物件情報をインプットしてから来場する新築マンション購入検討者たち

消費者の購入行動は時代と共に変化しています。最近では、レビューサイトや比較サイトなど、様々な情報源から商品情報を収集した後に購入を決定する傾向にあります。
 
この傾向は、新築分譲マンション市場にも明確に現れています。当社で実施した独自アンケートによると、回答者の約半数が購入を前提としてマンションギャラリーを訪れていることが判明しました。これは、訪問前に収集できる物件情報の増加によるものと思われます。

現在、物件情報は公式ホームページだけでなく、新築マンションを紹介するYouTubeチャンネルやその他のSNS、コミュニティサイトなど非公式の情報源からも容易に入手できるようになっています。その結果、検討者たちはこれらの情報を事前に収集し、意思決定を行った上で来場する傾向にあります。
 
別のアンケート結果によると、購入を前提に来場する人たちの主な目的は、モデルルームの見学、設備仕様の確認、そして購入可能な間取りや価格情報の取得という結果が出ています。つまり、来場者は事前に収集した物件情報の確認や、購入に関連する追加情報を得るために来場しているのです。

マンションギャラリーの役割が変わりつつある

かつてのマンションギャラリーへの来場目的は、主に物件情報の収集でした。即ち、来場前に購入を確実に検討している来場者はそれほど多くはありませんでした。そのため、販売担当者は来場者の関心を引き、購入意欲を刺激するために、新築マンションへの憧れや期待をかき立てるようなさまざまな手法や演出を用いたプレゼンテーションを用意してきたのです。
 
しかし、現在では物件情報を様々な場所で容易に収集できるため、多くの検討者は来場前に物件の詳細情報をすでに入手しています。このため、マンションギャラリーの役割は今後変化することが予想されます。それは、単なる情報の提供の場から、事前に入手した情報の確認や住空間の体感、そして不安点や疑問点の解消をする場所へと進化する可能性が高いのです。

マンションギャラリーの役割の変化

そこで、具体的にマンションギャラリーの役割の変化をまとめてみました。

これらの変化により、マンションギャラリーは単なる展示場から、購入検討者が最終的な購入決定を下すための重要な役割を持つ場へと進化していくのではないでしょうか。

今後のマンションギャラリーの課題や新たな価値提供

今後のマンションギャラリーでは、以下のような課題への対応や新たな価値提供が期待されます。

多様化する顧客ニーズへの対応

顧客一人ひとりの具体的な課題や属性に合わせたプレゼンテーションや接客が可能になるツールが求められています。従来の一律な接客スタイルではなく、パーソナライズされた接客を可能にすることで、購入へのモチベーションをさらに高めることができます。
 
例えば、訴求内容の入れ替えが可能なモジュール式のシアタールームです。計画地周辺を知らない広域検討層には周辺環境を重視した説明をメインに伝え、予算に敏感な人や実用性を重視する人にはエネルギー効率の良い設備についての説明映像を提供するなど、様々な組み合わせが可能になり、接客がスムーズになると考えられます。

デジタルを活用した記憶に残る体験提供

デジタル技術の活用により、顧客が事前に得た物件情報を、より強烈に印象づけることができます。VR技術を活用した接客ツールによってマンションの内部を歩き回り、その空間を体感することが可能です。また、ARを使えば、未完成の物件が完成した際の姿をリアルタイムで視覚化し、将来のライフスタイルを想像しやすくなります。これらデジタルツールは、単に情報を伝える以上の価値を提供し、顧客の記憶に深く刻む体験を作り出すことができます。

売主の信頼と安心感の提供

対面接客により、開発コンセプトや工事の進捗などの情報提供、また過去の実績や他物件のご契約者の満足度を共有することで、購入検討者に強い信頼と安心感を与えることができます。また、購入後のサポート体制やアフターサービスの具体的な説明を通じて、購入後の生活を安心して想像できるようサポートします。

これらの取り組みを通じて、マンションギャラリーは単なる展示場を超え、顧客満足度の高い購入体験を提供できる空間へと変化していくことが期待されます。

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このレポートは、新築分譲マンションの開発・販売を行うデベロッパーの皆様が販売戦略を見直す際の参考資料として役立てていただくことを目的として作成しました。SNS運用に関するご相談や、その他のリサーチ結果にご興味をお持ちの方は、以下の問い合わせ先までお気軽にご連絡ください。

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