[イベント開催レポート]採用PRにつながる「自社メディア」の作り方とは!?
こんにちは。DONGURIでデザインシンキング・コンサルをやっています、矢口泰介(@yatomiccafe)です。
去る2019年5月28日に、「人事ごった煮会」にて、「採用PRにつながる自社メディアの作り方」をテーマに、ワークショップを行いました。
私はイベントの企画、ワークショップの設計、当日のファシリテーションを担当しました。
今回もまた貴重な場をいただき、多くの学びと気づきを得られたので、レポートしていきたいと思います。
人事ごった煮会とは?
「人事ごった煮会」とは、様々な企業で人事に関わる人達が集まる共学コミュニティです。オイシックス・ラ・大地の三浦さん(@takafumi1987)を中心に運営され、最近では、コミュニティに属するメンバーが、独自でテーマを設定し、イベントを開催したりしています。
この度「人事ごった煮会」のロゴが、2019年4月にリニューアルしたのですが、実は新ロゴの制作をDONGURIが手がけました!
DONGURIでは、これまでに2回「人事ごった煮会」でワークショップをやらせていただきました。
今回のテーマは「採用PRにつながる自社メディア」
今回、選んだテーマは「採用PRにつながる自社メディア」。
近年、主に採用PRを目的として、自社メディアを立ち上げ、運営を始めている企業が増えています。
企業のカルチャーをより身近に知ってもらえる媒体として活用されるいっぽう、「どうやって立ち上げたらいいの?」「何を伝えればいいの?」という声も聞きます。
そこで、これを機会に、「採用PRにつながる自社メディア」をみんなで考えてみよう!というテーマを掲げました。
そしてワークショップを行うにあたり、具体的なモデルに協力いただこう!ということでお声がけしたのが、前回のワークショップで、リサーチ対象として手を挙げていただいた、株式会社ボーダレス・ジャパンさん。
「前回に引き続き、ワークショップのモデル企業として協力していただけないでしょうか?」とのお願いに、即快諾!!をいただいた、ボーダレス・ジャパンの石川さん(@ei_blj)。
本当に頭が上がりません・・・。いつもありがとうございます・・・。
なぜ、採用PRに自社メディアが使われているのか?
当日のワークショップにあたって、まずは、なぜいま採用に自社メディアが使われているのか?の考察から始めました。
理由としては、以下の2つを挙げました。
1.採用のマーケティング化
SNSやダイレクトリクルーティングが発達した結果、これまでのように広く網をかけて「母数を集める」やり方が通用しなくなり、より「個人に特定した」採用活動が必要となっている。
つまり、「いかに採用ターゲットとなる個人と出会うか/見つけてもらうか?」が採用活動の命題となっている。
2.価値観マッチングの重要性
人材の流動性の高まりや、働き方に対する捉え方の変化等によって、いかに「お互いの価値観がマッチしているか?」での組織選び/メンバー選びが、求職・採用活動のスタンダードになりつつあります。
したがって、会社側も「自分たちの組織が持っている価値観・カルチャー」を打ち出していくことが重要となっています。
※詳しくは当日のスライドをご覧ください。
今回のワークショップのテーマ
ワークショップのお題は、以下を用意しました。
ボーダレス・ジャパンさんの、採用の主ターゲット(の一つ)である「起業家」にアプローチするため、「起業家コース」という採用コースがあることを知ってもらい、採用ターゲットとつながるための自社メディアを立ち上げましょう!
上で述べたように、採用PRを目的とした自社メディアの目的は、採用ターゲットに出会い、そして次(イベント等のリアル接点)につなげること。
そのために「いかにターゲットの価値観を理解した上で情報を発信できるか?」が重要となります。
しかし!それは思いの外、難しい。
というのも、企業が採用を目的にして媒体を立ち上げるとき、どうしても「採用ターゲットが求める情報」ではなく「企業が良かれと思うこと」を伝えてしまいがち。
実は今回のワークショップは、いかにそれに気づいてもらうか、を裏テーマに掲げていました。
つまり「どれだけ徹底的に採用ターゲットのことを理解し、伝える情報を考えられるか!?」というのがワークショップの骨子でした。
気づきを得てもらうため「仮想採用ターゲット」に参加いただいた
今回のワークショップでは、テーマに沿った「仮想採用ターゲット」にご参加いただきました。
実際のユーザーにフィードバックをもらうという体験を通じて、ワークショップの狙いである「ターゲットの価値観を理解し、情報を発信できているか?」という学びを強化してもらうことが狙いです。
ご協力いただいたのが、株式会社ミミクリデザインの小田 裕和(@hirokazu_oda)さん。
小田さんは、ワークショップという手法を用いて、様々な企業の事業開発や組織開発を手がけていらっしゃいます。
(つまりワークショップのプロの前でワークショップをすることになり、当日は大変緊張しました・・・)。
実際のワークショップの流れ
インプットが終わり、いよいよワークショップのスタートです。
今回の裏テーマ「いかにターゲットの価値観を理解した上で情報を発信できるか?」を達成するために、まずユーザーの価値観を考えてもらうワークに取り組んでいただきました。
1.価値観カードを使って、採用ターゲットの価値観を理解しよう!
