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後輩を辞めたい








バイト先に向かうエレベーターの中に私がいた


カバンから鏡を取り出して髪型をチェック


最後にはニコッと笑顔の練習をすると



扉が開く





そこには禁煙禁煙と叫ばれてる昨今に堂々と紙巻きタバコを吸ってる先輩がいた




紗耶:お疲れ様です。

○○:急遽呼び出して悪いな。

紗耶:いえ、暇だったし稼ぎたいんで。

○○:最近の学生は責任感なさすぎだって思ってたけど、沙耶が良い子で良かった。

紗耶:良い子なんて…そんな/// 





私は暇と言った

でも本当は友達とさっきまで遊んでたのを切り上げてここに今いる




だって…先輩が好きだから…








○○:いきなり団体客来るとか沙耶が来てくれてマジ助かった。

紗耶:本当あれはビックリしました。笑

○○: 今からコンビニ行くけど沙耶も来るか?
なんでも買ってやるよ。

紗耶:良いんですか?

○○:あぁ。

紗耶:それなら…行きます!

○○:後で店長に請求するけどな 笑

紗耶:笑





コンビニで先輩と2人でお買い物
煙草の箱と私のお菓子だけを買うお買い物


それだけでも楽しかった






紗耶:先輩って6月2日…暇ですか?

○○:6月2日…来月か…
まだ分かんないけどなんかあんの?

紗耶:横浜で花火大会があって…良かったら一緒に行きたいなって。

○○:花火ね…

紗耶:ダメならダメで良いですよ?




そうやって私は保険をかけたが先輩は…




○○:いいよ。
その日休みでシフト出しとく。

紗耶:本当ですか!!

○○:今日のお礼も兼ねてな。

紗耶:…それはこのお菓子でチャラですよ?

○○:だとしてもそれだけ沙耶の事頼りにしてるって事 笑



ナデナデ




私の頭を撫でる手そしてその笑顔は私を
また先輩を好きにさせた








紗耶:来ちゃいましたね。



ポニーテールに可愛い浴衣という定番だけど私なりの最大限の頑張りをして先輩の横に立つ



○○:マジ人多いな。

紗耶:人混み苦手なんですか?

○○:いやそういう訳じゃないけど…流石に人いすぎだろ。

紗耶:じゃあ…///



ギュ


人生で1番の勇気を出して先輩の手を握る




○○:どうした?

紗耶:はぐれないように///

○○:沙耶ほどの美人なんて離れても分かると思うけどな 笑

紗耶:///

○○:まぁでもそうだな。



先輩は私の手を握り返した





パ〜ン




○○:お、あがった。

紗耶:…キレイ!





私は花火と先輩っていう画角で瞳に焼き付けたくて不意に横を見ると先輩は小さな声で



○○:やっぱり…ボソ



そう呟いていた



紗耶:え?

○○:いや花火が上がった後の夜空ってさ…
光が残像のように見える気がして、嫌いなんだよ。




私とは違う感性で先輩の瞳に花火は写ってた




○○:あんなのは理想で現実は違うぞって。
まぁ、学生に言っても分かんないか 笑

紗耶:……分かります。





本当はそんなの分からない……
でも先輩の心に近づきたくて私はウソをつく



だって好きだから…








次にバイトに行くと先輩は違う人と


恋人が出来たって話しをしていた


もちろん私じゃない


感性も体の相性も合う相手らしい





私は逃げ出した



それでも好きだから……私はバイトをサボった




ラッキーストライクの匂い



横浜での花火



私を肯定してくれた今までのすべて言葉が胸に突き刺さる




勝手に好きになって


勝手にあなたの好きになりたくて


勝手に努力した


なのに…この恋が叶わないなら


好きじゃないならせめて嫌いって言って欲しかった


そっけない態度をして欲しかった






バイトをサボって友達と待ち合わせ



来るまでベンチで夜空を見る
すると一瞬の残りカスを思い出す



紗耶:こんな形で先輩の気持ちが分かるなんて…ボソ




そこには消えることのない火花の残像が見えた




これから私はあなたの事を悪者にして友達に話すだろう




その度あなたを忘れられない自分が嫌いになる




だって私はもう煙草を吸う人と付き合う事も好きになった人と花火に行く事ももう出来なくなるから





柚菜:お待たせ。

紗耶:ごめん…いきなり呼び出して

柚菜:平気だよ。笑

紗耶:実は今日さ……




先輩…あなたの後輩を辞められないみたいです

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