働き方改革はきっと上手く行かない

 巷では働き方改革への取り組みが叫ばれて久しい。しかし、今のままではきっと成功しないだろう。働き方改革には、経営者だけではなく、労働者の協力が得られないと思うのだ。

 それは、一体なぜなのか。

 答えは簡単で、単純に労働者にとって嬉しいことがないからだ。何が問題で、どうすれば解決するのか、少し考えてみたいと思う。

働き方改革の目的とは

 そもそも、働き方改革は何のためにするのだろうか?

 首相官邸によれば、

働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。

 とある。労働人口減少を背景に、大きな目的としては

1.生産性向上
2.長時間労働の是正
3.正規・非正規の不合理格差の解消
4.多様な働き方による不足労働人口の補填と循環

 があると読み取れる。

 さて、ここでよーく考えてみよう。
 生産性が上がれば、みんな嬉しい。労働者は楽だし、経営者も嬉しいだろう。じゃあ、他は?

長時間労働の是正の問題

 長時間労働は、これまで大変痛ましい過労死事件を何件も発生させた。過度の長時間労働は是正されなければならないのは間違いないだろう。

 だが、待ってほしい。

 労働者の殆どが、本当に命の危険に関わるほどの残業をしているのか?していないよな?今、多くの会社では残業の仕方が見直され、いちいち手続きをして残業し、または残業を認められずにサビ残をしているのかも知れない。もしかしたら業務調整をしてくれるかも知れないが、そんなところも少ないだろう。結局はお尻に火がつくだけだ。中にはルールに反して自宅に仕事を持ち帰り、トラブルを起こす奴だって出るかも知れない。

 これ、ジタハラって奴だよね。

 労働者的にこれ、嬉しいだろうか?
 少なくとも私は嬉しくない。残業代も減るから収入下がるし・・・。

 さらに言えば、長時間労働是正のための法案も作ったようだが、今までの労働基準法をちゃんと守っていれば、痛ましい事件も起きなかったのではないだろうか。ルールを変える前に、ルールを守らせる努力をすべきだったのだ。

正規・非正規の不合理格差の解消の問題

 これ、難しいと思うんだよね。だって、悪いけど正規と非正規って多くの場合教育レベルが違うじゃない?学歴という意味ではなく、社内の教育って意味で。もちろん、非正規の人にもそれを施せって言うのはあるのだが、結構な費用がかかる。そして、ぱっと見同じ作業に見えても、質が異なる場合が多いのだ。また、後述の話になるが、人の流動性を考えるのであれば、そのうちいなくなる人に金をかけるってのどうなのか・・・と企業としては思ってしまうよね。きっと。

 それでも、格差をなくそうと思ったら、方法は二つしかない。非正規に十分な教育を施し、給与を払い、人数を絞る。または、十分に教育を施した社員の待遇を下げるか・・・というのは自然な流れだと思う。

 くっそ忙しくなるか、給与が下がるか・・・。嬉しくない。

多様な働き方による不足労働人口の補填と循環

 これ、他のサイトとかも見て見ると、いわゆるダブルワークのことらしいのよね。効率化されて仕事する時間が減った分、二カ所、三カ所で働こう!っての。これ、かえってきつくないかな?肉体的にも精神的にもさ。移動時間のロスもあれば、格差是正とかで時間単価減る可能性も高いわけで、トータルの給与としては減るんじゃないかな?やはり嬉しくない。

 ついでに言えば、副業を認めよう!という流れになっている企業をあまり知らないんだけど、健康管理の問題を考えると、副業許可ってハードルが高いのではないか?

働き方改革は労働者に取って嬉しくない

 以上を考えると労働者にとっては嬉しくない訳だ。何が一番嬉しくないって、労働者にとっては、結局収入減だからだ。経営者視点では嬉しいのだろうが・・・正直私に派働き方改革に協力する気はない。多くの労働者がそうなのではないか。

どうすれば労働者が協力的になるか

 私だったら、以下が満たされれば協力的になるだろう。自身や他者の作業の効率化を力一杯推進してみせる。

1.みなし残業代の導入
 たとえば、月30~40時間程度のみなし残業代(割増額)をあらかじめ支給しておく。実際にそれだけ残業するかどうかは自由とし、成果物でもって評価を行う。

2.勤務時間の管理の徹底
 上記だけでは、過労死するまで働かせる会社があるかも知れない。勤務時間は徹底的に管理し、みなしを超える時間には、きっちり残業代を支払うが、その際は上司が精査し、残業させるかどうかはちゃんと判断する。そして36協定等の労働基準法は厳守とし、労基などはしっかり監督する。

こうすれば、そこそこの収入を保てるので、時短につながる効率化に協力できる。時代が進めば、労働人口が減るので、非正規の待遇も考えねばならなくなるだろう。もっとも、こちらは外国人に取って代わられるという危険がるのだが・・・。

いずれにしても、今のままでは駄目だ。経営者と労働者がwinwinの関係でなければ。経営者はちゃんと十分な金を支払い、労働者は質と量でそれに答える。そうした関係を築いていかなければ。


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