見出し画像

【今年もカオス】2021年度卒業制作展の様子をレポートします。

デジタルハリウッド大学(以下DHU)は2022年2月17日・18日の2日間、駿河台キャンパスにて2021年度卒業制作展を開催しました。

VRやCG・映像などの最先端テクノロジーを使った作品をはじめ、新しい表現に挑んだグラフィック、小説、研究発表など、学生ならではの視点で作られた作品が一堂に展示・上映されました。

今回のnoteでは各ゼミで選ばれる優秀作品とその制作者へのインタビューを中心に、「デジタルコンテンツのカオス」と称される卒展会場の様子をレポートします!

▲ゼミ別作品紹介(デジタルハリウッド大学Youtube)


画像1

▲会場となった駿河台キャンパスはLEDで彩られ、近未来を感じる空間に。

「だいだい色の頃に」アニメ/アニメ制作ゼミ・笠井 梨乃

画像2

転校してきた少女が駄菓子屋のおばあさんと出会って心が開いていく物語をアニメーションとして表現した作品。卒業後はアニメ制作の道へ進むという笠井さんは、今回初めて本格的にジオラマ制作にチャレンジ。2Dとジオラマを映像の中で融合させる手法で、1年の期間をかけて制作しました。

画像3

画像4

ジオラマを制作したのは、「少女からみた駄菓子屋の世界を視聴者にもリアルに共有したかったから」。ジオラマには本物の木を用いてぬくもりを演出。その他のパーツは、キャンパス内のラボプロトでレーザーカッターやUVプリンターを使って制作しました。ジオラマにもきちんと物語の世界観が表れるよう意識したそうです。

「Mirano Collection」インスタレーション/現代文化表現ゼミ・廣岡 みらの

画像5

「100%自分スタイルを提案」というコンセプトの元、みらのさんが大好きだというロリータファッションのオリジナルブランドをポップアップショップをテーマに展示。

ロリータドレスとコルセットなどのアクセサリーパーツを作成し、ユーザーが独自でカスタマイズできるという作品に仕上げました。「こだわったのはパニエを履かなくても綺麗に見えるライン」と語る廣岡さん。そのラインを実現させるためにドレスは型紙から作ったそう。サスティナブルについても考え、アクセサリーパーツはファストファッションブランドの製品をリメイクして作成したといいます。

画像6

画像7

展示空間には、この日のためにレンタルした試着室も用意され、気になったドレスはその場で着用可能。ショッピングバッグやネームタグも作成し、本物のショップさながらの空間を演出していました。

「PUPPET AND ME」実写映像/現代文化表現ゼミ・ユキト

画像8

「種族も考え方も違うパペットの間に友情は芽生えるのか?」をテーマにした映像作品。パペットの毛の色や質感、大きさの違いで人種の多様性を表現しています。

会場では撮影に使ったパペットや小道具の展示や撮影の裏話、パペットの制作話などを紹介。昔から人形が好きだというユキトさん。卒業後は養成所に入所し、プロの人形使いを目指すそうです。

画像9

画像10

「Horoscopes'Destination: The Contrast (黄道使命:対比)」漫画作品/映像制作ゼミ・NGUYEN CHAU QUYNH NHU

画像11

主人公は、アルビノを持ち他人との違いに悩みながら生きるキャラクター。なぜ「違い」を排除しようとする必要があるのか、を主題にした映像作品です。

「中学生のころからずっと漫画でこの物語を描いてきた」というNGUYENさん。今回は、大学で学んだ映像と3DCGの技術を活かして、漫画が映像として表現される最新の作品を制作しました。

およそ15年にわたってこの作品を作り続けてきたNGUYENさんは、「この登場人物たちはキャラクターというよりも自分の子どものよう。最優秀賞をとってこの子たちが認められたようで嬉しい」と話します。

作品はニコニコ漫画でも読むことができます。

「LIGHTs」3DCG/3DCGムービーゼミ・柳田 響生・平田 翼

夢を諦めアパートの一室で過去に縋り生きている主人公がある日耳にしたのは、かつて音楽で競い合ったライバルの訃報。友人の「また音楽をやってほしい」という意思を継いで再び夢を掴むため進み始めるストーリーを描いています。

画像12

画像13

「ふたりともキャラクターを作るのが苦手だったから、思い切って人間を登場させるのはやめました」と語るのは、柳田さん。背景だけでストーリーを展開するのは、ふたりにとっても新たな挑戦だったとか。

絵コンテを描き、作って書き出しての作業を繰り返すことで、感情をよりリアルに届けることに力を尽くしたといいます。

「閉ざされし教室からの脱出~失われし記憶~」体験型脱出ゲーム/グローバルリーダーシップゼミ・渥美 駿・岡田 京子

画像14

脱出ゲームにハマったことをきっかけに、自分で謎解きを作り始めたという渥美さん。今回の卒業制作では、教室全体を使った脱出ゲームを展示しました。

「あなたはデジタルハリウッド大学の学生で、今日は脳内情報学の初授業。しかし、授業の途中アクシデントが起こり教授の記憶が失われてしまいました。教授の記憶を取り戻すためには教授の記憶に関する謎を解き明かさなければいけません。果たしてあなたは謎を解き明かし、教授の記憶をすべて取り戻すことができるのでしょうか。」