「価値観カード」は、採用したいターゲットの価値観や内的動機を考えるためのカード。
たくさんのカードから、合計8点になるようにカードを選び出してもらいます。
ワーク中に、仮想採用ターゲットである小田さんにインタビューをしたり、選んだカードについて感想を聞くなど、チームによって工夫が見られました。
2.何を伝えるか?を決める!
次に、自社メディアにおいて記事にするための情報を、インプットしていただきます。
今回、テーマに選んだのが、ボーダレス・ジャパングループの一つ「アルファジリ」。
ケニアでは、多くの人が農業を生業にしているにもかかわらず、安定的に収入が得られない貧困農家になってしまっているという社会問題があり、その課題に対し、小規模農家のプラットフォームを展開し、活動している企業となります。
アルファジリはケニアで活動しながら、現地でインターンを受け入れているのですが、その活動のユニークさに着目し、それを「ネタ」として、記事を発想していただくことにしました。
3.記事の内容を決める!
採用ターゲットの「価値観」と、実際の活動(アルファジリのインターン受け入れ)をかけ合わせて、記事の内容を発想していきます。
まず、アイディアは質より量!ということで、制限時間3分の中で、できるだけたくさんのアイディアを書いていただきます。
次に、そのアイディアを「記事の種」として、最終的に各チーム:1〜3つの自社メディアのコンテンツ企画に落とし込んでいただきました。
いよいよフィードバックをもらいます!
一連のワークを経て、チームで固めたコンテンツ企画を順番に発表し、今回の仮想採用ターゲットである小田さんに、内容のフィードバックをいただきます。
「ケニアでの実態など、言っていることはきれいなんですが、どこか公共機関が発しているような、自分からは遠さを感じますね」
「ケニアで変わった、というタイトルはよくあるように感じるし、インターン生の何がどう変わったのか、具体的なエピソードがほしいかも。
逆に『ケニアにまで行ったのに変わらなかった』ものがあるとしたら、そっちのほうが面白いですよね(笑)」
「現地でのチームビルディング、という切り口はいいですね!海外でのチームビルディングって、ふだん日本で取り組んでいるとは異なる特殊な状況だし、共通する部分もあるかもしれない。そういう記事があったら読んでみたい!」
「出会い、とか学んだこととか、きれいごとでなくて、いっそ『1万円生活』のようにインパクトを出してしまうほうが、気を引かれるかもしれないですね」
小田さんのフィードバックを受けて感じたのは、情報を受けるユーザーとして見てみれば『確かに』と思うのに、情報を発信する側として考えるときには、その違和感に気が付かない、ということ。
また、企業からすると「良い」と思われたコンテンツ企画も、ユーザー側から見ると、実はちょっと押し付けがましく見えていたり、逆に「ここを面白がってもらえるんだ!」など、意外な発見も。
いかに、ターゲットの目線に立つか、ということを徹底するかということが難しいと同時に、課題であると気がつくことができました。
イベントを終えて
今回のワークショップに要した時間は、約1時間半。
平日の火曜日のお忙しいなか、めちゃくちゃ頭を使うワークに参加いただき、しかも多くのアイディアと、クオリティの高いコンテンツ企画を出していただいた参加者の皆様は、めちゃくちゃ素晴らしかったです!
また、同じく超多忙のところ参加いただいた、ミミクリデザインの小田さん、突然の申し出に快諾いただいたボーダレス・ジャパンの石川さん、そして今回もDONGURIにお声がけをいただいた、人事ごった煮会主催の三浦さんにも感謝申し上げます。ありがとうございます!!
採用に限らず、人事が取り組む課題は、入社後の研修や評価制度など、組織運営のあらゆる面にわたります。
限られたリソースの中で、このような課題に取り組む際には、できれば人事だけでなく、様々なステークホルダーを巻き込めるのが理想です。
今回のような手法も使いつつ、採用に限らず、人事課題・組織課題に対し、デザインシンキング・コンサル/リサーチャーとしてアプローチしていきたいと思います。
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