブ層のみなさんと対話をするときにも、こうした感覚を感じることがあります。つまり「これまでのプライドを捨てなければ、前に進めないのでは?」と感じる場面です。

前提として、エグゼクティブ層が日々向き合っているのはハードシングスであり、とても会社経営経験のない私が容易に「わかります」などと言えないものです。

どんな会社・組織であれ、トップとして意思決定をし続け、組織を引っ張っていく、ということは、並大抵のことではありません。そこに対して、私は深く、敬意を持ちます。

これまで「こだわり」だったものが「とらわれ」に変質していく

しかし、今まで会社・組織を支えてきた「こだわり」が、あるときを境に、どこか機能しなくなってきている、メンバーに伝わらなくなっている、もしかすると「とらわれ」になってきている・・・?そういった事態が訪れることがあります。

かつては「あうんの呼吸」で物事が進んでいたのに、いつの間にかすれ違いが多くなってしまったり。
かつては経営層とメンバーの距離が近く、何でも話せていたのに、いつの間にか数字の話しか話題に上がらなくなったり・・・。

しかし、客観的に見れば、それは必ずしもネガティブな状況であるとは限りません。企業が順調に成長して組織規模が拡大していたり、事業フェーズが変わったりといった、外から見るとポジティブな要因から起こる構造的な課題であることも、しばしばです。

これまで大切にしてきた組織の価値観や文化、行動など、これまで機能していた「善きもの」が、そのままの形では、同じように機能しなくなっている。

だからこそ、状況を冷静に眺めながら、今まであったものを言語化し、対象化して、今の自分たちに必要な新しいものにアップデートしていく必要があるのです。

もちろん各社の置かれた状況や課題は異なりますが、多くのエグゼクティブの皆様との対話において、こういう構造的な状況類似を感じることがあります。

「感情的なもの」へのまなざしをもつ

しかし、どんなにポジティブな状況から生まれた課題であっても、これまで大切にしてきたものを、ある種否定していくような作業は、キツいことでもあります。

そのときにはやはり、「悲しみ」や「寂しさ」や「怒り」といった感情が場に生まれると思います。組織においても、こうした感情的な側面を無視することはできません(もちろんそれに引きずられてしまってはダメなのですが)。

これまであった「善きもの」を捨て、新しいものをこしらえる、その作業をするときには、「単純な過去の否定」でもなく、あるいは「頑なにプライドを守り抜く」でもない、もう少し柔らかな・・・例えば「これまで大事にしてきたものをほんの少しだけ抱きしめる」といった受容的態度、ふるまい、祈りのようなもの?が必要な気がします。

抽象的で感傷的な物言いで本当に恐縮なのですが、組織ファシリテーションにはこういった感情的な要素へのまなざしも重要な気がしているのです。

再び私個人の話

・・・に行くと見せかけて、記事はすぐ終わる

こういった、普段のビジネスシーンでは無視されがちな「感情へのまなざし」の重要性が(合理性だけの理由を超えて)理解できるようになってきたのも、加齢のよい側面かもしれません。

事程左様に、自分自身をアップデートするとき(せざるを得ないとき)、過去の自分を否定したり、大事にしてきたものを棄てなければいけなかったり・・・と感情がもやもやすることは、多かれ少なかれあるにせよ、それはおそらくネガティブなことだけではないと思います。

それを個人にも適用するのであれば・・・おそらく自分自身に対しても、私はもう少し愛のあるまなざしを向けるべきなのでしょう。

12/17は山田治奈 さんです!

明日のアドベントカレンダーは、オランダはライデン在住のMIMIGURIメンバー、はるさんこと山田治奈さんです。お楽しみに!

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