そんなイントロダクションで始まる、脱出ゲーム。一つひとつの謎解きの答えには渥美さんの大学時代に関わるものが用意され、謎解きを通して4年間の大学生活をのぞき見できる仕掛けが施されていました。

画像15


「Quantia ―令和3年度 海外バイヤーとのオンライン商談支援事業 商品PR用デジタルコンテンツ作成コンサルティング業務」企業ブランディングとコンサルティング/ICTビジネスプランニング&プロデュースゼミ・大須賀 玲央奈・伊賀 義晃・森屋 優

画像16

地方創生の現実やコロナ禍で疲弊している地場産業の未来を考え、 福井県の地元企業をクライアントにブランディング提案やコンサルティングを行ったプロジェクト。

画像17

実際のオンライン商談成功に向け、個別コンサルティングを実施。商談資料や企業ごとの公式サイトの制作、福井県のブランディング動画の制作も行いました。 学生制作の枠を超え、実際の企業とともにプロジェクトを行った様子は、ゼミの担当教員からも「素晴らしい取り組み」と評価されていました。

「お箏のオコトバ」電子出版/電子出版ゼミ・渡辺 咲貴

画像18

初心者に向けたお箏解説本を電子書籍で制作。楽器本体の仕組みや歴史、技法やクイズなど、お琴に関するあれこれを映像・コミック・写真で発信した作品です。展示ブースには本物のお琴も置かれ、書籍を読みながら体験できる空間になっていました。

渡辺さんは12年間お琴を演奏してきましたが、わかりやすい教本に出会ったことがなかったそう。「なければ自分で作ってしまえ」が制作のきっかけになったといいます。紙書籍だと複雑でわかりにくい琴の弾き方の説明も、映像で挿入されています。

長編劇映画「パレット」実写映像/映画制作ゼミ・村木 裕馬アイルゴー・坂田 怜・張 一馳・村中 駿介・閻銘睿・武田 信之介・新堀 翔琉・陳 シケン・孫 嘉沈源・沈 テツセン・趙 国棟・清水 祐希・青木 渉

画像19

映画制作ゼミでは、「現状からの更なる飛躍」をテーマに、企画・脚本・監督・撮影をすべてゼミ生が行い、1本の映画を仕上げました。オムニバス形式で3人の女優の苦悩や夢を描いている作品です。

制作には4ヶ月ほどをかけ、女優は芸能事務所に協力いただき作り上げたという本作。

画像20

脚本を手がけた村木 裕馬アイルゴーさんは、「脚本を書くにあたって映画をたくさん見て参考にしました。吸収することと描き進めることを同時並行で進めました」と話します。

卒展に出して終わりではなく、映画館でお客さんに見ていただきたかった、と村木さん。そのためのクラウドファンディングも行い、243,000円を集めることに成功。今後は資金を活用して映画館での上演を目指すそうです。

「シク教をシル」WEB/アプリ/Web&UI UXゼミ・シング グルセイワク

画像21


「シク教」という宗教を日本人向けに日本語で広く知ってもらうことをテーマに制作したWEBサイト作品。シングさんは両親がシク教で幼少期から触れてきましたが、日本では知名度が低く、日本語で書かれたWEBサイトがないことや、日本に暮らしているシク教徒からの情報発信サイトがないことに課題に感じ、作品制作に至ったそうです。

WEBサイトではシク教の文化や人々など、宗教に関する事柄をカテゴリー別に分け、それぞれを記事形式で掲載。コロナ以前は、東京にあるシク教のお寺で異文化に興味がある方と教徒の交流もあったそうですが、今はそれも難しく、シク教徒のコミュニティの方からシングさんに以前から「日本語のサイトを作ってほしい」といった依頼もあったそうです。

画像22

今回の制作についてシングさんは「日本で初めてレベルで詳しくシク教について書いたサイトです。宗教はセンシティブなので表現方法が難しく、書き方や取り扱う内容を配慮しながら書きました。このWebサイトを見て「シク教ってこんなものなんだ」と少しでも興味関心を持っていただけたら嬉しいです」と話してくれました。

「Open Class.」WEBアプリ/Web&UI UXゼミ・三嵜 遥樹・矢野 涼

画像23

「授業環境をより良くしていこう」をテーマに作られたWEBアプリ。授業フィードバック・授業評価を公開し、誰もが見ることのできる環境を作ることで、学生は授業改善を求める声を簡単に発信でき、教員はそれを受け授業改善のきっかけにできます。

今回の卒業制作では、実際に教育環境で導入できることを目標に制作を進め、学生・教員が閲覧可能なページと、教育組織が閲覧・操作することができるページを作ったといいます。三嵜さんがデザイン、矢野さんがバックエンドを担当して制作を進行しました。

画像24

画像25

意識したのは「あまり考えずにユーザーが触れるようなUX体験」。文章や数字での説明は最小限に留め、直感的に使えるものを採用したといいます。卒業後は学生時代の学びを生かして、三嵜さんはWEB制作会社のディレクターに、矢野さんはUIエンジニアの道に進むそうです。

「結ぶおもちゃ cotoi」グラフィック・ウェブアプリUI・ゲーム/コンテンツデザインゼミ・山本 瑞季

画像26

「環境保全をもっと身近に」をコンセプトに、環境保全啓発のための親子で遊べる知育玩具を制作。ARの技術も駆使した、アプリと積み木を融合させた作品になっています。

積み木でペンギンなどの絶滅危惧種の動物のシルエットを作ると、アプリ内でその動物たちが環境保全のためのお願いをしてくれます。たとえばペンギンは絶滅原因に廃棄汚染があるため、「ご飯を残さず食べてほしい」とお願いをしてきて、ペンギンの願いを叶えるとアプリ内の環境がよくなるというおもちゃ。遊んでいるうちに自然とさまざまな環境問題について考えるきっかけとなります。

画像27

画像28

積み木で遊びながら楽しくミッションに取り組むことで、親と子を、そして、親子と環境を結ぶおもちゃだと山本さんは考えます。

「もともと環境保全に興味があり、アプローチをしたいと思っていました。 cotoiの中にでてくるミッションは、家庭でも取り組める内容なので、環境保全について日々の中で視野に入れながら生活をすることができたらと思い、制作しました」(山本さん)。大学での経験を活かし、卒業後はUIデザイナーの道に進むそうです。

「結び目」小説/コミュニケーションデザインゼミ・内池 陽菜

画像29

人々が繋がることをテーマに広告制作と小説を執筆。Kindleの小説販売と、新御茶ノ水駅での広告掲載を行いました。

この卒業制作で、生まれて初めて小説の執筆にチャレンジしたという内池さん。「思い悩む多くの人に、人生は等しく劇的で素晴らしいものだということを伝えたかった」と話します。

DHU入学後すぐはCGを学んでいた内池さんですが「ピンポイントで必要な人にメッセージを届けたい!アートじゃなくてデザインをしよう」と思い、広告の領域に方向転換。卒業後はプランナーを目指し、広告制作会社へ進まれるそうです。

「SLiCE」店舗ブランディング/グラフィックコミュニケーションゼミ・Yeung KahYee

画像30

「日本中の人にもっと果物を楽しんで食べてもらいたい」をコンセプトに、「SLiCE」という架空の果物のお店のブランディングを行いました。お店のコンセプトの設計から、ショップカード、食べ方紹介のパンフレット、WEBサイトの制作まで一貫して行いました。

マレーシア出身のKahYeeさん。母国では毎日のようにさまざまな果物を食べていたといいます。しかし、日本で果物を日常的に食べる文化がないことに驚き、もっと果物を楽しんでもらいたいと今回の制作をスタート。

画像31

画像32

「日本ではあまり見ることのない果物も楽しんでもらえるお店にしたい」と、メニュー表にはそれぞれの果物の味わい方も掲載しました。

「YOU&I」3DCG映像制作・技術研究ゼミ/フィアーズ・ジェイド

画像33

3DCGによる映像作品を制作したジェイさん。キャラクタの制作や背景づくりはもちろん、曲作りまで一貫したを制作を行いました。

卒業制作展当日は、主人公に寄せたファッションで登場。より世界観を引き出せるようにグッズも制作しました。

画像34

「レンダリングに時間がかかるため、時間との戦いでした」と語るジェイさん。今回の卒業制作ではショートver.の公開となりましたが、大学院でも引き続き制作を行い、夏までに本編のアニメーションを完成させたいとのことでした。

4年間の学びを活かした多種多様な作品の並ぶ卒業制作を、動画でもお楽しみください!

最先端のVR/ARシステムやアプリ開発、3DCGなどのデジタル作品、絵画、小説、研究成果報告など、今年も「カオス」な卒業制作展でした。学生たちが、学生生活のみならず、人生を通して感じた想いや夢がさまざまな形で表現されており、DHU note編集部一同、感銘を受ける展示の数々でした。

今年度の卒業制作展は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予約制での開催となりましたが、会場の様子と全作品の紹介は卒業制作展特設サイトから、YouTubeアーカイブ映像にて視聴できます。

ぜひ今年度の卒業生の集大成をお楽しみください!


デジタルハリウッド大学は、デジタル分野の専門スキルを幅広く学びながら未来をつくるみなさんの挑戦を後押しします。カリキュラムや卒業生についてもっと詳しく知りたいという方は、下記リンクへどうぞ!


▼デジタルハリウッド大学HP

▼デジタルハリウッドダイガクNOW

▼失敗作ミュージアム


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?